
使う人の目線でわかりやすくしよう
福祉サービスは、誰もが利用できるものでなければいけません。しかし、実際に使おうと思うと、説明が難しく、敷居が高いサービスです。サービス提供をしている私が、もっとやさしくてわかりやすいサービスにして欲しい、とおぼやいています。
春は異動の季節です。新年度になって3週間が過ぎました。今年の春に異動してきた人たちが落ち着き、外部機関との引継ぎが始まりました。私は、サービス提供事業所の代表として引継ぎの場に参加します。
協働で困ること
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。社会福祉法人は、事業所の経営だけでなく、地域の関係機関や行政と協働し、地域福祉の推進に貢献するよう義務付けられています。4月半ばになると、地域の協力団体や行政機関とのやり取りが始まります。
私は、理事長ということもあり、毎年変わらぬ立場で出席をします。しかし、行政担当者は、毎年、入れ替わりがありその都度名前を覚えなければいけません。私はこれが苦手です。しかし、これは異動なので仕方がありません。それ以上に困るのは、担当部署の名前が長くなったり、担当部署自体が変わることです。
昔の名前で出ています…それはダメです
また、事業そのものの名前が変わることがあります。それでなくても福祉事業は、名称がわかりにくいです。私が関係する事業では、年度替わりで二文字だけ事業名が変わりました。夜間の支援をする事業があります。3月31日までは「共同生活介護事業」でした。それが4月1日から「共同生活援助事業」になりました。公式な書類はすべて作り変えなければいけません。昔の名前で出ています、は通用しません。
他にも、一つのサービスが二つの事業に分かれることがあります。説明では「より重層的にサービスを提供します」と言われます。しかし、二つの事業になるということは、担当する課が別になるということです。実際は手続きが増えて、使いづらくなります。
解説本が難しすぎる
私の活動する市域では「障害福祉のあんない」という冊子が発行されます。冊子には、市域で利用できるサービスがすべて記載されており、無料配布されたり販売されたりしています。この冊子が年々分厚くなってきます。分厚くなった理由は、福祉サービスを提供する事業所が増えただけでなく、サービスが細分化されたことにより、同じ事業所の名前がいろいろなところに書かれることによります。ただ、探しづらくなっただけです。
ある、行政職員が、最近は見づらくて…とこぼしていたことがあります。担当者が見づらい物を、一般市民が理解できるわけがありません。
福祉サービスに合理的配慮を
福祉サービスは、専門的であり、個別性が求められます。その反面、大衆的でなければいけません。どんなに立派な制度、便利なサービスでもそれを市民が簡単に使えなければ価値がありません。
現在に至るまでは、先人たちが運動を起こし、福祉サービスの充実をはかってきました。これからは、その制度をより使いやすくアレンジしていくことが私たちの役目になるような気がします。
「合理的配慮」という言葉があります。障がいのある人もない人と同じように権利を享受し行使できるように、状況に応じた配慮をしていくことです。説明書にふりがなをふればそれで済むことではありません。根本的にわかりやすくしましょう。
これ以上、難しくなると私もついていけません。