好きな物を食べたい!(コロナ禍における高齢福祉サービス)
私のお袋は特別養護老人ホームで生活をしています。このコロナ禍において、お袋は今まで以上に自由が利かずストレスを抱えています。また、同様にホームの支援者はたくさんの不安を抱えています。その中で、ホームの支援者は、いろいろな工夫をしてくれます。
コロナ禍における面会
私のお袋が入居する老人ホームは、私の職場のすぐそばを選びました。そのため、頻繁にお袋に会いに行くことができます。しかし、このコロナ禍においては面会ができません。
コロナ禍以前は、週に2、3回お袋に会いに行っていました。ただし、会いに行くといっても仕事の休憩時間に行くので5分程度です。特に話をすることもないのでそれで充分でした。今は、それができません。面会禁止は、お袋のホームに限らず、どこの老人ホームも同じような状況です。
今は週の半ばにホームに電話をして、お袋につないでもらいます。そこでお袋に買い物のリクエストを聞き、それを週末に届けに行きます。明るいうちに行くとガラス越しにお袋に会うことができます。ホームの支援者が、非常口の大きなガラス戸の向こうにお袋を連れて来てくれます。私は、外に立って、ガラス越しにPHSでお袋と話をします。お袋は、最近、会うたび涙ぐむようになってきました。
私のお袋は、意識はしっかりしています。しかし、足が悪く歩くことができません。車いす生活です。そのため、ホームの支援者が車いすを押して、棟のはずれにある非常口まで連れて来てくれます。連れて来るのは簡単です。しかし、そのために一人の支援者が持ち場を離れるのでリスクがあります。その分、他の支援者がそこにカバーに入ります。ありがとうございます。
好きな物が食べられる幸せ
私がホームに行く目的は差し入れです。お袋は、食べ物の好き嫌いがありホームのご飯を好みません。ホームで提供される、薄味の煮物や白身魚が苦手です。お袋は、体に悪い、塩分たっぷり、ガッツリ調味料の味が大好きです。また歯がなくても肉を好みます。さらに、飲物は甘いミルクコーヒーかコーラです。体に悪いものばかり食べています。しかし、まもなく90歳です。私は、そのお袋のリクエストで食材を届けます。
また、今は外食もできません。お袋は肉を食べたがっています。そこで、ホームの支援者が肉料理を買って来て温めて出してくれます。私は、障がいのある人が利用するグループホームを経営しています。福祉サービスは、個別支援が原則です。しかし、利用者一人ひとりの嗜好に合わせるのは大変です。お袋のホームの支援者も大変だと思います。ありがとうございます。
介護保険のサービスです
こういう話をしていると、「理事長のお母様だとやっぱり行くところが違いますねぇ」と、言われることがあります。これは、大きな勘違いです。お袋が生活をしているところは、ごく普通の特別養護老人ホームです。介護保険適用の老人ホームです。特別な負担金もありません。肉は実費です。
これが今の日本の高齢福祉サービスです。私がかかわる障害福祉サービスも、高齢福祉サービスから学ぶことがたくさんあります。
このコロナ禍では、支援者の皆さんは神経をすり減らしていることと思います。その中での配慮、心より感謝申し上げます。いつもありがとうございます。
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