JR西日本287系で京阪神の貨物駅へ入線(クラブツーリズム鉄道部関西貨物線ツアー)
貨物線の旅がついに関西へ
クラブツーリズム鉄道部のお家芸とも言える貨物線の旅が首都圏から関西圏へと初めて進出する。JR貨物関西支社の全面協力の下、8月12日に開催されたツアーに参加した。今回の旅のポイントは次のとおり。
1.神戸貨物ターミナル駅、吹田貨物ターミナル駅、京都貨物駅、安治川口駅といった、普段は入ることが出来ない貨物駅に入線します!
2.「287系6両編成」で、通常は旅客列車が運行していない北方貨物線を走行します!
3.当日は、鉄道ファンに大人気のJR西日本・長尾寛車掌の乗務を予定しています!
287系が貨物線を走る!!
当日は真夏の太陽が照りつける中で運行した。使用されたのは287系HC206編成で、特急くろしお号で使用される特急型車両である。1号車が半室グリーン車付きの6両編成である。
水色のラインが入った287系がJR神戸線、北方貨物線を始めとする貨物線を走るのも貴重な機会となった。
運転時刻等
①列車番号
新大阪→神戸貨物9563M
神戸貨物→京都貨物9564M
京都貨物→安治川口9565M
安治川口→新大阪9566M
②時刻表
駅 名 着 発 番線
新大阪 11:13 11:17 ⑩
大 阪 11:21 11:25 ③
西 宮 11:37 11:42 外①
摩 耶 11:52 11:54
神 戸 レ 12:00
神戸タ 12:07 12:17 着発②
神 戸 レ 12:23
尼 崎 レ 12:41
宮 原 レ 12:47
吹貨西 12:55 12:58 西本線
高 槻 レ 13:07
京 都 13:24 13:39 32
京都貨物 13:44 14:37 着発⑦
向日町 レ 14:44
山 崎 14:50 15:04
吹貨西 15:21 15:31 下り着発①
新大阪 レ 15:36 ③
うめきた 15:42 15:48 22
西九条 レ 15:54 着発①
安治川口 16:00 17:01 着発①
西九条 17:06 17:10 着発①
うめきた レ 17:14
新大阪 17:19 17:23 ①
新大阪→神戸貨物ターミナル9563M
11:13後の入線予定であったが、11:05に発車する特急こうのとり7号が遅れている東海道新幹線からの乗り換え客の乗車時間を確保したため、8分前後遅れて発車した。なお、この遅れは南海トラフ地震の臨時情報発令に伴い、東海道新幹線の一部区間で徐行運転が実施されたことに伴うものである。
乗車する団体臨時列車も11:16頃入線した。4分の乗車時間が確保されていたが、その余裕はほとんどなく、280名前後の団体客が素早く乗車したものの、発車が11:19となり2分の遅れが生じた。次の大阪で運転停車し11:25に発車した。
この先は概ね所定通りのダイヤで運転された。再度淀川を渡り、塚本を通過する。水色の287系がJR神戸線を走る貴重な時間が幕を開けた。
尼崎駅を軽快に通過する。新快速以下のすべての列車が停車するため、特急列車や臨時列車にでも乗らない限り通過は体験できない。武庫川を渡り、阪神間の中間と呼ぶべき西宮に到着する。西宮では待避線に入線し後続のAシート連結の新快速に道を譲る。
西宮を発車し外側線を走行する。近年は阪神間のJRにおいても駅数が増加しており、駅間距離が短くなっている。さくら夙川、甲南山手、このあと運転停車する摩耶がその例である。六甲道駅を通過し、高架線を下ると東灘信号場に差し掛かるが、現在はその一部が摩耶駅として運用されている。列車は東灘信号場の待避線に優先する。ここで待避する列車はなかったが、特別列車ゆえ、普段は知らない線路を走るのがクラブツーリズム鉄道部の特徴であり、待避線への進入もその一環である。
2分停車した後、待避線から外側線に転線し、低速で灘駅を通過する。この先鷹取駅に併設している神戸貨物ターミナルまで一気に進む。三ノ宮、元町、神戸、兵庫、新長田を通過し、神戸貨物ターミナル駅に到着する。
新長田駅の先で貨物ターミナル構内に転線していくが、65キロ→45キロ→ 35キロとスピードを落としながら神戸貨物ターミナル着発2番線に到着した。神戸貨物ターミナルで進行方向を変え、今度は上り線を走行していく。
神戸貨物ターミナル→吹田西貨物9564M
10分停車後、神戸貨物ターミナルを12:17に発車した。鷹取駅の構内に併設されており、荷捌き場を挟み上下線に貨物線が敷かれている。神戸貨物ターミナル駅は貨物の入替のほか、川崎重工兵庫工場で製造される鉄道車両の移送のための待機場所としても使用されている。
外側線本線に合流し上り線を走行する。この先、吹田貨物駅まで運転停車は行わずノンストップで走行する。通過する列車が少ない三ノ宮駅の通過を体験できるのは極めて貴重である。尼崎駅を通過し、神崎川を渡った先で北方貨物線に入る。北方貨物線は貨物のほか、大阪駅を始終着とする特急列車の回送区間としてこの先の宮原操車場への引き上げのために使用される。特急サンダーバード、特急ひだ、大阪始発の特急スーパーはくとが走行するシーンが見られる。山陽新幹線と並走しながら進んでいく。
3分ほどすると車窓の右手に操車場が見える。特急列車のほか、待機中の225系、223系やサロンカーなにわも間近に見ることができる。やがて貨物線は左に大きくカーブし、新大阪駅の在来線1番のりばを横目にやりながら通過していく。北方貨物線側にホームはない。東淀川駅を右手に仰いで、梅田貨物線と合流し吹田貨物駅まで貨物線と旅客線併せて6つの線路がしばらくの間並走する。この間、おおさか東線の線路と別れてすぐに南吹田駅手前で分岐する城東貨物線と合流した。
吹田西貨物→京都貨物9564M
吹田貨物駅はJR貨物が誇る巨大ターミナル駅へと生まれ変わっている。
吹田貨物駅西本線に運転停車した。右奥には吹田工場が見える。吹田貨物駅で3分停車した。千里丘駅の先まで貨物駅構内を走行する。吹田から千里丘まで約5キロに走行しているので、吹田貨物駅がいかに広大であるかが体感できる。大阪貨物ターミナル駅へと分岐する東海道貨物支線と別れ、JR京都線の本線と合流する。茨木、JR総持寺、摂津富田、高槻、島本、山崎、長岡京、向日町、桂川、西大路と通過運転が行われた。京都には13:24、32番のりばに到着した。32番のりばは嵯峨野線が発着するホームで水色の287系が入線すること自体が珍しく、そして31番のりばには赤色の287系特急きのさき号が発車を待ち構えていたので貴重な入線シーンとなった。今回の旅は途中駅で扉が開かない運行であり、構内に降り立つことはできなかったが、ホームには貴重なシーンをカメラに収める人を数多く見かけた。
京都で2度目の方向転換を行い、入換信号機(25km/h警戒信号)を使用して京都貨物駅へと向かう。途中に京都鉄道博物館の横を通過するが、その際に一時的に展示から外れている117系トップナンバー編成とトワイライトエクスプレスの食堂車が屋外に留置されているのが確認できた。京都貨物駅で約1時間ほど停車した。京都貨物駅到着時にはJR貨物京都貨物駅の駅員の方々によるおもてなしがあり、その後駅長による来駅放送があった。JR貨物社員との交流は大変貴重なものである。そして、長時間停車中ファン心理をくすぐるイベントが行われた。6号車に設置されているサンダーチャイム放送が2度披露されたほか、長尾車掌によるトワイライトエクスプレス・ラストランの大阪駅到着放送再現も披露された。また、クラブツーリズム鉄道部員によるコンテナの形状や形式に関するマニアックなプレゼンも行われた。
京都貨物→安治川口9565M
長時間停車の後、14:37に京都貨物駅を発車する。
西大路駅構内で特急はるか号が走行する線路に転線し、桂川駅手前で本線を跨ぎ向日町駅手前で本線下り外側線に合流する。向日町駅から長岡京駅間には広大な京都総合車両所向日町操車場が拡がっており、ここにはかつて国鉄型の特急車両が多数留置されていたが、今はJR車両が列を並べている。681系や683系のほか、221系なども留置していた。京都発着の列車は向日町操車場まで回送され留置される。操車場に留置される車両を眺めているとあっという間に長岡京を通過し、名神高速道路をくぐると山崎駅に到着する。
山崎駅はホームのない待避線に停車し後続の新幹線電車を退避した。15分ほど停車したが、この間に長尾車掌から特別な車内放送が披露された。サンダーバード号・金沢到着観光案内である。3月16日の北陸新幹線敦賀延伸により聞くことができなくなった貴重な放送である。味のある長尾車掌の車内放送に聞き入った。また、山崎は京都府と大阪府の府境に当たるが、駅ホームの大半は京都府に位置しており、ホーム大阪寄りに府境が存在している。山崎といえば、サントリー山崎蒸留所が有名であり、サントリー手前の大カーブが撮影スポット(サントリー大カーブ)であるが、こちらはいずれも大阪府島本町に位置している。
山崎を発車すると茨木駅まで外側線を走行する。茨木駅の先で吹田貨物駅へとつながる貨物線に転線し、本線をまたぐ。特急はるか号が走行するルートであるため日常的ではあるが、貨物線を走行する特別なたびであることに変わりはない。吹田貨物駅の着発2番線に停車する。左に貨物駅本線があるが、着発2番線に入線することは旅客列車ではあり得ないのでこれまた貴重である。
10分停車した後、梅田貨物線へ向けて列車は進むが、この先新大阪駅を通過する。新大阪駅3番線を通過する列車は皆無である。その後、淀川を渡り、地下へ入り昨年完成した大阪駅地下ホーム22番線で運転停車する。22番線は直通快速など限られた列車のみが停車するので287系の入線自体が貴重ではないだろうか。
地下ホームを発車すると上り急勾配を駆け上がり浄正橋踏切を渡り、高架線へ上がる。上り途中には大阪環状線福島駅ホームが見える。貨物線は単線のまま西九条駅まで続く。野田駅を過ぎると大阪環状線へ転線する渡り線が何本か存在し、特急はるか号、くろしお号が渡り線を通り天王寺方面へと向かう。
西九条駅通過線を通り、桜島線の本線へと合流していく。大阪臨海部野風景を目にしながら、安治川口駅手前で貨物駅へとつながる線路へと転線し、安治川口駅着発1番に停車した。入線時には貨物列車の到着を知らせるメロディーが構内に鳴り響いていた。今回の貨物線ツアーのためにJR貨物の好意により特別にメロディーが鳴らされた。
安治川口→新大阪9566М
安治川口駅に位置する大阪貨物ターミナル駅は安治川口駅ホームの先に位置する吹田貨物駅と同様の巨大貨物ターミナルである。こちらでも1時間の停車時間が設けられた。停車中は京都貨物駅と同様特別イベントが行われ、1号車からサンダーチャイムの放送、JR西日本大阪車掌区による寝台特急日本海1号新大阪発車後(再現)、長尾車掌によるトワイライトエクスプレス大阪行きおはよう放送(再現)が披露された。
安治川口駅17:01に発車した。発車時にはJR貨物の好意で出発メロディーが鳴らされた。桜島線を走行し、西九条駅の通過線で少々停車した後、大阪駅地下ホーム24番線を通過し、17:19に終点・新大阪に到着した。約6時間のドアが開かない貨物線の旅が幕を閉じた。