ときに、清々しい春風のような空気をまといながら現れ、秋風のように哀愁漂う残り香を置いていく人がいる

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ときに、清々しい春風のような空気をまといながら現れ、秋風のように哀愁漂う残り香を置いていく人がいる。
彼女はそんな人だった。
輪人がこの奇跡を理解するのは、もっと先のことだろう。
彼はこの世界に自分で生まれ出たかもしれないが、決してひとりで生まれ出た訳ではない。


輪人はフリースタイル分娩で、助産師さんのリーディングのもと、母親と呼吸を整えて生まれた。
初産では信じられない4時間というスピードだったのは、僕たち夫婦からしたら、助産師さんのおかげだと思っている。
その助産師さんと、産後も輪人はつながっている。
「旅」というキーワードで今、なおも。
僕たち夫婦と1人の息子は本当に恵まれている。
二人目がいたとしても、彼女に取り上げてもらいたい。
いや、きっとそうなる気がする。
だって彼女は旅風のような人だから。

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