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正しいことよりも答えて欲しいことを答える(我が家でスーパービジョン②)
対人援助の仕事において、利用者を否定しないというのは大原則です。しかし、とっさに利用者の言葉を正してしまい、利用者を不安にさせてしまうことがあります。
我が家のスーパービジョン
最近、我が家では夜な夜な、スーパービジョンが展開されます。福祉業種におけるスーパービジョンとは対人援助におけるスキル向上を目的とした教育システムです。
長女と次女が、家から歩いて5分のところにある高齢者デイサービスでアルバイトをしています。二人とも仕事に慣れた半面、いろいろな疑問や失敗もあり、その思いを私にぶつけてくれます。子どもたちがぶつけてくれる悩みは、いつも心に刺さります。
余計な一言が不安にさせます
私は、障がいのある人が利用する事業所を経営する社会福祉法人の理事長をしています。法人の本部、事務室は、利用者の皆さんも自由に出入りします。私が、パソコンに向かっていると、たくさん話しかけてくれます。パソコンに夢中になっているときに声をかけられると、余計なことを言ってしまい怒られます。
利用者が話しかけてくれること、とくに確認を求められることの中には、私の概念と異なることがあります。そんなとき、それを正してしまうと利用者は不安になります。
つながることが大事
たとえば、曜日の確認です。利用者が聞いてくることと、実際の曜日が違います。支援者がそれを訂正しても、利用者は納得をしません。私たちは、常に、月火水木金土日を意識して生きています。しかし、それを気にしていない、もしくは必要としていない人がいます。その人にその概念を押しつけてもコミュニケーションは成立しません。
そのときは、「そうか火曜日なんだぁ」とか「水曜日が好きなんですね」、と会話を続けます。利用者も「そうだよ」と返してくれます。また、「木曜日、何があるのかなぁ」と話を広げます。だいじなことは、それをきっかけにしてつながるということです。
私の娘も、ちょっとしたことを正したら利用者が不安定になってしまった、と話していました。
答えて欲しいことを答える
この季節、気温に関するやりとりにも注意が必要です。利用者が「今日は寒いねぇ」と言ったとき、支援者が「そんなことないですよ、昨日より温かいですよ」という事実を伝えると、「あら、私、熱でもあるのかしら」と不安になる人もいます。
私たち支援者は、利用者の生活に支障をきたさない範囲において、支援者の概念に基づく正しさより、その利用者の求める回答を答えることが必要です。
そのためには、日ごろから、利用者の関心に関心を示すことです。その人が喜ぶ反応と、嫌がる反応をつかんでおくが有効です。
⇩我が家でスーパービジョン①