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注意するかわりに「ありがとう」と言おう(アドラー心理学を意識した内部研修)

内部研修の準備をしています。私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人には、小さな事業所が8か所あります。事業所と事業所が離れているため、支援者たちが集まるのがたいへんです。

この離れ離れ緩和を解消してくれたのがZoomです。同じ場所に集まることなく研修会を開くことができます。昨年の秋、有料版に切り替えてから定期的に内部研修を実施しています。

中堅向けの内部研修

昨年度は、比較的経験の浅い支援者同士が集まって研修を開きました。今年は、少し経験がある中堅支援者向けの内部研修を予定しています。その準備を始めたところです。

経験を積んだ中堅支援者たちの研修のポイントは、慣れてきたことによる落とし穴です。対人援助の仕事を始めたばかりは、自分のかかわりで相手がどのような反応をするかわからず不安です。それが数年経つと、相手の反応が読めるようになります。相手の反応が読めると無理のない支援や利用者が望む支援を提供できます。しかし、すべてが支援者が考えるように支援ができるわけではありません。そうすると、私はしっかり支援しているのになんであなたはできないのと、利用者を責めることがあります。経験を積むと、利用者へのかかわりが上手になると同時に利用者を注意をすることが増えます

たとえば、この利用者は厳しくしないとできないとか、この利用者は注意しないとダメだという判断をします。私がそうでした。

昔の私のかかわり方は、支援ではなく支配でした。中堅支援者の研修ではそのころの私のかかわり方を事例に使い、それを正すところから始めようと思っています。

アドラー心理学で目が覚めた

私に、かかわり方がまちがっていると教えてくれたのはアドラー心理学です。私は、それまでも障害福祉サービスの制度や人権に関する研修を学んできました。しかし、そこでは「ふ~ん、そうなんだ」とか「そうは言っても…」その程度のことしか感じませんでした。ところがアドラー心理学を学んだときは、ハンマーで叩かれたような衝撃を受けました

また、障害者支援における支援方法、援助技術と呼ばれるものは難しいことをいろいろ言われます。しかし、アドラー心理学を活かしたかかわりは方は簡単な一言から始められました。それは「ありがとう」それだけでした。注意をする代わりに「ありがとう」と言います。こんな感じです。

注意を「ありがとう」に変える

どこの事業所や家庭でも「電気のつけっぱなし」という問題があります。支援者は、利用者が電気のつけっぱなしをしているとすぐに注意をします。

「〇〇さん、電気つけっぱなしです。、いつも言っているでしょう。」

支援者が、こんなふうに利用者を注意していると、他の利用者もそれをまねて注意をするようになります。例えば、その利用者がトイレから出てきた瞬間に他の利用者が「〇〇さん電気!」と言います。その利用者はいろいろな人から注意されてばかりです。そこで注意を「ありがとう」に変えました

その利用者が電気をつけっぱなしだったら「〇〇さん、わるいねぇ、電気消してきてくれる」とお願いをします。そこで電気を消してくれたら「ありがとう助かった」と言います。それだけです。電気が消えるという結果は同じです。さらに、私がその利用者に「ありがとう」と言うようになったら他の利用者も「ありがとう」と言うようになりました。

その利用者は、今まで果てしない回数注意されてきました。それが、注意される人から感謝される人に変わりました

自分には能力がある、人々は仲間だ

私たちが支援をしたとき、利用者が自分には能力がある(※1)、人々は仲間だ(※2) 、そう思ってもらえるようにすることがアドラー心理学を基本にしたかかわり方です。

支援をすることに慣れてくると簡単に注意をするようになります。中堅支援者には、そこに気がついて欲しい、そんな思いで研修の内容を考えています。

(※1)(※2) 野田俊作,パセージ

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