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在来線特急のエース・スーパーひたち号を偲ぶ旅 ハイグレード車両「なごみ(和)」で行く利府から常磐線経由で上野へ

在来線の長距離列車は数を大きく減らし、今では東北、山陰、九州を除き姿を消している。かつては大都市から地方都市へ全国津々浦々を運行した長距離列車は新幹線や航空機、高速バスにその役割を譲っている。


貨物線の旅でお馴染みのクラブツーリズム鉄道部は、E655系ハイグレード車両を使用して利府から仙台、常磐線を経由して上野まで在来線で行くツアーを2024年12月8日に開催し同ツアーに参加した。前日の東北本線を経由の折返しツアーとして催行された。

旅のポイント

①全車グリーン車のE655系「なごみ(和)」でゆったりおくつろぎください
②当コースのお座席は グリーン車1名1席
③原ノ町駅・いわき駅・日立駅ではドアが開きます
④クラブツーリズム鉄道部員が同行いたします

鉄道が大好き!鉄道の知識が豊富なクラブツーリズムのスタッフが皆様をお迎えします。

※体調不良により変更となる場合がございます。

⑤台紙付きクラブツーリズム鉄道部オリジナル硬券セット付き

始発の利府駅
かつてはこの先に線路が伸びていた
利府駅に停車中のE655系

E655系「なごみ(和)」
団体臨時特急スーパーひたち52号時刻
列車番号:9024M
利 府 10:30 10:50 ②
岩 切    10:57 10:57  ②運転停車
仙 台    11:09  11:15 ⑤運転停車
名 取    レ    11:27  
岩 沼 レ    11:33     ④
亘 理    11:42  11:46 運転停車
山 下 11:56  12:02  ②運転停車
新 地 レ    12:11
駒ヶ嶺 12:16  12:27 運転停車
相 馬 レ      12:31
原ノ町   12:47  13:02  ②
浪 江   13:18   13:20
富 岡 レ    13:36
広 野 13:52  13:53  ③運転停車
末 続 13:58  14:05 運転停車
いわき    14:21  14:35  ①
湯 本 レ    14:41
 泉  レ    14:46
勿 来 レ       14:54
大津港 レ    14:57
高 萩 レ    15:10
日 立 15:24  16:06 ②
勝 田 レ  16:28
水 戸 16:35   16:36 ⑦運転停車、乗務員交代
友 部 レ  16:50
石 岡 レ  17:05
神 立 17:15  17:22 ②運転停車
土 浦 レ   17:28
取 手 レ      17:45
 柏  レ   17:55
松 戸 レ   18:04
北千住 レ   18:14
日暮里 レ      18:21 
上 野 18:25 (18:36)⑰

利府→仙台 前日に引き続き利府線を走る

前日は東北本線経由で利府線・利府駅まで乗車した。復路の列車名は特急スーパーひたち52号、かつて上野から仙台までの停車駅の少ない列車として設定された。タキシードボディのすごいヤツとして名を馳せた651系電車が使用された。現在は列車名はひたち号、ときわ号に車両もE657系に統一されている。
利府の発車は10:50である。10:30に仙台方面からE655系なごみがやって来た。濃い紫色の車体が青空と日差しに反射しより高級感を醸し出している。
先頭1号車に乗車した。定刻10:50に利府を発車した発車時はミュージックホーンが鳴らされ、いよいよ旅の始まりを告げた。次の岩切まで単線区間となる。途中の新利府は通過となる。前日に続いて60km/hの低速で岩切に到着した。岩切では運転停車となった。

利府線ホームから転線すると東北本線の上りを走行する。東仙台を通過すると、右手に仙台車両センターを眺めていると、701系、E721系など東北地方を運行する車両が留置されているのが確認できた。仙台には11:09に到着した。6分間停車したが、扉開放はなく運転停車となった。

仙台車両センター。E721系や701系の姿を確認できる。
仙台駅では駅員によるお見送りが行われた。

常磐線経由は安定走行が特徴 仙台→原ノ町

仙台を11:15に発車した。発車の際、駅員等による見送りが行われた。列車は上野へ向けて南下を続ける。岩沼では前日と同じルートを上り線で進んでいく。長町、太子堂、南仙台、名取と順調に通過していく。

名取駅。工場への引き込み線がある。

名取で右の線路から仙台空港へと繋がるアクセス線の線路と高架を跨ぐ。速度はあまり上がらなかったが、のんびりとした走行であった。館腰を通過し、東北本線と別れる岩沼を通過する。
岩沼から先は常磐線を走行する。早速、一級河川・阿武隈川を渡る。

岩沼から常磐線へ。右手の東北本線と別れる。
阿武隈川を渡る

常磐線は四ツ倉まで一部区間を除き単線区間となる。逢隈を通過し亘理で運転停車する。下り普通列車と列車交換を行う。

東北本線経由と異なり開けた土地が多い

浜吉田を通過すると列車は進路を山側に取り、高架線となる。東日本大震災の津波被害を受け、浜吉田から駒ヶ嶺間は線路を内陸に移して復旧している。山下で再び運転停車する。

1号車車内。
山下駅で特急ひたち3号の通過待ち。

山下で再び運転停車する。この駅で品川始発の特急ひたち3号の通過を見送った。品川から仙台まで1日3本運行する最初の特急ひたち号である。10両編成のE657系が高速で通過した。山下を発車すると高架の安定した走行で坂元、新地を通過した。新地の先で旧線と合流し駒ヶ嶺で時間調整のため運転停車した。坂元ー新地間で宮城県から福島県に入っている。

高架新線から海側を眺める
新地駅を通過し旧線と合流する。ガードレールが曲がったままであり津波の威力を物語る。
駒ヶ嶺で運転停車

続く相馬は特急列車も停車する福島県浜通り地方の主要駅であるが、乗車した列車は相馬を通過した。海岸線から少し離れたエリアを走っているため、震災の影響はほとんど見られなくなったが、しばらくは拓けた場所に常磐線や並行する国道6号線が位置している。

特急ひたちが停車する相馬を通過

日立木、鹿島を通過し12:47に原ノ町に到着した。原ノ町は南相馬市に位置し常磐線の輸送拠点の一つでもある。特急列車を除き、普通列車はこの駅で仙台方面といわき方面に折り返す運行形態となっている。仙台行きの列車はおおむね1時間に1本程度であるが、いわき方面の列車は2~3時間に1本程度となる。臨時特急スーパーひたち52号は原ノ町駅2番線に停車し最初の扉開放が行われた。

原ノ町では扉開放が行われた
駅名標とE655系

原ノ町からいわき 浜通りを南下

15分停車したのち、13:02に原ノ町を発車した。発車直前には隣の1番線に仙台からの普通列車が到着した。E721系であった。原ノ町から先は、浪江、広野、末続で運転停車し、いわきまで扉開放は行われなかった。引き続き福島県浜通り地方を南下する。磐城太田、小高、桃内を通過し浪江で運転停車となった。いわき始発の普通列車原ノ町行きとの列車交換となった。常磐線が全線運転再開するまで仙台方面からは浪江で折り返し運転となっていた。浪江から富岡までが10年近くにわたって不通となっており、原ノ町もしくは浪江から代行バスが運行されていた。

浪江駅で普通列車と交換
富岡の街並み

浪江を発車すると、路盤の比較的新たしい区間を走行しているのが乗り心地からでもはっきりとわかるくらい綺麗に復旧している。双葉、大野、夜ノ森の3駅を通過する。比較的内陸を走行しており、常磐線の線路設備には大きな被害はなかった模様だが、沿線風景には廃墟となった住宅の跡も確認できる。福島第一原子力発電所事故による長期避難を余儀なくされた街の姿を垣間見ることができる。富岡手前で市街地も確認できた。富岡には特急ひたちが停車する。

富岡を通過

富岡の先で長い鉄塔のような建物が確認できるが、この建物は福島第二原子力発電所に当たる。竜田、木戸、Jヴィレッジを通過し広野で1分間運転停車した。広野駅ではE501系を改造した「SAKIGAKE」を確認することができた。

広野で運転停車。E501系SAKIGAKEと遭遇。

続く末続でも運転停車となり普通列車と交換した。末次は内陸高台に位置しており駅ホームから太平洋を一望することもできた。

山合に設置されている末続駅。
青空と太平洋

末続を発車すると、久ノ浜、四ツ倉、草野を通過する。四ツ倉から終点上野まで複線区間となる。そして原ノ町からおよそ1時間20分、全行程の半分に当たるいわきには14:21に到着した。いわきでは2度目の扉開放が行われおよそ。福島県の東南、関東地方に最も近い場所に位置する街で浜通り地方最大の都市とも言える。郡山からの磐越東線との乗換駅でもある。

いわきに到着
電光掲示板のアイコンもE655系
駅名標とE655系
いわき駅改札口の電光掲示板

いわきから日立 東北に別れを告げる

15分間の停車の後、14:35にいわきを発車した。いわきから先は毎時1本、特急ひたち号が運行しており普通列車と合わせても2~3本程度となり、運転本数が徐々に増えていく。いわきまでの安定した高速走行から一転して、先行列車との間隔を維持しながらの走行となる。直線区間もあるため特急列車は比較的高速で運転しているが、90㎞/h前後ののんびり走行に戻ってしまった。

次の停車駅は日立となる。特急列車が停車する湯本、泉、勿来、磯原、高萩をも通過する。勿来から大津港間で福島県から茨城県に入る。かつては勿来の関と呼ばれた関所が存在しており、東北から関東へやってきたことを実感する。勿来付近では太平洋の海岸線が確認できるところまで海に近い場所を走行する。高萩は駅構内に留置線も設けられており、特急ときわ号の一部が高萩まで運転される。十王、小木津を通過すると15:24に日立に停車した。特急ひたち号の由来ともなった常陸国の中心に当たり、大手電機メーカー日立製作所のお膝元と言ってもよい。日立で3度目の扉開放が行われた。日立で40分ほど停車した。日立では目の前に広がる太平洋が一望できる絶景スポットとしても有名である。夕日が沈む時刻に差し掛かり、この度のクライマックスを迎えた。

勿来付近で太平洋が間近で確認できた。
日立で最後の扉開放
日立には全ての特急列車が停車する
貨物ステーションも兼ね備える
日立には三菱重工の工場もある
縦書きの駅名標。
日立駅コンコースからの太平洋。まさに絶景!
E655系は車両ごとに東急車輛製造と日立製作所製造に
分かれている。
クラブツーリズム鉄道部のヘッドマーク

日立から上野 土浦から特急らしい走り

特急ひたち号と普通列車を見送り、16:06に日立を発車した。
この先終点の上野まで扉開放はなく、水戸と神立で運転停車を行った。

茨城県内を順調に南下を続けていく。日立でのサンセットと出会ってすぐに日没となり夜間走行に変わった。勝田から先は特急ときわ号や上野、品川方面の普通・快速列車の合間を縫っての運転となった。神立で最後の運転停車を行い、茨城県南部の中心都市・土浦を通過した。土浦から先は普通列車も最大15両編成で運転される。土浦を発車するとしばらく先行列車がいないことや後続の列車との間隔調整のため、今までのゆったりとした運転から突然の高速運転が始まった。荒川沖、ひたち野うしく、牛久、龍ヶ崎市、藤代の5駅を特急列車にふさわしい運転であった。特急スーパーひたち号の登場は651系の車両デザインもさることながら、130㎞/hでの高速運転も大きな話題を呼んだ。高速運転は5駅間に限られたが、特急スーパーひたち号を偲ぶ時間であった。

取手を通過し利根川を渡ると千葉県に入る。いよいよ首都圏に入り列車本数はさらに増加する。取手から北千住までは快速線と緩行線に分かれ複々線となる。天王台、我孫子、柏、松戸と順調に通過し、江戸川を渡ると東京都葛飾区に入る。東京スカイツリーが見えるといよいよ終点が近づいてきた。北千住ー南千住間でで東武線、つくばエクスプレス、東京メトロ日比谷線の高架と並走する。ハイグレード車両が休日の都心を走る僅かな時間を楽しんでいる間に三河島を通過し大カーブを進むと日暮里である。常磐線は日暮里が終点となるがすべての列車が上野へ直通する。東北本線と並走し、上野駅手前で高架ホームへの線路と分岐し、上野駅17番線に到着した。利府からおよそ7時間35分の豪華な旅が幕を閉じた。上野18:25着、前日朝の静けさとは趣の異なる上野駅に降り立った。

今回のツアーは上野到着後流れ解散となった。そのため、上野から東京都区内のみ使用可能な乗車券が配布された。
上野に到着。E655系は回送列車として尾久車両センターに引き上げた。

東北本線経由とは違った乗車体験

651系スーパーひたち号は常磐線から姿を消し、651系車両も廃車となっている。復路の旅は651系に負けることなく、令和の特急列車(E655系、E657系)も変わらず走り続けていることを証明できた旅でもあった。東北本線の変化の激しい沿線風景とは異なり、常磐線経由の旅は視界が開け、全体的に開放感を感じられた。趣の異なる2つの路線で上野ー仙台・利府間を贅沢に楽しむことができた。

記念乗車証明書。硬券付き。表面
裏面。太平洋をイメージして路線図のラインカラーは水色でデザインされている。

以下の記事は上野から特急ひたちと普通列車を乗り継いで常磐線を走破した記録


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