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されたくない支援

障がいのある方の支援場面において、支援者は常に利用者にとって最善であることを考えて支援をしています。しかし、反対にその最善を尽くそうという行為が人権侵害につながったり虐待になってしまうことがあります。その背景にはパターナリズム的な考え方が潜んでいます

障がいのある方の支援をする者は「支援者」と呼ばれます。以前は「指導員」でした。さらにその前は「先生」でした。しかし、残念ながらいまだ指導者が抜け切れていない支援者がたくさんいます

支援者に話をすると、「そんな無理になんてしてませんよ」と言います。活動場面を見ていると、無理やり仕事をさせたり、無理に落ち着かせようとすることはなくなりました。しかし、支援者が強くでる場面があります。それは歯磨きの支援です。

食後、支援者は歯磨きの手伝いをします。利用者の手に支援者が手を添えて一緒に歯を磨いたり、利用者が磨き終わったあとに仕上げをします。そのとき、支援者は大きな態度に出ます。

「ハイ、口開けて」「もっと大きく」「それじゃ磨けないでしょう」「もうちょっと辛抱して」

支援者は虫歯になってはいけない、そんな思い一筋に利用者の歯磨きを手伝います。虫歯になって困るのは自分でしょ、そう思っています。しかし、人前で口を大きく開けるのは苦痛です。さらに他人に口の中をいじられるのは不快です。支援者は、支援と言う大義名分で、利用者の辛さを意識しなくなります

今日、ある支援者の支援を見ていて勉強になりました。その支援者は、「ごめんね、すぐに終わるからね」「嫌だよね、でももうちょっとだからやらせて」そんな声をかけながら、支援をしていました。

支援は、されたくないところにまで手を出さなければいけないことがあります。支援される人の辛さを忘れないようにしなければいけません。

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