2023シーズンを終えて 2024シーズンの行き先
慶應義塾体育会ソフトテニス部の部員日記をご覧いただき、ありがとうございます。本日の部員日記は商学部3年、岡田諒悟が担当させていただきます。
先日、12/23(土)に、今年度納会が行われ、無事シーズンを終了させることができました。個人的には、全慶應戦では決勝で川崎・星野ペアに敗れ、優勝を逃しましたが、全体を総括すると、苦しみながらも地力を手に入れた1シーズンでした。
今回が年内最後の部員日記ということで、「今シーズン(2024)のチームを、どういったテーマで運営しているか・その背景」「慶應ソフトテニス部の部員が目指すべき人物像(求められている人物像)とは何か」「今の自分が、後輩たちにどんなことをしてほしいか」などなど、書きたいと思うことを書き連ねていこうと思います。(おそらく、読みづらい文にはなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。また、以下には私見も多数含まれており、エビデンスが少ない文となりますが、ご了承ください。)
今シーズンのチーム運営は、「共通認識」「主体性」「継続」の3つの軸をたてています。
なかでも、全てにおいて最重要項目であるものは「共通認識」です。そうした理由は単純明快で、これまで3年間チームにいて、チームが何かしらの失敗をするときは大抵「共通認識の不足」に起因したものが多かったからです。ひとくちに「共通認識」というと分かりづらいですが、これは簡単に言えば「チームにいる全員が、達成すべき目標に同一の行動指針をとれるか」ということだと思います。その共通認識を構築すべく、今年度は様々な場面で、いろいろな人とチームについてのコミュニケーションを取ってもらうような機会を設けています。
そこに至ったきっかけは、チームを構築する上でさまざまな先輩のお話を伺う中で、いろんな場面で「共通認識」という言葉を何度も耳にし、そしてそれが「チームで勝つ」ことに最も必要なことだと実感したからです。
無視されがちな重要事項ですが、体育会という組織は、いろいろな人の感情の結集です。お金を稼ぐのに合理的な行動をする組織でもなければ、パソコンが勝率を最大化させるように計算した理論値に則って行動する組織でもありません。チームを動かすのは、そこにいるひとりひとりの血の通った人間です。そして、体育会でいえば、その原動力は人それぞれで、「チーム勝ちたい」という気持ちだったり、「テニスが上手くなりたい」という気持ちだったり、「みんなの笑顔が見たい」という気持ちだったりします。
人それぞれの原動力(感情)の結集がありながら、チームはどうやって同じ目標を設定してそこに向かった行動を取るのか。それが「共通認識」です。そして、全員がなりたい姿を達成できるように、それぞれが自己主張しつつも、互いの主張を否定もせず妥協もせず、相互に理解しあうことで、初めて「共通認識」を構築する土台が整います。そのコミュニケーションを実現させるため、「360度評価」や「学年ミーティング」「主将面談」をはじめ、長い時間のミーティングを重ねてきました。
そして次に、チームメンバーに求められることとして「主体性」があげられます。私が使う主体性とは、メンバーが、「組織が目標を達成するために必要な行動を自ら取ること」を意味します。 (ちなみに、僕の出身小学校の校訓は「自ら考え自ら学び自ら行動する」でした。あれすごくよかったなと今になって思います。)
共通認識を構築する中で、今シーズンは「全員が主人公」 “All Out, All In Court.” というテーマを掲げ、それぞれの責任領域を考え、どうすれば責任領域を広げて、自分の力で目標に近づくことができるか、を考えてキックオフミーティングを行いました。(業務分担表の策定、TRSの作成) また、学年代表を輪番にしたり、委員会委員長を下級生にしたりするなど、全員が組織の最前線に立って、裁量を持って部活動に取り組めるようなシステム構築を執ってきました。
結果として、主観的ではありますが、チームメンバーの主体性は上がったと感じられます。何より、後輩から「チームのためには」とか「2部優勝には」といった発言が増えました。本当に喜ばしく思っています。
これらに加え、最後に僕がチームの運営軸として追加したものが「継続」です。これは、今までのチームを見て、ミーティングや試合を機に共通認識や主体性が向上しても、それが日に日に薄れて行く失敗を多く目にしたためです。(チームとして、というより、これは個人レベルの意識の問題が強かった印象)
これが最も難しいと個人的に感じています。なぜかと言うと、個人個人がどこまで「共通認識」や「主体性」を掘り下げて自分の中に落とし込めたか、によって大きく差が出るからです。そして、何を隠そう、これは自分自身も苦手分野なのです。
そこで、11月からはできるだけ、継続を阻害する要因を分析し、なるべく部員に口酸っぱく伝えるようにしています。要因とは例えば、「感情の波」です。これを読んでいる皆さん誰しも心当たりがあるかと思いますが、人間誰しも感情に波があります。何かをきっかけに「次こそは!!」などの想いを持ち、それを原動力に頑張ろうとしても、大抵の人はどこかでそれを忘れ、折れてしまいます。
これに講じた策としては、「言語化」はひとつの有用な手段でした。何かで失敗した時の悔しい気持ち、成功した時の喜びを、できるだけ言語化して公開してもらうようにしました。
以上3点を軸に、11月の代交代から主将として、チームのモチベーター的役割を目指しつつ、自分も組織を前進させる1人の歯車として取り組んできました。上記の行動にはまだ何か数値的な成果が示されているわけではありませんが、次年度も継続して同様の取り組みを進める予定です。
そして、この3軸を設定した背景には、「慶應ソフトテニス部が目指すべき人物像」があります。以下、大学のお言葉を頂戴すると、
この「文武両道」を実現するものとして、ソフトテニス部の活動をとらえた時、私は「ソフトテニスでチームとして勝ちを目指すこと」→「それを言語化して理論構築し、実践すること」 そしてその中で身体機能を向上させることで、「文武両道」の人物像が構築できるのではないか、と考えています。
部員(+α)に伝えたいこと
以上の目指すべき人物像を踏まえると、私が部員に最もお願いしたいことは、「勝ちを目指すにあたり、意志を持って行動すること、そしてその際の根拠づけと言語化を徹底させること、最後に結果が出た際に振り返って次に繋げること」だと言えます。言葉は、思考手段そのものであり言語化は知の力そのものだと、私は考えています。
そして、後輩に向けて。先日、とあるOBからこのようなコメントをいただきました。
これに対する僕なりの答えは、「今までと全く同じプロセスをとる」です。すなわち、
①言語化による仮説構築と検証(練習)
②文書化した反省
(テニスノートをTwitter化して振り返りを容易にしていた)
+悩んでいることがあればいろいろな人の意見を聞く
(考えずに聞くのではなく、自分の持つ課題を他人がどのように解決しているのか、といういわば「模範解答」のストックを増やす)
③行動(次の練習で反映させたプレー)
いわゆるPDCAサイクルを自発的に回すことに注力していました。そして今でもこうした取り組みに後悔はありません。
その上で、今の後輩やこれから入ってくる新入生に言いたいことは2つ。1つ目は「悩め」2つ目は「自分勝手になれ」ということです。
1つ目。これは以前の部員日記にも書きました。理由は単純。今の悩みは成長の出発点であり、確かな力の根源だからです。自分も1,2年時、テニスでも組織のことでもたくさん悩み考え、その度にいろいろな人に話を聞いたり、本を読んだり、動画を見たりしていろいろなことを試行錯誤してきました。そしてその時には「あまりピンとこないな」と思ったり、もっと言えば「無駄だな」と思った知識や情報が、なぜか生きるタイミングがやがて来ます。そしてそれは、テニスを超えて今後の人生の豊かさにすらつながるものだと、今自分は考えています。(いわゆる「教養」的な考え方です。)
2つ目。これは優しすぎる最近の後輩たちを、尊敬しつつも心配したものです。自分のやりたいことに集中できる期間、というのは1,2年生がメインです。もっと噛み砕けば、テニスの技術に関してあれこれ試したり、人の言うことを全部受け入れ、あるいは拒んでプレーしたりすることができるのは、下級生のうちだけ、という意味です。自分はどうしていたか、というと、1年次は本当に自分勝手にテニスをしていました。(当時の先輩方、同期には本当に迷惑をかけてきましたが) そして、あの時の自分勝手は間違いなく自分の血となり肉となっています。だから、後輩、特に今の1年生にはもっともっと貪欲に、周りのことなど見ずに、思いっっきり挑戦してほしい。量も質もすべて、自分がしたいと思うものを全て高める行動をとってほしい。今なら結果に対する責任は、上級生がとります。これは今しかできないことで、これが今できないと、後々確実に後悔します。だからお願いです。もっと貪欲に自分勝手になってください。
大変まとまりのない文章になってしまいましたが、以上が私のチームやテニスに対する想いです。
最後に、部員へも、応援してくださる皆様へも、私はこのチームが「2024関東春季リーグ2部優勝」を達成できると信じ、その達成確率を上げる行動をとり続けることを誓い、この部員日記を終わりたいと思います。
本年の部員日記も、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
2024年も、たくさんの応援をよろしくお願いいたします。
慶應義塾体育会ソフトテニス部主将
岡田 諒悟