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面接では私の個人情報も話します
利用者の支援をする支援者は、利用者のプライベートなことまで知っています。また、知らなければ支援ができないことがあります。その反面、利用者は、支援者のことを知りません。ここにも情報の非対称性が存在します。
製品は人をみて買います
私たちは、大きな買物をするとき、あらかじめ、その会社の情報や製品の性能を調べます。さらには、口コミを見て、他の店舗と比べたりします。その製品の値段が高ければ高いほど、製品の付加価値として、感じの良い店員から買いたいと思います。立派な会社でも、販売員の態度に納得しないと買う気にはなれません。
私は障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今の社会福祉サービスは、一つの製品です。また、その市場は、売り手市場です。
知らない人から物は買わない
以前、テレビである経営者が、自己開示について話をしていました。その経営者が話していたことはおおよそ次のようなことです。
営業マンが自分のことを知ってもらうことは、会社のことや商品知識と同じくらい大切である。いくら価値がある商品でも、まったく知らない相手からは買う気になれない。会社が有名でも、お客さんが見ているのは、営業マン「個人」だ。
福祉に欠けている視点だと思いながらそのテレビを見ていました。
福祉サービスにおけるヒエラルキー
私たち支援者は、初期面接で、利用者の経歴や家庭のこと、その人の得手不得手、あらゆることを知ろうとします。もし自分がサービスを受けるとしたら、まったく知らない人に何から何まで話すのは抵抗を感じます。しかし、福祉サービスには、ヒエラルキーが存在します。利用者は、根掘り葉掘りあらゆることを聞かれます。
反対に、支援者は「個人情報」だからと、自分のことを話しません。支援者は、利用者から何か聞かれると「ひみつー」と笑ってごまかします。これでは、いつまでたってもヒエラルキーは変わりません。
自分のことも知ってもらおう!
私は、支障がない範囲で自分のことを話します。とくに利用者が話してくれたことに関連づくような自分のことを話します。
利用者が好きなアイドル、食べ物、住まい、行ったことがある場所、なんでも良いので、利用者の話に自分の生活を重ねます。その流れで、より深い話を聞きます。ときにはネタを仕入れることもあります。年齢の若い利用者と面談するときは、事前に私の娘から、旬な芸能情報を教わります。そこから私の娘の話になることがあります。そのときは、しばらく娘の話をします。
ご家族と話をするときも一緒です。できるだけ共通の話題を見つけて、私の話を聞いてもらいます。
面接で大切なことは、いかに自分を知ってもらうか、信用してもらうかです。これから長いお付き合いが始まります。どうしたら自分を好きになってもらえるかを意識することを心がけます。
利用者からいっぱい話を聞きます。その分、私の情報もできるだけたくさん話します。