
ヨーロッパ旅行パリ編②ベルサイユ宮殿、オペラ座でバレエ鑑賞
↑前回
今回の旅行を機に、もう一度世界史を勉強し直した。具体的には『ベルサイユのばら』をメルカリで購入して読んだのだ。
だが、そんな甘い考えが災いしたのか、思いのほかベルばらにハマることができなかった。私は漫画が大好きで、いつかは読んでみたい昔から思っていたので、正直なところ悲しい気持ちでいっぱいになった。
ふと、昔姉が「グレンラガンは男の子向けだから、私はハマれない」と言っていたのを思い出した。理由はまだ言語化できていないが、この感覚に近い気がする。いつかその理由を言葉にしたい。
ベルサイユ宮殿はパリからおよそ1時間。本来なら電車で1本だったようだが、気づけばバスのルートに変わっていた。これは海外旅行での「Googleマップあるある」だなあと思った。日本でもそうだが、Googleマップはバスを優先しがちだ。
そこそこ大きなバス停で、人がたくさん集まっていた。そして「Versailles」と書かれた表示を確認し、安心してバスに乗り込んだ。

ベルサイユ宮殿に到着した。圧倒的に大きい。そのスケール感に目を奪われた。まるで、大谷翔平のパワーのように、純粋に「大きいもの」にはそれだけで価値がある。
マリー・アントワネットの金遣いよりも、こんな宮殿を建てたことがフランスを滅亡に導いたのではないかと強く感じた。

その中身はというと、中世ヨーロッパが好きな人向けという印象だ。貴族の肖像画ばかりが目立ち、純粋に面白くなかったので、太陽王に挨拶だけをした。

恐らく、マリー・アントワネットのベッド(多分違う)

ベルサイユ宮殿の魅力は、建物そのものと広大な庭園にあると思う。庭園は非常に美しく、まるでディズニーランドのように整備されていた。広さは圧倒的で、館内マップよりもGoogleマップの方が役に立つほどだった。
行けるところまで歩いてみたかったが、あまりに広大で物理的に先が見えず、途中で諦めることにした。庭園をゴルフカートで巡るプラン(80ユーロ/1時間)という案内に心動かされたが、今回は横目に見送り帰路についた。
帰りは電車を使うことにした。しかしベルサイユ駅では、券売機が2台しかなく、恐ろしく混雑していた。次回は事前にチケットを購入しておくことを強くお勧めしたい。
そして、今回の旅のメインイベントの一つであるオペラ座でのバレエ鑑賞へ向かった。


日本には、この雰囲気を再現できる建物はないのではないかと思う。館内では、美しいドレスをまとった人々が目立つ。さらに、外国人のスーツ姿がなぜあんなにも格好良いのか、嫉妬すら覚えないほど雰囲気にあっていた。
今回の演目は、いわゆる正統派バレエではなく、現代美術的な要素を取り入れたバレエ。その名も「PLAY」である。
本当は安い席で十分だったのだが、日本から予約をすると高い席しか選べず、結果として上から2番目に良い席を購入することになった。一人約300ユーロ。円換算では考えたくない。ただ、オペラグラスがなくても十分見える、とても良い席だった。

思えば、こういったエンターテインメントの最中に必ず途中で寝てしまう人生を歩んできた。シルク・ドゥ・ソレイユ「O」、グリフィス天文台のプラネタリウム、女子大のオーケストラ……私は世界のさまざまな場面で寝落ちの実績を積み重ねてきたのだ。
心配しても仕方ないので、開演前のステージに目を向けると、すでに緑色の服を着た男性が一人、踊っている。縦型のスポットライトを浴びたその姿には妙な緊張感が漂う。彼が攻めで、観客である私たちは守り――まるでステージ上で起きている出来事を解読する「戦い」が始まったかのようだった。
シルク・ドゥ・ソレイユのときも、序盤で次々と演者が水に落ちていく演目をどうにか理解しようと努力したが、結局意味がわからずダメージを受け、そのまま眠りに落ちたのを思い出す。
今回も、何が何だかわからないまま公演が始まってしまった。多くのダンサーが次々と登場し、踊りが展開される。私は「指をつねる、目を開ける、意識が飛ぶ」の3ステップを幾度となく繰り返したが、気づけばショーは終わっていた。
---
隣を見ると、妻がにやにやしながらこちらを見ている。私が寝ていたことを笑っているのだ。一応、「寝ていなかった」と主張してみたものの、信じてもらえない。
だが、よく喋るのは寝ていた証拠だ。ドライブ中、助手席の人が寝てしまい、目を覚ました瞬間に「寝てないよ!」と言わんばかりに喋り倒すのに似ている。きっと妻も寝ていたのだろう、と勝手に推測しておく。
ゆっくりと階段を降りる、本当に素敵なオペラハウスだ。
本当にバレエが見たかった人にごめんねって思いながら、帰りにオペラ座の怪人Tシャツを買って帰ったのであった。
続く