社会情動スキルを身につける⑧/ポジティブな思い出を探る
早稲田大学エクステンションセンターZoom講座「社会情動スキルを身につける(講師:向後千春)」で学んだことを、私の仕事に関連付けてnoteに書いています。講座は、02月06日と13日の2回でした。今日からは後半で学んだことをまとめます。
社会情動スキルとは、非認知能力、人柄や態度、習慣等です。それらをトレーニングする方法について学んでいます。前半では、社会情動スキルを向上させるために必要な4つの心理的資本の内2つを学びました。心理的資本は、次の4つです。
4つの心理的資本
・Hope「達成への意思と経路」
・Efficacy「効力感と自信」
・Resilience「立ち直り乗り越える力」
・Optimism「現実的で柔軟な楽観主義」
(こころの資本 /著:フレッド・ルーサンス)
講義の後半では、Resilience「立ち直り乗り越える力」とOptimism「現実的で柔軟な楽観主義」の2つを学びました。
まず、今日は、導入のグループワークのことを書きます。
思い出深いポジティブなできごとをを探る
一つ目のグループワークのテーマは、人生の中で起こった思い出深いポジティブなできごとを思い出し、感情、行動、人物、さらにその原因となる要因を自分によるものと統制外のものに分けて考えるというものでした。
私は、思い出深いポジティブなできごととして結婚を選びました。結婚までは自分もがんばったし、統制外のことでは、お互いの仕事のタイミングが大きく影響をしました。なお、グループの他のメンバーからは、仕事の話などがあがっていました。
また、私は、このグループワークのとき、このテーマについて私と付き合いの長い利用者のことを考えていました。私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。事業所の利用者の中には、20年、30年の付き合いの人がいます。その人たちの思い出深いポジティブなできごとを探していました。
一番のポジティブなできごとは…
以前、行政のモニターが来たときのことです。一人の利用者が、今の事業所(就労系)に行かれたことが一番良かったことですと話していました。その人は、私たちの法人のグループホームを利用し、昼間は、別の法人のサービスを使っています。
私たちの法人が経営している事業所は生活支援が中心です。その人は、それでは物足りなく、もっと仕事がしたいと思っていました。そこで一緒に、他の事業所を探しました。納得のいく事業所に決まるまでは、半年かかりました。何か所も見学をして、面接をして、実習をして、今の事業所になりました。その後、初めてお給料をもらった日、私に電話をくれました。
このポジティブなできごとの要因で、本人の力は、あきらめずにがんばり続けたことです。また統制外のことは、受け入れてくれた事業所の状況です。
統制できないことが多すぎる
私が長くお付き合いをしている人の中で、このようなはっきりとしたできごとを持っている人は少数です。多くは、養護学校の高等部を卒業し、家族や先生のすすめで実習をした事業所の利用を始めます。ほとんどが自己統制外のできごとです。
また、福祉サービスは、平均的なサービスです。とびきりネガティブなできごともなければ、とびきりポジティブなできごともありません。人生の多くを他人が統制しています。
私の仕事人生の後半で、どれだけ多くのポジティブ体験を支援できるか、自分で統制できる経験を支援できるか、そんなことを考えたワークでした。