ロンドンのパブでは幽霊がうろうろしているらしい
カムデンヘッドにはジョージと呼ばれる幽霊がいます。1806年からパブのセラーに住んでいて、たくさんのパブの主人に目撃されています。もしジョージがパブの主人のことが好きならば、しばらく近くに居残り続けるでしょう。もしそうでなければ、1年もしないうちに消えてしまいます。ジョージは1991年にセラーが新しく再配置されて以来、姿を見せていません。でも誰も知ることでしょう、もしかしたら今夜出没するかもしれません、、、
これは僕がロンドンに住んでいた時によく通っていたパブに出没する幽霊、ジョージの話です。よくこのパブでビールを飲んでいたのですが、僕はジョージを見たことは一度もありません。
パブでは、このように幽霊にまつわるエピソードがたくさんあります。イギリスでは幽霊はなんとなく「コミカル」な存在で、日本のように恐ろしい、おどろおどろしいイメージはありません。それぞれのパブにはそれぞれのエピソードがあり、常連さんはその幽霊に愛着さえ覚え、酒のあてとして幽霊話はよく語られます。
僕は一度、ロンドンでパブでの幽霊ツアーというものに参加したことあります。幽霊にゆかりのあるパブを巡るというものです。ガイドの話によると、あるパブでは、参加者の一人がツアー中に取り憑かれ、失神したこともあるらしいです。ツアーの最初に「もしこのような憑依、幽霊が悪さをしてあなたに被害があっても私たちは一切責任を取れません」と説明されて参加者は結構ビビらされます。しかし、ツアー自体はただの酒好きの集いで、幽霊ツアーで始まったのはいいものの、最後は結局ただの飲み会みたいになってしまっていました笑。
今回は個性的な幽霊がいるパブをいくつか紹介したいと思います。
The Bow Bells
東ロンドンに位置するThe Bow Bellsは、いたずら好きの幽霊が出没するパブとしてとても有名です。客がトイレをしている途中に、この幽霊は水を流してしまうのです。しかもそれは、女子トイレのみでおきるのです。あまりに頻繁にこの幽霊がこのようないたずらをしてお客を困らすので、パブの主はしびれを切らして、ゴーストハンターを雇い成仏させようと試みますが、失敗に終わります。なんとこの幽霊はゴーストハンターがいる側で、トイレの水を流したというのです。相当肝の座った幽霊がここには住んでいるのだと思います。
116 Bow Road, E3 3AA, thebowbellspub.co.uk
The Flask
北ロンドンのhighgateに位置するThe Flaskは、Highgate cemeteryという共同墓地の隣にお店を構えています。その場所柄からも想像できるように、このパブでは頻繁に幽霊が出没するそうです。特に有名なのが、昔このパブで働いていたスペイン人女性の幽霊です。彼女は当時パブのオーナーに恋愛感情を抱いていましたが、結局は失恋に終わってしまいます。彼女はこのパブのセラーで首吊り自殺をして、それ以来彼女は成仏されず、このパブを未だに漂っているというのです。パブの気温が急激に下がって寒くなったり、お客の首元に息を吹きかけたり、グラスが勝手に倒れたり、などオーナーはこの幽霊にとても悩まされているそうです。
77 Highgate West Hill, N6 6BU, theflaskhighgate.com
The Grenadier, Belgravia
The Grenadierは、ハイド・パーク・コーナーの近くにあります。このパブは、ロンドンで一番幽霊に取り憑かれているパブとしてとても有名です。1720年代、ナポレオン戦争などで功績を納めた兵士が利用していました。上階では士官たちの食事場として、地下室は位の低い兵士の飲み、ギャンブルの場として使われていたといわれています。兵士の一人のセドリックは、ギャンブルでインチキをしていたのを他の兵士に見つかり、パブの外で殺害されてしまいます。その事件以来、パブでは不気味な足音が聞こえたり、痛々しいうめき声が聞こえたりするそうだ。9月にこのような現象が頻発するそうだ。それは彼が亡くなったのが9月だからだと言われている。彼が亡くなった後、ある士官がこのパブを訪ねた時に、彼は信じられない体験をする。カウンターでタバコに着火する音が聞こえたが、タバコは見えず火のみが見えていて、なんとその火は彼に向かっていき、彼は火傷をしたというのだ。
18 Wilton Row, SW1X 7NR, grenadierbelgravia.com
The Spaniard’s Inn
Hamsteadに位置するこのパブは、強盗の幽霊が出ると有名です。Dick Turpinと呼ばれる地域で有名だった強盗が今でも、このパブで盗むものを探しているように、部屋で歩き回る音が聞こえるというのです。このパブではいくつもの幽霊が目撃されているみたいです。例えばパブの前で馬車に轢かれて亡くなったBlack Dickや、Turpinの愛馬だったBlack Bessです。
Spaniards Road, NW3 7JJ, thespaniardshampstead.co.uk
まとめ
このようにパブにはたくさんの幽霊話があります。しかし、恐れる必要はありません。常連はそれぞれのパブに愛着を持っています。幽霊話もその一つとして語られています。僕がよく通っていたパブの店員は、いつも営業の最後にレジでお金の計算をする時に、パブで不気味な物音がすると言っていました。彼がいうには、昔のパブのオーナーは相当ケチで、お金にうるさい人だったと言います。彼は今でも、お店の売上計算に口を突っ込もうとしている、と言っていました。
ビールだけでなく、このような幽霊話に注目してパブ巡りをしても楽しいかもしれません。
パブの魅力についてはこちらの記事でも取り上げました⤵︎