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タテの関係をやめよう
今日、ニュースで障がいのある人への虐待事件が報道されました。虐待事件は一向に減りません。私は障がいのある人が利用する事業所を経営しています。このような事件が起きるたびいろいろなことを考えます。
今日、報道されていた虐待事件は、暴力行為等です。このような虐待が起きる背景には、利用者と支援者のタテの関係が存在します。私も以前は、支配的な支援をしていました。そんな私にヨコの関係を教えてくれたのがアドラー心理学です。アドラー心理学では、いかなる人も価値ある存在で、人と人は対等なヨコの関係です。
私がアドラー心理学を学び始めてすぐに改善したことは、利用者のロッカーのカギの所有です。当時、利用者が事業所で使うロッカーにはカギがありませんでした。もちろん事業所で働く支援者のロッカーにはカギはありました。
この問題を指摘したとき、多くの支援者から反対や疑問視する声がありました。
「カギを失くしたらどうするんですか?」
「私たちがいちいちカギをかけるんですか?」
「カギをかけなくても誰かがイタズラされないように見ています」
「貴重品だけ預かればいいんじゃないですか?」
そんなことを言われました。
私たちの仕事は、支援です。管理は支援の極一部です。管理することが支援ではありません。
自分のロッカーのカギを自分で所有することは、利用者の権利です。誰にも同等の権利があります。その権利を守り、行使するための方法を考えて手伝うのが支援です。
カギのことを見直してから間もなく5年が経ちます。常にカギをかけて自分でカギを所有している人、カギを支援者に預ける人、カギをカバン付けたままでまったく興味を示さない人、様々です。当初、支援者が心配していたことは何一つ起きませんでした。
私たちの仕事に「権利擁護」があります。権利擁護は、支援者が権利を厳選してそれを与え、行使させることではありません。権利は、誰もがもともと平等に持っているものです。それを呼び起こし、使えるように手伝うことが私たちの仕事です。
虐待を減らすためにはこの視点から見直すことが必要です。