ルールにとらわれすぎない(法人の支援姿勢)
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。私の法人には、法人理念を具現化した支援姿勢が3つあります。支援姿勢は、次の3つです。
① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫
② 伝える工夫
③ ルールにとらわれすぎない
前々回は、① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫について書きました。前回は、② 伝える工夫について書きました。今日は、最後の③ルールにとらわれすぎないについて書きます。
私的感覚のルール
障害福祉サービスは、集団行動です。そのためルールがあります。しかし、ルールには目的が必要です。また、その集団に参加している人たちがその目的を理解していなければいけません。さらにそのルールにとらわれすぎると窮屈になって辛くなります。
障害福祉サービスにおいて、主体は利用者です。しかし、そこでのルールを決めるのは支援者です。利用者はそのルールの決定に参加していない場合がほとんどです。
ある事業所では、スーパーの袋は三角に折りましょう、というルールがありました。また、サラダにかけるドレッシングは和風ノンオイル、というのもありました。熱いお茶禁止(お茶には必ず氷を入れる)というのもありました。一応、支援者としては理由があります。
ドレッシングにはノンオイルは、利用者はドレッシングをかけすぎる傾向があり、かつノンオイルでなければカロリーが高いからということでした。支援者としては、利用者の健康を配慮してとのことだと言います。
また、熱いお茶禁止は、やけど防止です。利用者の中には、出された飲み物を一気に飲んでしまう人がいます。また、ちょっとした動きで、こぼすことがあります。そのときに大惨事にならないためだと言います。
スーパーの袋は三角…これは、よくわかりません。ただ、支援者のこだわりです。
また、自閉的な障がいのある人は、その物が決められた場所に置かれていないと、そこにこだわって不穏になります。支援者は、こっちに置いた方が支援者にとって利便性が高いという理由で場所を変えます。しかし、利用者は、もとに戻さなければ気がすみません。支援者が、これはこっちなの、と言い張ってもそれは解決できません。
アドラー心理学に学ぶ
のちに、アドラー心理学を学んだとき、私的感覚を押し通すのではなく、共通感覚を見つけることが大切であるということを学びました。また、ルールを決めるときに気をつけなければいけないことは、Passageのテキストに書かれている「家族会議」を参考にすると効果的です。
Passageのテキストから、2点、引用します。
・(ルールは)内容が合理的でなければいけない
・(ルールは)平等に適用されなければいけない
(野田俊作.Passege.第7章33-L)
ルールは、支援者だけが利便性を求めて決めてはいけません。また、そのルールは利用者だけに適用され、支援者が例外になってもいけません。
Passegeのテキストには、素敵な言葉が並んでいます。最後に一文引用します。
ルールは、子どもも含めてみんながしあわせに暮らすための手段なんです。目的はしあわせに暮らすことです。
(野田俊作.Passege.第7章33-R)
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