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VIRTUAL SILENCE / CHIE NISHIMURAの収録曲と繋がる線

VIRTUAL SILENCE

12月にリリースしたVIRTUAL SILENCE / CHIE NISHIMURA。

西村知恵とのデュオユニット Virtual Silence を始めるきっかけは私の BGA(Back Ground Ambient) 透明な家具の映像でした。




オーセンテ ィックなジャズ・ヴォーカリストとして活動してきた彼女は今までの活動とは違う何かを模索していたのだと思います。
縁を必然と捉える彼女 らしく、今作のミュージックビデオやフォトワークの現場となったのもこの映像と同じ私の父の鉄工所です。


このボーカルとフレットレスベースのデュオのライブは六本木サテンドールで開催されました。当時、業界的に保守的とされていたサテンドー ルは体制が代わり、新しい井上店主の全面協力の元、マニアックな編成でのチャレンジを受け入れてくださったのです。
このデュオユニット のレパートリーとして西村知恵が提案した曲にカーラ・ブレイの「Utviklingssang」がありました。
『Social Studie(1981)』収録のノルウェ ー政府のダム建設計画が及ぼすラップランドの環境破壊の懸念を表した「Utviklingssang」を基軸にビバップや私の曲などをレパートリーに 歌詞を廃した叫びのような表現を模索していたのです。

2020 年 2 月、Virtual Silence の 2 回目のライブにギタリスト井上銘が足を運んでくれたことで思いつきました。
このデュオに井上銘のギタ ー、そして...本田珠也のドラムが入ったら強靭な音楽が出来上がる...!と確信してカルテットでのライブを画策するに至りました。
そして 2020 年 10 月にこのカルテットでのライブが実現。
そのライブの手応えはあまりあるものでした。
緊張感と共に、自分の音楽が結実したような、 圧倒的な充足。
西村知恵も同じような感覚だったようです。
この手応えから即レコーディングに舵を取りました。

2021 年 4 月にレコーディング。
2021 年 8 月に 2 度目のライブを新宿ピットインで開催。

楽曲、アレンジ、ロゴ作成、アートワーク、映像編集まで私がディレクションさせていただきました。
最終的な判断は西村知恵が司りましたが 常に文句を言わず、
私の好きなことをのびのびとやらせていただけたこと、本当に感謝しています。

多くの方の想いを巻き込んで作られた作品です。
関わる方々のいろいろな表情、心根、胃の中が視えるような日々でした。

井上銘(Guitar) 織原良次(Fretless Bass) ⻄村知恵(Vocal) 本田珠也(Drums)


このカルテットが産まれた時間はまるまるコロナ禍でした。

2011 年の震災を機に書いた自作曲 2 曲と、2020~2021 年のコロナ禍で産まれた 2 曲。
そして、渋谷毅さんの名曲のカバーを 1 曲配置することで今作は完成致しました。


収録曲について。

1.溶けた日常 /Metamorphosed (2020)

メタモ―フォ―ズド。
変容の末 。
奪われてしまった日常。


2.矛盾の街 /Vain pursuit (2021)

ヴェイン パシュート。
求めるも虚しく。
虚しい街の風景。


3. Beyond The Flames


4.人間が住んでる /The past decade (2011)

ザ パスト ディケイド。
過ぎ去りし 10 年。
人間が住んでいる ' のに ' 起こってしまうこと、人間が住んでいる ' から ' 起こってしまうこと。
鎮魂ではなく文明の儚さをイメージ。

※発売当時は作曲から10年の節目でした。


5.汚れた群青 /Grief runs deep (2011)

グリーフ ランズ ディープ。
哀しみは深く流れる。
汚れていく海。
それは淡く青い大陸棚を越えて、深海深くまで。


繋がる線。

災害や疫病、戦争や貧困、幸福と困難、常にひとつの線で繋がっている。
作曲した曲たちが全て地続きであることを意識し続ける日々。
今世から居なくなってしまった人とその記憶。
穏やかな世界と裏腹に常に蠢いているそうでない世界。



2022 年 9 月 4 日日曜日。
吉祥寺シアターにてレコ発です。


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織原良次 | フレットレスベース奏者
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