ディープ

 ひとが暮らしているまちを外部から勝手に〈ディープ〉だとか言うなアホんだらあんたがふだんあっさいあっさい浅瀬でピチャピチャしとるだけやろがという感覚がある。過去に自分も使っていたから尚更に。そしていま〈町中華〉という言葉は使うまいと心に決めている。

 子供と会話で「町中華に行くか」なんて言うかー? 言わんだろ、なんやねん意味不明やろ。「夜は中華料理屋さんでごはん食べるか」「中華のごはん屋さん行こかー」やろ。きみがじぶんとこで町中華という言葉を使うぶんには止めやしない。でも、それは何か価格帯か、店の広さか、味付けの明確なラインか、具体的な基準がそこにあって中華料理店や中華レストランと呼ばないのかは気にはなる。エビチリは1200円にラインがあるだとか餃子にニンニクが入っているかいないかだとか麻婆春雨があるかないかだとか。もしかして大皿用の丸くて回る大きなテーブルがあるか/ないかなのかしら?

もし私と歩いてるとき、めしどーしよーとかなって、そんなとき、いくら近場でええ雰囲気の店を知っていても「町中華でいいとこあるんすよ」だとか言わんでくれ、頼むから。そこは「中華どう?」でええよ。ランチコース五千円とかやと困るけど、そこはまあきみの奢りなんやろうからええよ、牛シチューヤキソバや山ほど牡蠣が乗ってる牡蠣焼きそばや羊肉串の皿を丸くて回る大きなテーブルにのせてクルクルやろうじゃないか。クルクルクルクル。


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