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思い込みや決めつけをやめよう
障がいのある人の支援において、支援者がこの人はこういう人だと思いこみ、決めつけて支援をしていることがあります。思い込みや、決めつけは気づきを遅らせます。
障がいのある人が利用する事業所を経営しています。理事長業務の他、ときどき、支援者の定期会議に呼ばれます。そこでは、利用者の支援計画を基に支援状況の確認をおこないます。
担当部長が気がついた
その会議でのことです。担当部長が、ある利用者の就寝時間が極端に早くなっていることに疑問を持ちました。それに対して支援者は、その人は、一人で部屋にいる方が好きだから、お部屋にお連れすると必然的に寝る時間が早くなってしまいますと言います。
しかし基礎情報には、一人が好き、リビングにいるより部屋の方が好き、という記載はありません。また担当部長が宿泊をしていたときは、遅くまでリビングですごしていたと言います。話を聞いていくとそこに思いこみ、決めつけがありました。
普通の暮らしが注目されない
担当支援者が変わるときは引き継ぎをします。しかし、支援者間の引継ぎは、課題となることや、注意するべき点について重点的に引き継がれます。よってあたりまえのこと、普通の暮らしが薄れます。この利用者の普通の暮らしが引き継がれませんでした。
この利用者は、自閉症と呼ばれる障害を持っています。世間一般的に自閉症の人は人づきあいが苦手だ、大勢でいるより一人の方がいい、そんな勝手なイメージがあります。この利用者への支援もそうでした。
思い込みや決めつけの結果でした
担当部長が話をしてくれたことです。
この利用者は、人とかかわるのが嫌いなわけではない、苦手ではあるけど人と一緒にいることが好き、ただ周りの人が部屋に行きなさいって言うから部屋に行くだけ、また人とどうやってかかわっていいかわからないからそのまま部屋にいるだけ、みんなが一緒にいよう、と声をかけてあげれば一緒にすごせるから、誘ってあげてください。
もしかして、以前、リビングが騒がしすぎて部屋に逃げ込んだことがあり、部屋で落ち着いていたとします。それを見た支援者が、この人は部屋にいる方が好き、そう思いこみそれを続けていただけかもしれません。
忘れないで…
思い込んでいるとだいじなことに気がつきません。決めつけていると、利用者は我慢をして辛い思いをしていることがあるかもしれません。
事業所の利用者には、医師の診断により障害名がついています。たしかに行動パターンには、障害による傾向があります。しかしそれだけでその人のことを決めつけてはいけません。そのことを忘れてはいけない、だいじなことを思い出させてもらいました。