音声作品のシナリオは、他と何が違う?
どうも。先日ツイッターで……
と呟いたら、
本当に話が来ました。
SNSやnoteの活動が、
実を結んできていて嬉しい限り。
今後も継続頑張ります!
今日のテーマは、
「音声作品のシナリオは他と何が違うのか」
《音声作品とは》
音声作品とは、
その名の通り「音声で構成された作品」。
耳かき音声やバイノーラル体感による音声、
ボイスドラマだったり、朗読だったり。
主に音声だけで楽しめる作品のことを指す。
一番ポピュラーなのは、
「ASMR」ってやつかな。
これは耳かきや紙を切る音など、
聞いていて気持ちいい音をメインにしたものだ。
その音声作品の中でも、
私が書きたいのは、
「バイノーラル体感音声」です。
バイノーラルとは、
リアルに周りで音がしたり声が聞こえるもの。
もっと具体的に言えば、
耳の構造を模したマイクで収録することだね。
実際に周りで音が鳴っているように聞こえる、
そんな音を使った面白い作品だ。
今日はそんなバイノーラルでよくある、
「女の子ときゃっきゃうふふする音声作品」
のシナリオについて語ります。
《音声作品のシナリオは何が違う?》
小説のシナリオや、アニメやドラマのシナリオ、
そして本業のゲームシナリオ。
色々な分野で物語を書く仕事があるけど……
音声作品では基本的に、
「音声だけでシナリオを見せる」
という制約があります。
パッケージや作品概要では文章を出せるけど、
作品そのものには文章を出せない。
全ての物語を「音」という情報にして伝える。
これが音声作品シナリオのキモです。
シナリオを書く上で、
文章で楽しませることが難しい形式。
更に人間が感覚から得る情報の8割を握る、
視覚情報もシナリオとして扱えない。
難易度としてはかなり難しいものです。
故に、他のシナリオとの主な違いは……
「音だけで伝えるイメージを持つ必要がある」
ことだと私は考えています。
《音のイメージを明確にしよう》
音だけで伝えるイメージって何ぞや?
という部分をもう少し詳細にしてみましょう。
目をつぶって音だけ聞いてみると、
かなり情報って伝わりにくいんですよね。
水の流れる音が聞こえているとしても、
川なのか、滝なのか、溝なのか、水道なのか。
状況を詳しく理解しづらい。
だからといって色んな音を混ぜたら、
小さい音は聞こえづらくなり、
何を伝えたいのかもよく分からなくなります。
人間の耳は高性能ですが、
どの情報をよく聞き取るのかという、
取捨選択が無意識の内に行われてるからね。
(これをカクテルパーティー効果と言う)
なのでシナリオを書く際にまず……
どの情報を、どんな音で伝えて、
その結果ユーザーをどんな状態にさせるのか。
というものを念頭に置かなければなりません。
それこそが、
「音だけで伝えるイメージ」です。
もっと実例で出してみよう。
【小説】
少女が扉を開けた時、吹き込んだ強い風に艶やか黒髪が舞い上がる。
「……もう、頑張って朝セットしたのにっ」
彼女は頬を膨らませながら通り過ぎていった風に不満を漏らしながら、屋上へと足を進めた。
こんなシーンがあったとしよう。
これを美少女ゲームのシナリオで書くと……
【ゲームシナリオ】
効果音:金属の引き扉をガチャッと開ける音、強い風がビューっと吹く音
演出:白画面にフェードアウト
吹き込んだ強い風に、
少女の艶やかな黒髪が舞い上がる。
スチル:手で髪を押さえる少女
表情:頬を膨らませた不機嫌
少女
「……もう、頑張って朝セットしたのにっ」
通り過ぎていった風に不満を漏らしながら、
彼女は屋上へと出てきた。
こういう感じになるかな。
あくまでも自分が書いたら、だけど。
そして音声作品の場合だと……
@金属の引き扉をガチャッと開ける音
@強い風がビューっと吹く音
「きゃっ……!?」
@風が過ぎ去って、屋上の環境音
「……もう、頑張って朝セットしたのにっ。これじゃ髪がボサボサじゃない」
@金属の引き扉を強い力で閉める音
@屋上へと出る足音
こんな感じになる。
「髪が舞い上がって崩れる」という点は、
効果音だけでは表現しきれない。
だから代わりに台詞へと落とし込むことで、
情報が伝わるようにしました。
こんな風に、
音声作品のシナリオは全然違うものなのです。
《今日のまとめ》
他媒体のシナリオよりも、
「与える情報の調整」に注意せよ!
その為には、
「音だけで伝えるイメージ」を明確にすること。
これらが音声作品シナリオの基礎で、
大きな違いです。
もしも書く機会がある場合は、
これらを意識してみてくださいね!
では、また次回お会いしましょう。