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感性とはなにか?
本日は「感性」について考えたいと思います。
感性とはなんでしょう?日本語という文字からは「美術」と関連性が高いイメージが強い言葉です。
感性を磨くには芸術に触れるといったイメージが多い方も多いと思います。
では、感性という言葉について調べてみます。
とありますが、よくわかりません。
1. "感受性" と "感性" の違い
似た言葉に "感受性" と "感性" がありますが、どう違うのでしょうか?
例えば音楽や映画、周囲で起きた出来事を、自分のことのように受け止めて喜んだり悲しんだりすることを「感受性の強い人」と表現することがありますが、「感性の強い人」とは言いません。
「感受性」とは、知覚し物事を情緒的に受け取り、感じる力を指します。
それに対して「感性」は、そうして得た感覚(感受したもの)を昇華し、新たなものを創造する力まで含むイメージです。
この感受性と感性の流れをファネルで捉えてみましょう。
知覚:100% → 感受性への変換:80% → 感受性:70% → 感性への変換:40% → 感性:20%
のように、事象を知覚してから感性にブレイクダウンされることがイメージできると思います。また、知覚が感性へと昇華されるステップごとに「情報」が欠損することがわかります。
2. 感性を「磨く」とは?
わたしが思う「感性を磨く」方法は様々な方法がありますが「ヒトやコトを知覚し、想像し、解釈する」ことだと思っています。
シンプルな言葉に無理やり変換すると、事象のインプットとも言えます。
感性を磨くためには、様々な事象を知覚するところからです。
景色が綺麗だとか、この音楽が心地よいといった "コト" から知覚できるものも多くありますが、 "ヒト" の世界で生きている私たちには、ヒトから受け取れる情報が多くあることが想像できます。
ヒトを知覚し、ヒトを想像し、ヒトを解釈すること。
コトを知覚し、コトを想像し、コトを解釈すること。
こうすることで、自身の世界を拡張する。
これが「感性を磨く」という言葉の正体だと個人的に解釈しています。
3. 価値観とは?
感性が磨かれると、自己とそれ以外の境界が明確になります。
これが "価値観" です。
価値観は自己とそれ以外の境界線とも言え、外部行動へ最も色濃く反映されるものです。
これまでの流れを改めて整理してみます。
自己世界には以下のステップが存在すると言えます。
AIに "認知科学観点" から改めて出してもらいましょう。
● 1. 知覚
外界の事象(刺激)を五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を通じて捉える段階。
この時点で感覚情報が脳に取り込まれ、一次感覚野などにおいて基本的な処理が行われる。
● 2.選択
周囲にあふれるさまざまな事象や情報の中から、どこに意識を向けるかを決定する段階。
どの感覚情報をどれだけ “感受性” を通じて強く情緒的に感じ取るかは、この注意の向け方によって左右される。
● 3. 情動的評価
感覚情報に対し、快・不快や興味・嫌悪といった情動が生起する段階。
ここで生じる情動は「感受性」の基盤を形成し、後の認知的評価や価値判断に影響を及ぼす。
● 4. 認知的評価
感情・情動を伴って取り込まれた情報を、既有の知識・経験・スキーマとの照合を通して意味づける段階。
このステップで、初期の感覚的な受容(感受性)をより高次の認知機能によって整理し、理解・判断を行い、感性へと発展させていく。
● 5. 統合・変換
情動的・認知的に評価した情報を、自分自身の文脈(世界観、目標、経験など)へ統合する段階。
この統合プロセスを通じて、新たな視点や創造的なアイデアを得る「感性」が生み出される。
ここでは “理性的な思考による昇華” が行われるとともに、新たな概念や行動の可能性が形成される。
● 6. 価値判断
統合・変換された結果として生じた「感性」が、個人の価値観や優先順位を再編し、最終的な価値判断につながる。
これが行動意志や態度表出などにつながり、外部行動や自己内対話の変化となって現れる。
合計6ステップになりました。
もう少し具体的な例を見てみましょう。
4. 具体例
# カフェでコーヒーの香りをかいだとき
● 1. 知覚
状況:カフェに入店した瞬間、鼻を通じてコーヒーの香り(外部刺激)が感覚受容器に捉えられます。
脳内処理:嗅覚情報が一次感覚野(嗅覚に関わる領域)で処理され、「コーヒーの香り」という基本的な特徴が認識されます。
● 2. 選択
状況:店内には他にも音楽や人の声、食べ物の匂いなど多くの刺激がありますが、その中からコーヒーの香りに意識が向きます。
脳内処理:大脳基底核や前頭前野などが関与し、「コーヒーの香り」に注意を向けるかどうかを選択する。このとき、「コーヒー好きだ」「朝はコーヒーが欲しい」などの個人的な関心が影響を与えます。
● 3. 情動的評価
状況:香りをかいだ瞬間、「ああ、いい香りだ」「落ち着くな」といったプラスの情動が生じる場合が多いでしょう。
脳内処理:扁桃体や視床下部などの情動を司る領域が活性化し、香りに対して心地よさ、ワクワク感などの感情を引き起こします。
● 4. 認知的評価
状況:「この香りはコーヒーだ」「朝に飲むと目が覚める」「リラックスできた記憶がある」といった、過去の経験や知識を思い出します。
脳内処理:前頭前野や海馬などが連携して、既有の記憶(好きなコーヒーブランドやコーヒーにまつわる体験)と照合し、香りに対する意味づけを行います。
● 5. 統合・変換
状況:「このカフェに入る前はちょっと眠かったが、コーヒーの香りで元気が出そうだ」「リラックスできる時間を過ごせそうだ」と、感情・思考をまとめ上げます。
脳内処理:感情(心地よさ、期待感)と認知(健康面、価格、時間の都合など)が統合され、個人的な状況や価値観に沿って新しい意味づけや意欲が生まれます。
● 6. 価値判断
状況:「せっかくだからコーヒーを注文しよう」「お気に入りのメニューにしよう」といった最終的な決断がなされます。
脳内処理:前頭前野などの高次認知機能が働き、価格やカロリー、今日のスケジュールなども総合的に考慮したうえで価値判断を行い、行動(注文する・しない)につながります。
自己世界に起こっていることが詳細に理解できると思います。
5.まとめ
感性を細かく分解すると、多くのステップを踏んでいることがわかります。
感性を磨く = 自己世界の拡張という解釈が個人的にはもっともしっくりきます。
改めて、自己の拡張に大切なものはなんでしょうか?
ヒトを知覚し、ヒトを想像し、ヒトを解釈すること。
コトを知覚し、コトを想像し、コトを解釈すること。
日々、自己世界を拡張することがヒトとして "感性を磨く" ことであり、それが "人間力" と呼ばれるものだと思っています。