「今日のほほえみ」
新しい支援者の雇用が始まり、新人支援者と一緒に時間を過ごすことが増えました。そのとき、新人の支援者には、「楽しいできごとを忘れないでください」、とお願いをします。
地域作業所Begin
私は、今の法人を作る前に、小さな事業所の立ち上げに関わりました。その事業所の名前は「地域作業所Begin」と言います。今は、一緒の法人の中の事業所として存続しています。
その事業所を立ち上げたのは、20年ぐらい前です。当時は、「Begin」という名前がわかりずらいと、行政から指摘を受けました。それでも、英語の名前をつけてはいけないという決まりがなかったし、利用者には好評だったので、強行突破をしました。
今日のほほえみ
私が「Begin」を始めたころ、業務日報に「今日のほほえみ」という欄がありました、その日に起きたおもしろいできごとを言葉にして書きとめておくというものでした。
「Begin」は、身体介助や介護の頻度が高い人が利用していました。辛いなぁ、と思うこともたくさんありました。だからこそ、その日に笑ったことを意識しようというねらいがありました。
「今日のほほえみ」、たとえば、こんな感じです。
ある利用者が、地域のイベントに参加して自己紹介をしました。
「私は、ビジンの花子(仮名)です」
「Begin」を「ビジン」と発音をしている利用者やご家族がたくさんいました。
また、外出のとき、スタバのカウンターで「コロッケ弁当ください」と言ったことや、マックで「モスバーガーください」と注文をしたこと、ドトールで「あったけぇ(温かい)コーラあるかなぁ」と言ったことなどを書きました。そんな楽しい話をしながら、一日を終えていました。
続ける秘訣
しかし、その習慣も、効率化や人権への配慮という観点からいつしかなくなってしまいました。人権への配慮という視点でだいじなことは、そのできごとをオーバーに表現して、それをちゃかさないということです。そのときに楽しかったことや、笑っちゃったできごとは、記憶に残しておくことがこの仕事を続ける秘訣の一つです。
私たちは、楽しいエピソードと一緒に成長します。今は、言葉にして書きとめておくことはありません。しかし、新しくこの仕事を始めた人たちには、日常の笑いを忘れずにいて欲しいと思っています。