異端の福祉【読書感想文】
「介護=低賃金で過酷な仕事ではない」
そんな堂々たるポスターを池袋ジュンク堂で見かけました。
そして勢いのまま買った異端の福祉、やっと読み終わりましたー!
ホームケア土屋といえば全国展開する訪問介護事業所。
介護保険の時はあまり存在を認識していなかったけれど、障害福祉では名の通った事業所です。
障害者の一人暮らしについて相談するならここ!と言ってもいいくらいじゃないかなぁ。
一般の人より一回りどころか三回りくらい給料が低いんじゃない?と思う福祉の給料。当たり前になって、「給料は高くないけど、やりがいがあるから続けられる」っていう言葉を発するわけですよ。
高くないとか言っちゃうあたりが泣けるよね。
低いとか言いたくないよね、自分の給料のことだもん。
自分の価値みたいなもんだもん。
その当たり前を吹っ飛ばして1000万プレーヤーを叩き出すホームケア土屋って何だよ!と思って読みました。
この本で感じたのは「人数はパワーである」
人を揃えるのが難しい福祉現場で、月1000人応募100人採用を成し遂げらる、脅威の事業所。
それを成立させているのは整った労働環境と、十分な給与。
福祉の人材不足の解決方法は、賃上げという明らかな答えがでているのだけど今の介護報酬と企業体制では賃上げは正直難しいとも思います。
そこを吹っ飛ばせるのはスケールメリットを生かせるホームケア土屋ならでは。
同様のことをするにはケア事業所の大合併が欠かせないだろうなぁ。
そして、大きいのが加算。
重度の方のケアには加算がつく。これは大きい。
国が在宅の看取りを推進してる時もそうでした。加算は収入がブーストされるありがたい制度。
ホームケア土屋はそこをうまく取り入れていると思う。
けど、加算はハシゴでもある。
いずれ外されたり減らされたりするもので、頼りにしすぎるわけにもいかない。
看取り加算の大幅減算もあったよねぇ…(遠い目)
異端の、とあるけれどやっていることは王道も王道です。
事務所などのコストを減らす
減らした分は労働者に還元
知識をつけて国の動向に振り回されない
知恵と力のある人と手を組む
目の前の利用者さんだけをみては経済は回らない。経済と福祉の両立の一つの姿を見た気がします。
改めて、この業界で働いていくのなら国の決めた報酬でどう生き残っていくのかを
考えないといけないのだなと感じた本でした。
グラレコ