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WSET3受験から1年経って思うこと。~WSETってどんなの?レベルや語学力は?~



●WSETとは

WSET、正式名称 Wine&Spirits Education Trust。
近年日本でも受講者がかなり増えているようで、機関の説明についてはあちこちで探せると思います。
一言で言うと、「世界最大の、ワイン教育機関(学校)」でしょうか。「ワインの品質」に重要性を置き、最終的には貿易に関することが目的となっているようです。
レベル1~4(diploma)までのレベルに分かれています。WSETの公式Youtubeを見たところ、次のような感じの説明でした。

Level1. 学ぶ。入門向け。基礎とこれからのことについて。
Level2. 描写する。初心者向け。大まかな知識を得ます。
Level3. 説明する。中上級向け。包括的な知識を一層ほりさげ、テイスティングスキルを学びます。理解したことを説明するようになります。
Level4. 分析する。ワインビジネスとワインの専門家を目指す。分析、評価、造り。

難易度としては、日本で言うところLevel1~2はワイン検定、Level3はJSAワインエキスパート程度と言われています。Level4diplomaは, 現在日本で取得できるワイン系資格で最高峰の学位となっているようです。そう、「学位」ですね。
Level3までは日本語でも受けることができますが、diplomaは英語でしか受験ができません。
因みに私は、Level1から受けました(^^; 
というのも、WSETがどんな機関なのか全く分からず不安で、まずは自分で一から試してみないと、と思ったのです。
エキスパートを取得した後だったので、Level1と
Level2はPass with distinction(優)、Level3は各段にレベルが上がり、Pass with Merit(良)でした。

●なぜ、WSETを受講・受験したか(モチベーション、英語問題)

理由①
・知識は使っていないと消えゆくもの。
・知識は螺旋状に学ぶことによって定着される。
2021年にJSAワインエキスパートを取得したものの、そもそも自分がエキスパートを名乗ってよいものかとの自信も無かったですし、なんとか詰めた知識がどんどん去っていくのは明らかでした。
せっかく大好きなワインのことを学んで資格まで取ったのに、それじじゃあ勿体ない。いろいろな角度から学んでみよう。
定着してないのを自覚してるのだから、もっとやるしかない。けど、そもそも定着してないのだから、何をどう調べればよいのか、学べば良いのか分からない。しかも、私はワインに関わる仕事ではないので、追われるものがない。やらなくても、特に人生に困らない=(イコール)、怠けに走る。
..…でもね。やったら、もっと楽しいことが待っているかもしれない。
新しいことを得るって、そういうこと。
大変なことを突き進んだ後に待ってることって、そういうこと。
分からないけれど、やってみないと分からないものはずっと分からない。
よって、期限を決めて追い込みをかける(結果、受験というもの)ことを選びました(^^)

理由②
・英語も触れていたい、上達させたいんだよね。
大好きなワインを、趣味の語学勉強も兼ねながらできたら最高じゃない?
勿論、これは英語を学ぶ場ではないですので、そんな考えで挑むのは失礼であり、ある程度の英語ができることが前提です。が、母国語でない言葉で学ぶということは、理解するにも時間がかかる。つまり、同じ内容を何度も調べなおし、学ぶことになるのです。故に、理解も高まるのでは…?
といいますか、私は一つのことを理解するのに時間がかかるので、その方が良いように思えました。

理由③
・ 何かに夢中になっていたい。
これは性格の問題で、オンオフが激しい。オフモードだとひたすら何もしないので(笑)、むりやりスイッチオンモードに持っていくのです。
それに、何かに夢中になっていない時って、余計なことをあれこれマイナスに考えてしまったりと、精神衛生上良くないのですね。

●JSAソムリエ・ワインエキスパートとの違い(内容、筆記試験、テイスティング)

こちらも、他にもたくさんの方が言われている通りですが、特に私の場合は「知識量(知っている)」と「理解している」ことの違いが当てはまりました。それは試験形式でも明らかです。
・筆記試験や内容に関して
JSAワインエキスパートは、範囲がとても広い。え?っていう国が出てくる。とにかく、その国々の主要品種や、醸造用語を必死で覚えた記憶があります。そして選択問題なので、4択から一瞬で選べるようにする。過去問をやりまくる。日本人が得意な方法かと思います。
が、私は本当に、ざっくりとしたことしか知らなかったので…(特に醸造に関しては知識皆無でした)本当に大変でした。平日は2~3時間、休日は5時間もしくはそれ以上の勉強時間を確保していたかもしれません。
試験を突破するには攻略法を知ること。どの試験にも共通することですので、合格目指して頑張りました。

一方、WSETは、よく言われることですが、範囲こそ狭いものの、一つのことを掘り下げていきます。試験問題も記述問題が半分を占めます。
「なぜ?」に対して「なぜならば~」と答えられなければなりません。なぜこのような色・香りになるのか。ブドウ・土地や気候・人的影響などを考えて答えます。
また、用語に対しても自分の言葉で答えられなければなりません。
例えば「マセラシオンカルボニックとは?」に対し、どのような時(もの)に用い、どのような影響を与えるのか。
品種に関していえば、どの地域に多く見られるのか、だけではなく、どのような特性を持ち、どのような条件の時によく育ってくれるのか、だからこの土地に多い、など。

・テイスティングに関して
 ワインエキスパートの時点では、「自分は香りが取れない」と思っていたので、ある程度品種をテンプレート化して覚えことに特化しました(WSETでも品種の特徴を捉えることは必須です)。そうすることで私でも、エアブラインドや実際の試飲でテンプレートを思い起こし、頭を使って答えるようになったと思います。また、実際にかなりの試飲勉強をしました。地元の酒屋さんにはたくさん試験対策用のワインを用意していただきましたし、行きつけのワインやイタリアンのお店では実際にブラインドに付き合ってもらったり、先輩方からそれまでの情報を頂きました。あとは自分でインターネットで試験対策用のセットを購入したり、酒屋さんに行って買いました。最後の方には香りも取れるようになったりと、鍛えられたと思います。
リキュールに関しても全くの素人でしたが、捨てたくはなかったので、60種類くらいの小瓶のリキュールセットを購入しました。それぞれの瓶に番号をふって、一人で目隠しでやったことを覚えています。その年のリキュール問題は難しくないものだったという記憶がありますが、正解しましたし、少しはリキュールの特徴を掴み、興味を持つようになりました。

 WSETのテイスティングは、目から鱗でした。ブラインドにおいて、これまで目指してきた「品種を問う」ことは無く、「品質」を問うのです。初めてテイスティイングの講義に参加した時に、それまで試してこなかったようなものがどんどん出題され、驚きました。なかでも、甘口ワインがかなり問われたことは驚きでした。品質を重要視しているので、なかなか良いワインが用意されています。

●英語に関して

・必要な英語力はどれくらい?
英語力の不安が大きかったのもあり、私はLevel2から英語で講座を受けましたが、3を受講するにあたっては内容も急激に難しくなることもあり、不安は更に増しました。公式HPには、TOEFL800点程度の英語力が必要な旨の記載があります。私は英検準1級を持ってはいたものの(英検準1級=TOEFL800点程度と言われています)かなり前の話で、TOEFLを受験したのはそれこそ大学生の時で、740点位でした。なので、講座開始まで数カ月時間があったこともあり、まず、TOEFLを受験しました。この時はTOEFLに特化した勉強を2か月程度したと思います。結果、ちょうど800点でしたが、自信のある800点ではありませんでした。
しかし、WSETは英語の勉強をするところではない。なんとかしがみついていこうと、いざ申込みをしました。周りの方も言ってますが、800点はそりゃああれば内容理解が多少ラクになりますが、無ければ無いで努力するので必要ないのでは。

・講座内の英語に関して
私の先生はイタリア人の先生で、分かりやすい英語を話してくださいましたが、何せテキストもイギリス英語なので、スペルの違いや発音など最初は戸惑うこともありました。個人でWine with Jimmyというサイトで勉強プラスし、慣れたと思います。こちらのサイトは、WSET公式ではないので自己責任ですが(笑)、かなりオススメです。
特に授業のペースが自分のペースと違ったり、授業だけでは理解できない部分がありますので、こちらのサイトで自分のペースで学ぶことができました。
事前に専門用語について調べておけば、授業は90%程度理解できたと思います。が、この事前の勉強が大変でした。洋書特有の文字ギッシリに、内容把握。とはいえ、JSAの時には無かった珍しい写真もカラーで掲載されており、興味深かったです。
私はオンライン授業を受けていたのですが、授業中たまに意見を求められます。なので毎回ドキドキでした!きちんと自学をして、内容を理解していれば何とか答えられるのですが、それでも単語を忘れてしまったり。
しかし、英語の試験ではないので難しい英語力は問われないような気がします。私は記述試験では、とにかく空欄を作らないよう、覚えていることをとにかく、分かる英語で、書きました。幼稚な中学英語で。それでもなんとか大丈夫だったのですから。。

●1年後に思うこと。

私はワイン業界で働いているわけでもないので、この資格が役に立つのか、と言われれば、そうでもありません。それに、学んだことをきちんと理解し、覚えているかと言われると、かなり怪しい。。。ですが。ある人とやり取りをしていて、ふと気づきました。ワインを飲むときに、「このワインは、どこでどのように造られ、こうなったのだろう?」
ということが、興味の一番にあることを。
そのうえで、こちらを受講・受験して良かった点を挙げてみます。
・そのような疑問を持った時に、作り手さん等の話を聞いて疑問が解ける。
・WSETは世界最大の機関で、海外のワイン業界の方はほとんど知っている。自分が「level3を持っている」ということが分かれば、それに合わせて
話をしてくれます。私はその後、イタリアに行ったのですが、その時に強く思いました。実際、学んだことがとても手助けとなりました。
・何より、目の前のワインができるまでを考えて飲める時間の貴重さ、楽しさを、知ることができると思っています。が、これに関してはまだまだ分からないことだらけで、どんどん興味関心は深まるばかりです。

●おまけ(AISイタリアワインソムリエについて)

WSET3を取得したあと、海外に行きたい気持ちが強くあり。どうせなら好きなイタリアワインを学ぼうと、2か月ほどイタリアを訪れました。
こちらの資格については別記事として書いていこうと思いますが、ティスティングについて少しだけ。
AISも、品種当てはありません。「品種の特徴が良く活かされているか」「品質や飲み頃としてどうか」が問われ、ブラインドは意味が無いと考えるからです。試験では勿論、目の前のワインと向き合う為に、品種等の情報は何もありません。
このイタリアワイン旅については、ブログとして記事にしてありますので、ご興味のある方は是非読んでいただけると嬉しいです(^^)

思えば、この旅を皮きりに、noteをスタートしたのでした。まだ旅の記録も途中です(^^;

以上、かなり長い記事となりました。読みにくい点もあったかと思いますが、最後までお読み頂きました方、どうもありがとうございました!
WSETやワインエキスパートに関する記事や、参考になった本やサイトの紹介も、これからしていければと思っています。

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