万全な準備を考えるな。草履と下駄を履いて戦わねばならぬときがある。黒田如水
こんにちは、両兵衛です。
ここでは現代の私たちにも通じる戦国逸話を取り上げています。
2023年の大河ドラマ「どうする家康」の出演者発表がありました。主人公の徳川家康は嵐の松本潤さんで、織田信長を元V6の岡田准一さんが演じられるとのことです。
岡田さんといえば、映画「関ヶ原」の石田三成や「燃えよ剣」の土方歳三と時代劇のイメージが最近ありますが、私の中では大河ドラマ「軍師官兵衛」の黒田官兵衛が印象に残っています。
最近は「軍師官兵衛」の影響なのか「官兵衛」という通称で呼ばれることが多い印象がありますが、私が子どものころ存在を知ったときは剃髪後に号した黒田如水という呼び名の方をよく目にした記憶があります。武田信玄や上杉謙信の「信玄」や「謙信」と同じです。ちなみに如水の実名は孝高といいます。
如水で思い出したのが、一年続けてきたこのnoteの一番最初の逸話として取り上げた如水の言葉です。
前回取り上げたときは、この言葉のみを取り上げましたので、どういう状況で使われた言葉かを補足したいと思います。
晩年、病の重くなった如水が息子の長政を呼んで遺言として伝えた言葉が逸話として残っています。
如水は長政に向かって、長政が如水より優れているところ、如水が長政より優れているところを伝えます。長政は先のことを前もって推量する才能はあるが、それだけでは大功を立てることはできないと如水は言います。
そして、紫の袱紗に包んだ草履の片足と下駄の片足を取り出してこう言いました。
「万死に出でて一生に遭う」というのは、ほとんど助からないような危険な状況を脱して辛うじて助かるという意味です。
「いくさ」とは、そういうものだから、十全、つまり万全な準備を考えていてはいけない、草履と下駄を一緒に履くような不格好で不完全な状態で戦わなければならないこともある。2つのうちのどちらかに賭けて勝負するようなことも心得なければならない。
秀吉に仕えてきた如水は、本能寺の変が起きた直後、動揺する秀吉に迷っている時間はなく、一刻も早く明智光秀を討つ必要があると懸命に立ち回ったといいます。
また、関ヶ原の合戦の際は、九州の豊後国・中津城の金蔵を開けて浪人や百姓などに金を与えて軍勢を集めて西軍の城を次々と攻略していきます。
この行動の理由が、関ヶ原の合戦が長引いた後に九州をまとめた如水が天下を狙った賭けに出たのではないかという逸話もあります。大河ドラマの最後もそんな話で描かれていたと記憶しています。
万全な準備も完全な状態もないのだからと、決断して果敢に行動して戦国の世を駆け抜けた黒田官兵衛、黒田如水の逸話を一年ぶりに取り上げました。
あらためて完璧主義で止まっている足元を見て、この四文字を心がけていこうと思うのです。
草履片々、木履片々