PENTAX K-3 Mark III Monochrome
まだ発表前のため
トップの画像は母体となるPENTAX K-3 Mark III
リコーイメージング株式会社のPENTAXブランド公式サイトより
先日病院で検査をした。今朝はその結果を聞いてきた。良性だった。癌に近づいている要素もなし。まずは安心したが年齢とともに検査も増えていくだろう。一喜一憂せず淡々と暮らそうと決めた。もちろん生活には気をつけるが自然体でいよう。
さてインスタでは今後の自分のカメラをどうするかについて、折に触れて書いている。自分の価値基準に自信があるとは言え、世の中のデジタルカメラの動きを全く無視するわけにもいかない。こちらでもざっとまとめてみよう。
現在手持ちのデジタルカメラは、ニコンのD3・D800・D500・D40である。D3とD40は趣味的に買い戻したものだ。仕事と用事はD800とD500で用が足りている。しかしミラーレスが急成長してきて一眼レフは過去のものとなりつつある。コンパクトなのも魅力だ。
ニコンZ9が出たときに初めてミラーレスというものに触れてみた。新宿のニコンでフラッグシップであるそのZ9のファインダーを覗いた。ミラーレスの創世記からだいぶ進化して、動き物を撮るプロにも対応できるという話であったが、私はやはり「ゲッ」と思った。SNSで信頼できる何人かと話したが、便利な点の方が多く「慣れるしかない」という意見が多勢を占めた。
自分の思いは電子書籍「カメラと写真」010号に詳しく書いた。これはカメラの現状に対しての私のステートメントだ。インスタでもその都度発信しているのでそちらを読んでほしい。とにかくあのファインダーは「像」ではなく「映像」なので他人が作ったものだ。私はビデオ映像を見ながらチョイスするオペレーターにはなりたくないのである。
何度も書いたが「仕事」と「用事」はデジタルで、「私事」はフィルムである。そう結論づけることによって私は自分を保っている。そしてデジタルカメラは今でも異型のものだと思っている。生きていくためにはデジタルも使うが表現ではまだ使いたくない。
もしミラーレスを導入するならというシミュレーションもした。仕事をバリバリしているならニコンZ6Ⅱで決まりだ。しかし操作性を見ていくと富士フィルムのカメラに軍配が上がる。絞りリングのあるレンズの存在。デザインでも圧倒的にニコンより良いと思う。
表現で使うならシグマfpだ。ファインダーが嫌いなら、いっその事なければ良い。このカメラには惹かれる。シグマfpのプロダクトデザイナーが何かの賞を受賞したというニュースを見た。私と誕生日が近い!
という事で「仕事」と「用事」で使うデジタルに関しては「現状維持」という結論に至った。お金と気持ちに余裕があれば何か買い足そう。心の底から欲しいと思う前に買うこともない。
長い前置きになった。ここからが本論である。
フィルムはどんどん値上がりしている。リバーサルはもう現実的ではなくなった。モノクロは昔は富士とコダックだったが、両者はラインナップを縮小しては復活させてみたり、値上げも相次ぎもはや信用できない。頼みの綱は文化を大切にするヨーロッパはイギリスのイルフォードだけである。
3月6日。そのイルフォードのアナログ製品がインクジェットなどの取扱店に統合された。嫌な予感がした。私の愛用しているフィルムは中庸な性質を持つFP4だが、さっそく1本990円から1,300円に値上げされた。まあまあ良心的なレベルではあるが近い将来、今までのようにフィルムで撮れなくなるのは間違いない。
私はペンタックスで写真を始めた。二十歳のときにプロになるためにニコンに替えた。1980年代は現在のように多様性を認める社会ではなく、それは当然のことだった。在籍していた日芸の写真学科は報道機関と同じように、各メーカーのサービスマンが定期的に来て学生のカメラの点検をしていた。将来のプロを囲う意味もあっただろう。
ペンタックスの責任者は小野寺さんというダンディーな男性で親切にしてくれた。ニコンに替えた後は、ペンタックスの点検日には会場のスタジオには近づかないようにした。なんとなく後ろめたかったのだ。
そのペンタックスが最近面白い動きをしている。世の中全体がミラーレスへと流れていく中で高らかに「一眼レフ宣言」をした。ペンタックスのデジタル一眼レフのファインダーは当初からニコンなどより遥かに良かった。私などは欲しくなるので触らないようにしていたくらいだ。フルサイズは当然ニコンも良いが、ペンタックスは最近のAPS-Cサイズでもそれを極めているらしい。怖いので触っていない。
さらに昨年末にはフィルムカメラプロジェクトが始動。これはまだ全貌が明らかではないが応援したい。私としてはMXとKMが完璧な状態で、友人Mの遺品であるLXや買い戻したMV1もあるので手は出さないと思うが。
そしてここが本題だ。私は最近まで全然知らなかったのだが2021年の11月、ペンタックスはファンが集うミーティングにおいて、モノクロ専用機のK-3 Mark III Monochromeを提案していたのである。フィルムカメラの継続が難しくなりつつある中、これは素晴らしいと思った。フィルムカメラの復活よりこちらの方が現実味があるだろう。
このときは複数の案があり、アンケートで1位のものが製品化されるという話で、僅差でK-3 Mark III JETBLACK(漆黒)モデルに負けたそうだ。この漆黒モデルはネットで見て一瞬だけカッコイイかもと私も思ったが、ロゴは良いとしても操作ダイヤルなどの表示まで塗りつぶしたら使いにくいだろう。
当時のデジカメウォッチの記事を読むと、「このモノクロ専用センサーと1案目の漆黒仕様の外装仕上げを組み合わせることで、モノクロの世界観がより一層楽しめるのではないかと個人的に思う」とのコメントがあるが、やめてもらいたい。
デジタルでモノクロ専用というとライカがあるが、ボディのみで100万円超えだ。当然レンズも欲しくなるだろう。しかも最近のライカ社のアフターサービスに関しては、ネットで散見されるがマイナスイメージがある。ペンタックスの方が安心だ。
最初のニュースから時間が経ったが、このところ情報が出てくるようになってきた。正式発表はないが2023年中の発売で価格35万円。チラッと見て見失ったが4月の発表という情報もあった。
PENTAX K-3 Mark III Monochrome
買うことに決めた。
表現のためのカメラは「撮影中に気になる部分が少ないほど優秀」なのである。設定でいろいろ変更できるとか、カラーもモノクロも両方撮れるとか。そんな物はコンゴ動乱、いやコンゴ横断、いや言語道断である。
職人としての撮影は難しい状態が続いているし、体力的にも対応できないことが増えてきた。むしろこれからは表現としての撮影に重きを置きたいと思っている。最近は自分の残された時間について考える。先にも書いたが自分の価値基準は揺るがない。もともと好きで始めたことだ。ブルーハーツの歌ではないが「やりたくねえ事やってるヒマはねえ」のである。
昨夜このことを妻に話してみた。即座に「よし!それ買え!」と妻は言った。今年で結婚25年。特にイベントはないが銀婚式というやつである。妻も働いており財布は別だ。お互いがお互いのお金で買うものに口出しはしない。無駄なカメラを買って怒られたこともない。しかし妻が負担する生活費も多く、さすがに35万円という金額は相談すべきだと思った。
「多少はフィルムカメラを処分して…」と言いかけたが妻は反対した。「なんで?1台分スペース作ればいいんでしょ」さすがである。今までに何度も手放しては後悔した。同じカメラを何度買い戻したことか。カメラを売るとスペースは出来るが、その分だけ心にも穴が開いてしまう。よし全部持っていよう。
フィルムは値上げされていき撮ることも少なくなるだろう。しかしフィルムカメラでのモノクロ撮影は細々とでも続けていく。そう考えるとペンタックスのデジタルモノクロ専用機という選択は大正解だと思う。
ペンタックスの人が見ていることを期待して少しだけ要望を。もう遅いかも知れないけど。
まずデザイン。これは従来のK-3 Mark IIIをベースにするので大幅な変更が出来ないのは分かる。しかし昔のKMやMXの方がカッコイイと思う。PENTAXのロゴだけでも昔風に小さくできないだろうか。それと先にも書いたがJETBLACK(漆黒)仕様は駄目だ。使いにくい。仮にそれで出すとしても希望者には操作部分に白のペイントを入れられるようにしてほしい。安くないカメラなんだし。
単体の機材で35万円というのは私としては過去最高価格だと思う。若い頃に買ったハッセルは80mmレンズやマガジンとポラバック付きで50万円だった。やはりその頃に購入したコメットのストロボセットは40万円台だった。1995年秋にニコンからEOSに替えた時のEOS-1Nとf/2.8ズーム2本は計60万円だったかな。貧乏カメラマンにはそこまでが限界だ。
最近の機材は高すぎ晋作だ。周囲を見ても普通のプロは最高級機を使っていない。SNSを見ても買うのはアマチュアばかりだ。「カメラ」というものが普通の人が憧れる存在ではなく、一部の特殊な人達の趣味になったということである。
しかし中古はともかくとして、ペンタックスのカメラを新品で買う時が来るとは思わなかった。1984年の夏。としまえんのプールでアルバイトをしてやっと買ったペンタックスLX。それも1985年の終わりには売却して中古のニコンF2に替えてしまったのだ。
日芸に来ていたペンタックスの小野寺さん。お元気ですか?38年前は不義理をして申し訳ありませんでした。またペンタックスのお世話になりそうです。
決めたぞ。
さあ来い。
電子書籍
「カメラと写真」
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