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相手の関心に関心を持つ
2015年4月に開講された、アドラー心理学入門講座のテキストに走り書きをした向後先生の言葉です。当時はこの言葉がアドラー心理学の思想、共同体感覚に通ずる言葉だということもわからずメモをしていました。しかし、この言葉も私がアドラー心理学に夢中になったきっかけの一つです。
利用者さんとかかわるとき、支援者は利用者さんの行動ばかりを気にして、その行動の目的を見抜けないときがあります。
利用者さんがガイドヘルパーさんと出かけて、トランスフォーマーのフィギュアを買って来ました。その時のやりとりです。
私はロボットが好きなので、つい夢中になって喜んでいました。そこに担当の支援者が来ました。利用者さんはその支援者にも買って来たフィギャアを自慢しました。するとその支援者が言いました。
「またそんなの買って、部屋にいっぱいあるじゃん」。
そのとき、利用者さんがつぶやきました。「自分の給料で買ったんだからいいじゃん」。そのまま部屋に行ってしまいました。
その支援者は怒っていません。顔も笑っていました。でも利用者さんは不快に感じました。
確かにこの利用者さんはたくさんフィギャアを持っています。それが部屋中に散らばっています。ご家族が来るとそれを注意しています。
でもこのタイミングで余計な一言を言ってはいけません。逆にこれは良好な関係を築くチャンスです。このときに有効なのが、相手の関心に関心を持つということです。利用者さんは欲しかったフィギャアを買った、それを自慢したかった、そこに関心を持つことでとても良好な関係が築けます。
相手の関心に関心を持つ、伝えていきたい技術です。