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とにかく動けが苦しいのなら、熟考する智将・小早川隆景の逸話はいかがでしょう
こんにちは、両兵衛です。
先日、黒田官兵衛の逸話として「草履、片々 木履、片々」という言葉を紹介しました。草履と下駄を同時に履くような無様な恰好でも、とにかく走りだせというメッセージだと解釈しました。官兵衛はきっと直感ですぐ行動に移せる知恵者だったんでしょうね。
今回は、官兵衛とは逆に熟考する智将である小早川隆景の逸話を紹介します。隆景は、中国地方10か国以上を治めた毛利元就の三男です。
元就といえば「三本の矢」の逸話が有名です。元就が死の間際、病床に三人の息子たちを呼ぶわけです。長男隆元、次男元春、三男隆景の三人に一本ずつ矢を折らせる。次に三本では簡単に折れない。だから兄弟仲良く助け合っていけという話。
ちなみにこの逸話は後世の創作であることが知られています。隆元は元就よりも8年も前に亡くなり、元就の最期のとき元春は出陣していたとか。元就の書状の中に兄弟協力して毛利を支えるようにと心配して書かれたものがあり、これをベースに創られたのが三本の矢の逸話のようです。
で、今回は元就ではなく小早川家に養子に入った隆景の逸話です。隆景は本家である毛利を支え、あの豊臣秀吉からも五大老にも選ばれる優れた武将でした。また秀吉を支えた軍師官兵衛こと黒田官兵衛とはお互い認め合った仲だったといいます。その官兵衛にあるとき隆景が話したことばが残っています。
「あなたは頭がいいので、物事をすぐに見極め即断即決で行動できるが、後悔することもあるでしょう。わたしはあなたほど頭がよくないので、時間をかけ是非を十分検討したうえ決断するので、後悔は少ないのです。」
この逸話が黒田家の資料に出てくるものなので、隆景がなにか官兵衛に危うさを感じ、好意として伝えたことばとして残されたものなのかなと思います。ときには熟考も必要ですよと。
考えすぎてなかなか行動できない立場からすると官兵衛には憧れますが、とにかく動けと言われると苦しくなることも多いものです。それで自分を責めるくらいなら、十分検討したんだからと行動する隆景を手本にしたほうがいいのかもしれません。決断する、つまり行動を決めるのは十分考えてからでいい。大切なのは決めた行動を実行に移すこと。
隆景が亡くなったとき官兵衛は、この国から賢人がいなくなったと嘆き悲しんだそうです。