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ちゃん付けで呼んだ方が親しみがわくという誤解
福祉サービスを提供する事業所において、利用者の名前の呼び方については、新人職員に正しく引き継がなければいけません。
私は、障がいのある人が利用する事業所の経営をしています。今年は、例年よりも遅れて新しい支援者の雇用をしたため、今が研修の真っ最中です。この研修では、日ごろ自分のやり方を言葉にして説明をするので、私にも良い勉強になります。
利用者の名前の呼び方
今、福祉サービスにおいて利用者の名前の呼び方は「〇〇さん」と、さん付けで呼びます。少し前までは、ニックネーム、ちゃん付け、よびすてが多くありました。それがやっと改善されてきました。しかし、気をつけないとすぐにカタチがくずれてしまいます。どんな場合にくずれていくか説明します。
利用者同士の呼び方に同調してしまう
利用者の中には、言葉を話すことができない人がいます。新人の支援者が初めて利用者の前で自己紹介をしたとき、しゃべれない利用者の代わりに、仲間が紹介してくれることがあります。
「この人ね、ハナちゃんっていうの、花子だから、ハナちゃん」こんな感じです。利用者が仲間同士ちゃん付けで呼んでいます。日常会話のなかでついつい同調してしまい、それが習慣化してしまうことがあります。
利用者からニックネームやちゃん付けで呼んでほしいと頼まれる
利用者本人から、ちゃん付けで呼んでほしいと頼まれることがあります。私たちの支援は個別化が求められます。それは、一人ひとり、その人にあった支援です。しかし、その反面で一般化が求められることがあります。名前の呼び方がそれにあたります。
自分のことをちゃん付けで呼んでほしいという利用者も、自分より年下の利用者にちゃん付けで呼ばれると怒ることがあります。そのため、ちゃん付けで呼んで欲しいという利用者にも、事業所の中は社会的な付き合いをする場所だといことを繰り返し説明し、さん付けで呼び合うことをお願いすることが求められます。
ちゃん付けの方が親しみがあるという誤解
支援者の中にも、いまだにちゃん付けで呼びたがる支援者がいます。ちゃん付けの方が、親しみがわくというのです。しかし、それは支援者の勝手な思い込みです。ただ今までのスタイルをくずしたくないか、子どもあつかいしたいか、そんな思いがその背景にはあるのかもしれません。
支援者は、親しくなろうと思ってちゃん付けで呼んでいました。しかし、利用者からはなれなれしい、と思われてしまった事例がありました。
親しくなるためには…
利用者と親しくなるためにだいじなことは、名前の呼び方ではありません。まず、日ごろからしっかり話を聴くことです。そうすれば普通に親しくなれます。