90秒で学ぶ!逆説の日本史1⃣古代黎明編(第五章)
今回は井沢元彦「逆説の日本史1⃣古代黎明編」(小学館文庫)
の第五章を90秒で紹介します。
天皇陵と朝鮮半島編
古代史を解き明かすためにも天皇陵を調査するべし
天皇家の起源、日本の古代史を解明するために、天皇陵の調査を積極的に進める必要があると井沢氏は主張しています。
その理由は、主に二つあります。
まずこれまで宮内庁が天皇陵の調査を許可するのに否定的だった理由を述べると以下の点が挙がられます。
「天皇陵は、祖先の霊を祀っているところだから、神聖な場所であり、調査研究の対象にすべきではない」
「天皇家の祖先の霊だから丁重に祀る」というものです。
しかし、これらを考慮し天皇家の承諾を得た上で、天皇陵も調査する必要があります。
その理由の一つ目に、祀られている人物を確実に断定できている天皇陵は数少ないという点があります。
実は江戸時代まで、庶民が自由に古墳に立ち入ることができており、当時はそこまで厳重に保管がされていませんでした。
それが、江戸後期から明治にかけてナショナリズムのもと、多少強引に天皇陵の比定が行われました。これは今日の水準ではかなり疑問点が残っており、誤った人物も祀っている可能性が高いということです。
それにも関わらず、現在もその時代に比定された天皇陵を宮内庁は陵墓参考地に指定し祀っています。
この姿勢に学者からは疑問が残っています。
また宮内庁の行動にも矛盾が生まれています。
「天皇家の祖先の霊だから丁重に祀る」のであれば、やはり正確な調査をし、明確に断定できた人物を祀るのが丁重に祀る事ではないのか、そういった指摘がされています。
二つ目の理由に、天皇陵を調査することで天皇のルーツも知ることができる点があります。
天皇家は朝鮮半島の百済と関係があるのではないか。など様々な説がありますが、これらの説についても調査にとって解明される事になり、日本の古代史が大きく発展します。
天皇家と朝鮮半島との関わりがあると言われている理由に以下のことがあります。
『神皇正統記』に「昔、日本と三韓は同種族という言い伝えがあったが、桓武天皇の時代に焼却された」という記載がある点や、
桓武天皇の母は百済系の帰化人である事が史料にも明記されていることが挙げられます。
しかし正確な事は謎のままです。
古代の謎、天皇家の起源を解明し、日本史を発展される為にも、井沢氏は天皇陵を調査していく必要があると主張しています。
まとめ
今回は井沢元彦「逆説の日本史1⃣古代黎明編」(小学館文庫)
の第五章を90秒で紹介しました。
近年では、天皇陵の調査が少しずつ許可され、古代の謎が解明されつつあります。
研究の結果、仮に天皇家が朝鮮から渡来してきたとしても、決して日本の伝統が崩れるとか、品格が下がるとか、朝鮮が偉くなるなどということが決して無いと、井沢氏は主張しています。
天皇陵の調査の有無については賛否の声があると思いますが、今後調査が進み、歴史的大発見があることを期待しています。