伝達関数の真実
前回は伝達関数の基本形を紹介しました。
1次系・2次系が基本の形ですが、それぞれあるパラメータは一体なにをいみしているのか?教科書には載っていますがいまいち意味がわからない。
つながりがない用に感じていました。
今回は、1次系、2次系の持っているパラメータが意味することを紹介したいと思います。
まず1次系についてです。
$${\frac{u}{y}=\frac{1}{1+sT}}$$
教科書には$${T}$$は時定数と呼ばれると書いてあると思います。
時定数は一定値落ち着く値の63.2%に到達するまでの時間を示す。と教えられると思います。
はい・・・そうですか。わかりました。。
この後教科書にはボード線図と言われる周波数vsゲインの周波数応答のグラフが出てきて、うんぬんと記載がされていると思います。
時間→周波数・・・パニックです。
なんとなくそうですかと思わざるを得ません。
この謎を解決します!
すべての教科書の内容は正しいです。ですが、つながりが見えないというのが問題なのです。
ここで時定数と周波数の関係性を明らかにする必要があります。
時定数と周波数の関係性は次の式で表現できます。
$${T=\frac{1}{2\pi{f_c}}}$$
$${f_c}$$はカットオフ周波数を表します。
すると1次系は
$${\frac{u}{y}=\frac{1}{1+sT}=\frac{2\pi{f_c}}{s+2\pi{f_c}}}$$
と表現できて周波数で入出力ゲインがどうなるかがつながります。
ここまで教科書で書いてほしい・・・。
これで1次系の伝達関数が周波数でどうなるかがわかりました。
それでは次は2次系です。
これがはまた意味がわからなくポイントだと思っています。
$${\frac{u}{y}=\frac{\omega_n^2}{s^2+2\zeta\omega_n{s}+\omega_n^2}}$$
今度は$${\zeta}$$と$${\omega_n}$$のわけわからないパラメータがでてきます。
教科書によると$${\zeta}$$は減衰係数、$${\omega_n}$$は固有角周波数と書いてあります。
$${\zeta}$$は0.707より小さいとき共振点が発生し、大きいときはカットオフ周波数が小さくなるという特性があります。
基本的には$${\zeta=1}$$で設定しておけばOKです。
$${\omega_n}$$なのですが、これはカットオフ周波数と同じ意味になります。
$${\omega_n=2\pi{f_c}}$$
という関係性があります。
そういえば$${T=\frac{1}{2\pi{f_c}}}$$という関係もありましたので、
$${T=\frac{1}{2\pi{f_c}}=\frac{1}{\omega_n}}$$となります。
これで時定数とカットオフ周波数と固有角周波数が結局同じことを表していることがわかります。
1次系の表現は
$${\frac{u}{y}=\frac{1}{1+sT}=\frac{2\pi{f_c}}{s+2\pi{f_c}}=\frac{\omega_n}{s+\omega_n}}$$
2次系の表現は
$${\frac{u}{y}=\frac{1}{1+2\zeta{T}{s}+T^2{s^2}}=\frac{(2\pi{f_c})^2}{s^2+4\zeta\pi{f_c}{s}+(2\pi{f_c})^2}=\frac{\omega_n^2}{s^2+2\zeta\omega_n{s}+\omega_n^2}}$$
それぞれ、時間[s]、周波数[Hz]、各周波数[rad/s]の表現ができるということになります。
ここで注意なのですが、2次系のときは時定数は定常状態の63.2%の時間にはなりません。26%程度になり同じ時定数では2次系の方が応答性が悪くなります。
教科書では1次系は時定数で表現、2次系は固有角周波数で表現するというエキセントリックな表記をしています。
実際に設計で使い易いのは周波数だったりします・・・。
これが伝達関数の1次系、2次系の真実です。
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