自分の振る舞いに迷ったときのヒントをくれる高坂昌信の逸話
こんにちは、両兵衛です。
ここでは現代の私たちにも通じる戦国逸話を取り上げています。
今回登場してもらうのは高坂昌信(春日虎綱)です。
昌信は、百姓から名将・武田信玄の近習として召し抱えられました。その才能を信玄に認められ活躍し、後に武田四名臣の一人として数えられる武将です。
信玄のライバルといえば、軍神とも称される上杉謙信です。信州の川中島では大小5回にわたり戦いがありましたが、昌信はその最前線である海津城の守将でした。強敵上杉の抑えとして配置されるほど、信玄から信頼されたのが高坂昌信でした。
武田家の家臣というと、昔見た大河ドラマ「武田信玄」で演じられた役者さんが私の中のイメージです。村上弘明さんが昌信を演じられていたので、二枚目なイメージが私の中ではあります。
今回は昌信が、家臣たちの振る舞いについて相談を受けたときの逸話をご紹介します。
甲斐武田家の土屋昌次が、家臣たちの扱いに困り果てていた。そこで高坂昌信に相談した。
「家臣たちに、寝転んだり、雑談する暇があれば武道に励めと言うと気が荒くなり喧嘩ばかりして困る。だからといって、人と喧嘩などするな、粗暴な振る舞いは慎めと言うと、武道を疎かにしてしまう。いったいどうすればよいものか、お教え給わりたい」
相談を受けた昌信は笑って答えた。
「そんなに難しいことではない。武士の作法はそれぞれが帯びている刀のごとくせよと、命じられればいい」
さらに言葉を続けた。
「刀というものは、よく研ぎ澄ましたうえに鞘を付けて腰に帯びるもの。もちろんその目的は人を斬るためだが、鞘がなければ腰に帯びることはできない。これは過ちが無いように鞘で封じている。
また、よく研いでも刃を付けていなければ全く役に立たない。よく研ぎ、よい刃を付け、よい鞘を付けて、すぐ抜けるよう腰に帯びてこそ、いざというとき役に立つ。
武士が喧嘩を好むというのは、刀を抜き身で腰に帯びているのと同然。また、おとなしく武道を疎かにするというのは、よく研いでも刃を付けずに腰に帯びるのと同じことで、いずれも役に立たない」
昌次がこの言葉を家臣たちに伝えたところ、それ以来、武道に励み、喧嘩や口論はしなくなったという。
武士は刀のごとく振る舞え。
あれこれ言われるより、武士にしてみれば最も身近であり、特別な道具である「刀」という例えがシンプルで一番わかりやすく響くはずと昌信は考えたんでしょうね。
仕事でもスポーツなどでも、自分がどう振る舞えばいいのか迷ってしまうことはないでしょうか。そんなとき武士の振る舞いとしての刀のように例えられるモノがあるとアイコンとしてイメージしやすいですね。
自分の場合は何だろうか。何かひとつ持っておきたいものです。
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