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アドラーフェストでの発表から/相手の関心に関心をもつ

03月13日、オンラインによる第6回アドラーフェストで発表をさせていただきました。アドラーフェストはアドラー心理学を研究、実践する仲間が集まるお祭りです。私の発表は「アドラー心理学を応用したアセスメントとスーパービジョン」というタイトルで、アドラー心理学を応用した障がいのある人の支援についての事例を発表しました。

私は、早稲田大学中野エクステンションセンターでアドラー心理学を学び始め、その後、アドラー心理学を基礎とする子育てにおける親の育成プログラム「パセージ」を受講しました。そこで学んだことを私の仕事である、障がいのある人の支援場面で応用しています。

発表の中で、アドラー心理学を意識したかかわりで利用者が変わった、よけいな話、無駄話が増えた、よけいな話をしてくれると真面目な話もしてくれる、やがて相談事も話してくれるようになった、と話をしました。その話について、それはどのようなかかわり方ですか、という質問をいただきました。その点について説明をいたします。

利用者との距離を遠ざける言葉かけ

利用者が休日に外食をしてきました。グループホームに帰ってきて、支援者と一緒に小遣い帳をつけます。そのときレシートを見ると「山盛り唐揚げ定食(ご飯大盛)」と書いてありました。その利用者は、肥満化傾向にありました。そのレシートを見た支援者は、「また揚げ物食べて」と注意を始めます。それまで、ウキウキでいた利用者の気持ちは一気に萎えてしまいます。

同じように、ガイドヘルパーと外出した利用者が、グループホームに戻って来るなりニコニコで「見てー」と小さなぬいぐるみを差し出しました。出迎えに出た支援者は、「また買ったの?部屋に同じようなヤツがいっぱい転がっているじゃん」とクギをさします。

こういう言葉かけの積み重ねが利用者と支援者の距離を作ります。支援者がこの場面で注意をしても事態は何も変わりません。揚げ物を食べたこともぬいぐるみを買ったこともリセットされません。また、これで次回が改善されるわけではありません。反対に、やがて利用者は何も話さなくなります。また隠すようになります。事態は悪化します。

私もアドラー心理学、パセージに出会う前は、注意することが中心のかかわりでした。

相手の関心に関心をもつ

今、私がこの場面に出くわしたら、「わっ、唐揚げ、いいなぁ、醤油味?、ニンニク味?」と話を広げます。また「ぬいぐるみ、かわいいねぇ、名前、どうしようか」と投げかけます。そうすると、唐揚げの自慢をしてくれるかもしれません。また、もっとぬいぐるみを見せてくれるかもしれません。私は、話したい、見せたいという相手の関心に関心をもちます

パセージでは、話を聴くことや開いた質問がだいじだということと、相手を援助できるのは関係が良いときだけだということを教わりました。

怒ってばかりいる人には話しかけるのには勇気がいります。日々のやり取りの中で、安心して話をしてくれる関係を作ります。その後、関係が良いときに提案をします。「明日、何、食べて来るの?ボク、美味しいお店知ってるんだけど行ってみない?」

反対に、山盛り唐揚げ定食(ご飯大盛)を食べた利用者からも情報提供の電話がかかってきます。「髙橋さん、美味しいお店見つけたよ、今度、行ってみなよ」。しかし、教えてもらったお店にはまだ行っていません。おすすめの理由が「大盛り無料」とか「おかわり自由」です。私も体重を気にしています。

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