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禁断の中国史

今回は百田尚樹(2022)『禁断の中国史』飛鳥新社を独断と偏見でまとめる。

負の側面がある中国史

日本人は中国の歴史や文化を誤解している。
第一に、中国4千年の歴史があるという事。そもそも「中国」という国は歴史上にない。「秦」「漢」「唐」「元」「明」「清」はいずれも異民族国家である。同じ場所にあるからといって、東ローマ帝国とトルコ共和国が同じだと言う人はいない。それと同じように中国4千年の歴史と言うのは誤りである。厳密に中国の歴史を言うのであれば、「中国大陸史」である。

中国大陸で様々な国が建国されたのは、いくつか理由がある。一つ目に、易姓革命という考えがあったためである。二つ目に広大な陸地が続いていたために異民族が流動的に動いたことである。
その異民族が国家を建国する際には、目を疑うような大量虐殺が横行したと言われている。

第二に、中国は最先端の国家であり、すべてが優れていた事。中国と言えば、古典、建築、技術、制度など当時の世界最先端をいった国家であるというイメージがある。
もちろん、中国から最新の技術を学ぼう日本も遣隋使、遣唐使を派遣した。

しかし、中国のすべてが優れていたわけではない。中国には、現代の価値観では考えられないような風習や文化が存在した。それが『資治通鑑』等の史料に書き示されている。
まず一つ目に、食人である。中国では飢饉になった際には、生きた子供を親が食べることがあったという。
二つ目に、刑罰である。凌遅、烹煮、炮烙、剥皮、車裂、割鼻など様々な刑があった。
他にも、纏足、宦官など現代の感覚では考えられないような風習や制度があった。

ちなみに『資治通鑑』を含めた中国の史料には良いことも悪いこともはっきり書いてあるという特徴があり、その点は日本と違うため留意する必要がある。

第三に、中国と日本とでの価値観の違いである。
中国の歴史では、人を欺いたり、裏切ったりする話が桁違い多い。ビジネスの世界でも、騙される方が悪いという考えが基本である。外交でも、尖閣諸島を含め、様々な問題がある。そのため、性善説で中国とビジネスや外交をしてはいけない。

また、これは中国だけに限った話ではないが、様々な国と日本とで異なった価値観がある。だからこそ、他国の文化や歴史を正しく知った上で、関わっていくことが必要である。


まとめ

今回は百田尚樹(2022)『禁断の中国史』飛鳥新社を独断と偏見でまとめた。

百田氏は、意図的に中国の負の側面や悪しき風習を取りあげていることは承知している。
しかし、母校にある孔子学院から中国の素晴らしい歴史や文化を日々教えてもらっている私にとっては、『禁断の中国史』は通常とは全く別視点で書かれており、価値観が広がる本であることは間違いない。
それも含めて、多角的な視点で物事を見なければいけないなと思う。

また私は、人肉、犬、コウモリは食べないが、炒飯や餃子を食べるように中国の文化を毛嫌いしているわけでもなく、日本人にも犯罪者やモラルに欠ける人がいるように「○○人=こうだ」というレッテルを貼るつもりは無い事は伝えておく。


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