キャラクターを愛してもらうには、曲がらぬ信念を持たせよう。

キャラクターには、一定のファンが付く。

ＳＮＳでキャラクター名を調べてみれば、
誰かは熱狂的に支持している人がいるものです。

今日のテーマは、
そんなファンが付く理由の１つである、
「キャラクターの信念」について。

長く愛してもらう方法をお教えします！

■信念とは、人生の軸である。

信念。
それは「物事を正しいと信じること」。

魔王を倒し、世界を平和にすることが正しい。
弱きものを守ることが、正しい強者のあり方。
諦めなければ夢は叶う、歩けばいつかゴールに。

こんな風に個人の中で信じている正しさのことを、
私たちは「信念」と呼んでいます。

皆が同じ信念は持っておらず、
その正しさがぶつかりあうことで、
正義と悪が生まれる。

というのが典型的なパターンですよね。

その信念がどれだけのパワーを持っているのか。
重要なのは以下の２点あると私は思います。

１　ユーザーの共感性
２　裏切らない期待と成果

１つ目は、共感性。

主人公の信念は基本的に、
ユーザーが共感できるもので構成されています。

勧善懲悪。
つまり善を勧め、悪をこらしめる作品とか。
主人公が正義側になりやすい理由がこれです。

現実において正しいと思う考えを、
主人公たちの信念にすることで、
ユーザーの共感を引き出すことができる。

それによって、
キャラクターを好きになってもらえます。

２つ目は、裏切らない期待と成果。

キャラクターが行動を起こすたび、
ユーザーは色々と考えます。

何が起こるんだろう、
物語はどこに進むのだろう、
この行動の意味はなんなのだろう。

そんな思考の中に「期待」というものがあります。

つまりは「このキャラならこうしてくれるはず」
という考えを持つのです。

例えば……
正義感の強いキャラがいじめの現場に遭遇したら、
あなたは何を考えますか？

恐らく、
「この人なら見てみぬ振りはしない」
「いけ！　奴らを止めろ！」
とか考えちゃうだろう。

それこそが期待であり、
その期待は信念によって導かれます。

ユーザーは期待しちゃったら、
それが達成されないと途端に興味を失う。
例えそれが勝手に期待したものでも。

でも信念があれば、
その期待に対して成果を返すことができる。

それが信念の強みです。

■信念を持たせるには、そこから行動を。

じゃあキャラクターに信念を持たせるには、
どうすればいいのか？

簡単に言えば、
「キャラクターにとって何が正しいか」
を明確にすることです。

もっと具体的な方法を提示すると……

キャラクター設定で、信念を作っておく。
物語を作る際に、信念を元に行動させる。

この２段階を通せばいい。

まずキャラクター設定の初期段階で、
信念という項目を作っておこう。

性格や見た目とバランスを取りつつ、
１つでいいから譲れないものを作るのです。

キャラクターのテーマとして活用してもＯＫ。

意識しやすいように、
できるだけ信念は１つに限定して、
それを２０文字程度でまとめるとよき。

「何があっても、家族のために諦めない」
「不器用でも、恩返しの心を勇気に変えられる」
「自分が誰よりも強いことを証明する」

こんな感じでね。
（これは全部鬼滅の刃からだが）

長すぎたり多くすると、
結局意識できず曖昧になるので注意です。

信念を作ったら、物語を書こう。

プロットを考える段階から、
キャラの行動が信念に合っているか意識するのだ。
人数が増えれば増えるほどに大変になります。

最初らへんで信念から外れれば、
キャラクターの考えが理解できなくなる。

信念を理解してもらってから外れれば、
期待に応えられない芯のないキャラになる。

だからこそ行動そのものを信念から考えてみよう。
最初は難しいけれど、
しっかりと信念が固まっていれば……

「こいつなら、こうするよな」
「どんな状況でも、この子がこうする訳ない」
「こういう行動ができるキャラだ」

と感覚的に分かってくるようになるのです。

設定から信念を作り、それに沿って行動させる。

こうすることで、
キャラクターに信念を持たせることができます。

■信念を曲げるなら、理由を示せ。

しかし信念をぶっ通し続けるのは大変。

どんな人間でも自身の正しさに疑問を持ったり、
たまには正しさに反してしまうこともある。

キャラクターとしても、
信念を曲げることは決して悪くありません。

ただ、曲げるだけの理由が必要になるけれど。

「このキャラなら絶対こうするけど、
状況が悪いから仕方ない」

そう思われるような理由付けをして、
信念に反することを行動させる。

これがユーザーがキャラを嫌わない、
信念の曲げ方です。

■おわりに。

という感じで今日はここまで。

キャラクターの信念について、
私なりの考え方をまとめてみました。

物語を書く上で無視できない要素なので、
ぜひ貴方も意識してみてください！

私はこんな風にほぼ毎日、
シナリオ・小説における思考法を記事にしてます。

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では、また次回お会いしましょう。

物語の考え方｜恒石涼平@ゲームシナリオライター｜note