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言葉という"音"を分解して考えよう。
言葉にはリズムが存在する。
リズムってのは周期だ。
繰り返しの中で生まれる、一定の周期。
例えば……
「たんたんたんたん」
これを読んだ際、余程の変人でなければ一定の速度を保って読むはずだ。
不規則な間隔で読む人はまずいない。
これが言葉におけるリズムという概念だ。
もっと分かりやすい例で言うと、
川柳や俳句で用いられる「五・七・五」。
ほぼ間違いなく5、7、5という音数で区切って読むはず。
人は無意識のうちに、言葉にリズムを付けて読むものだ。
だが楽譜の演奏がアーティストや指揮者によって違うように、
読む人によってリズムは変化する。
なので不変のリズムを作るには、
声優などに読んでもらって作品にしなければならない。
小説、アニメ、ゲームなどの差はそこにもあった。
だが、ある程度リズムの操作は出来る。
言葉を受け取った先はどうしようもないが、
受け取らせる言葉は好きに動かせるから。
今日はその「言葉のリズム」について、音という点で考えてみよう。
視覚的な言葉のリズム。
まずは視覚において。
言葉のリズムを作るのは種類と文字数だ。
まずは種類から、最近見てるアニメのタイトルで見てみる。
「いたいのはいやなのでぼうぎょりょくにきょくふりしたいとおもいます」
と平仮名だけでは視覚的なリズムはない。
というか読めない。
「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います」
と漢字や平仮名があると、見やすさ以外にもリズムが生まれる。
文字の種類でリズムが出来るのは、
人が明確に漢字・平仮名・カタカナの差を把握しているからだ。
その差を周期として判断することで、リズムになる。
……と私は考えている。
そして種類の数という面で区切ってみると……
漢字:1、平仮名:3、漢字:1、平仮名:3、漢字:3、平仮名:1、漢字:2、平仮名:5、漢字:1、平仮名:3。
数字だけにすると……1、3、1、3、3、1、2、5、1、2。
という差がある。
よーく見てみると、同じ形の繰り返しが見えるだろう。
「1→3」が3つ。
逆パターンである「3→1」は1つ。
「2→5」は1つ。これだけは別パターンだが。
1と3を使ったフレーズの繰り返し。
その中で変化を付ける為にフレーズを反転させたり、
別のフレーズを差し込む。
これこそが周期、つまり言葉におけるリズムだと私は捉えている。
だが、これはあくまでも視覚的なリズムだ。
読んだら全く違うことを忘れるなかれ。
読む上で考えるべき言葉のリズム。
実際に口に出して読んだ場合……
「いたいのはいやなのでぼうぎょりょくにきょくふりしたいとおもいます」
この平仮名こそが読みになる。
しかし文章を読む際は、視覚を通して情報を得る。
なのでさっき考えた視覚的なリズムも意識しなければならない……が、
読みに必要な要素はもう一つある。
それは文の節目、つまり「文節」だ。
「痛いのは・嫌なので・防御力に・極振りしたいと・思います」
文節で区切るとこうなる。
これを読みとして考えてみよう。つまりは平仮名にすると……
「いたいのは・いやなので・ぼうぎょりょくに・きょくふりしたいと・おもいます」
となる。
音数で考えてみると……5、5、6、8、5。
5つの音数が多いね。
その理由は簡単だ。
日本人は日常や教育の中で五七五に触れる機会がいくつかある。
あと三三七拍子とかで3のリズムに触れることも多い。
つまり、日本人にとって3、5、7を含んだ音は馴染み深いんだ。
習慣付いている、無意識のうちに理解していると言っても過言ではない。
故にタイトルや台詞といったところでは、
3、5、7の音数が基本リズムとして使われることが多い。
つまり言いやすく、頭に違和感なく入ることが出来るリズムが多い。
「君の名は」は5音(3+2)。
「アナと雪の女王」は3音を3つ(3+3+3)。
「翔んで埼玉」は7音(3+4)。
これこそが読みにおけるリズムだ。
音数で言葉を意識せよ。
今回は音という面で言葉のリズムについて探ってみた。
口当たりのいいリズムは3、5、7。
それらを組み合わせて作ると、読みやすい言葉が出来上がる。
しかし言葉に違和感や取っかかりを作ることも大切だ。
言葉の意味、種類、リズム……
そういった沢山の要素の中でどこに違和感・取っかかりを作るか。
それを考えていくべきなのかもしれない。
こういった考えが影響を及ぼすのは、タイトルや台詞だけじゃない。
地の文においてもユーザーが読むものだから、
こうしたリズムを意識するのも……いいのかもしれない。
といった所で、今日はここまで。
皆さんの創作ライフが良きものとなるように。
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