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短期的戦略×生存者バイアス=凋落
今日のnoteは「短期的戦略×生存者バイアス=凋落」についてお話しします。
短期的戦略のほとんどが間違い
僕は今、「人材派遣営業のコツ」というテーマでマガジンを書いています。
その中で書こうと思っていたテーマとして、「人材派遣業界における短期的戦略は基本的にほとんど間違っている」というものがあるのですが、もしかしたら、人材派遣業界に限らず、短期的戦略というものは間違いやすいものなのではないかと思ったので、マガジンで書く前に、一般的なものとして考えてみます。
で、さっそく僕の中の結論です。
「成功経験のある短期的戦略はほとんどが間違っていて、そして、うっかり上手くいったことで、生存者バイアスがかかり、その戦略が辞められなくなる。そうして、チームは凋落していく。」
僕は、短期的戦略と中長期的戦略は、どちらを取るべきかと言ったトレードオフ関係にはなく、基本的に短期的戦略間が間違っていると考えています。(当たり前のことを全力で言いましたw)
人材派遣業界ではどうか
「人材派遣営業のコツ」というマガジンで書こうとしていたくらいなので、少なくとも人材派遣ビジネスでは、あるあるだと思います。
例えば、以下のような場面が頻発します。
①以前、派遣スタッフとして登録してくれた方に、後から連絡して、仕事紹介をする(掘り起こすとか言う)行為は、仕事の依頼はあるが、派遣するスタッフがいない時の短期的な解決策として行われます。しかし、本当に役に立ってほしいタイミング(登録時の仕事探してた時)に役に立てなかったのに、急に派遣会社都合で連絡を入れてくる行為が喜ばれるはずもなく、長期的にはマイナスだったりします。また、過去に登録した方は連絡が取れないことも多く、無駄な仕事になることも多いです。
②営業手段としての飛び込み営業とか、ビルローラー(オフィスビルに入居している企業すべてにしらみつぶしに飛び込む)、コールドコールのテレアポなんかも、短期的な案件不足の解決策として採用されることが多いです。しかし、セキュリティ的にも、担当者へ会える可能性は低いですし、しらみつぶし的なアプローチですと、中長期的には嫌われていく可能性も高いです。実際、「派遣会社お断り」っていう張り紙も見たことありますし、ブランド価値みたいなものは相当に犠牲になっていると思われます。そして、こちらも、受注までにかかる労力を加味した時に、必ずしも効果的な戦略とはいいがたいと思います。
びびるほど、言うまでもないのですが、①は派遣会社、雇用主としてのサービスの魅力や品質に磨きをかけて、「あの会社、いいよね!」という評価がもらえるよう、サービス向上にリソースを割くことが本来あるべき姿です。
②も同じで、派遣先企業から魅力的だと評価してもらえるサービス開発に全力を注いだほうが進歩的です。
それどころか、いづれのパターンも、サービスが低下していることでスタッフやクライアント企業が減っているなどの状況もあり得るので、最悪の場合、ダメな評価のサービスのアピールをしまくるという逆効果な状況さえも起こりかねません。
このような状況では、正しいと想定できる戦略のほうを中長期的戦略と呼び、短絡的なほうを短期的戦略と呼ぶことが多いです。
しかし、この場合、短期的戦略と呼んでいる方は、実は、「かつて、上手く行っていた時期にやっていた戦略」というだけです。
因果関係の分析もほとんどなく、短期的に上手く行っていた(ように見える)ことをトレースしているだけなので、なんとなく短期的戦略と呼んでいるだけではないでしょうか。
実際に、例に出した①②については、短期的に見ても逆効果の可能性が高かったりします。少なくとも、サービスの質について検討することなく、話すようなこととは思えません。
一般的には、期待ほど売れなくなれば、まずはニーズに合致したサービスかどうかなどを見直したうえで、営業活動を増やしますよね。しかし、人材派遣ビジネスにおいては、サービスの品質を見直すというプロセスはなく、PR活動を増やす会社が多いと思います。
人材派遣業界以外もそうなのでは?
これは、ビジネスの黎明期としてよくある話なので、悪い意味ではないですが、「儲かりそうだな」とか「とりあえずやってみたい」みたいな、長期的なビジョンがない状態というのはビジネスをスタートするタイミングでは多いのではないでしょうか。
いつか、その状態から、いかに社会貢献していくのかを見つけていくのでしょうから、それ自体、是非はない話かと思います。
そして、その状況から、事業が上手く行く場合において、2つの状況が考えられます。
1つは、戦略と時流が合致して、上手く行ったというパターン。
もう1つが、戦略は間違っているが、時流に乗って、上手く行ったというパターンです。
僕は、短期的戦略と中長期的戦略がトレードオフのように語られる場面では、この2つ目の状況に、生存者バイアスがかかっているという状況がほとんどだと考えています。
よく考えてみてください。
何かを目指すときに、短期的には成功しているが、中長期的には失敗しているということがあるでしょうか。あるとすれば、それは失敗でしょう。
・短期的には儲かったけど、5年後倒産した
・小学校までは、日本一足が速かったけど、高校では不良
・ドーピングで金メダルとったけど、後でバレて取り消し
・・・・・あ、いや、はい。ひどい例えしか出てこないくらいにあんまり思いつかないw
そのくらい、短期と中長期はトレードオフにならないってことです。
中長期的に見たら、地球温暖化が進むなら、短期的にもエネルギーの使い方を考え直さないといけないのです。それ以外の意見は全て、それぞれのポジションから語られる欺瞞です。不便な生活になってもいいのか?とか言いますけど、「地球に住めなくなるくらいなら、不便な方がマシだろ・・・」そんな風に僕は思います。
温暖化問題についてさえ、エネルギーを今のように消費していくことや、資本主義の仕組みが本当に人類を豊かにしたかという本質的な議論はほとんど行われず、「今、豊かなんだから、今の仕組みは全て正義!」みたいな主張を通すためだけに、短期的には今のほうが・・・と言っているに過ぎない気がします。
うっかり成功し、分析がなされない不幸
↓ビジネスや第二次世界大戦について語られる文脈では、短期的な成功体験を捨てられないで負けるという理屈を一定理解しています。
古い指標は新たな有効性を持った指標の出現でその優位を失い、敗れ去っていく側になるのです。ビジネスで言えば「もはやその要素は勝利のポイントではなくなった」という状態でしょうか。
優れた液晶技術を持っていた日本のシャープは、台湾の鴻海に2016年の春に買収されています。モノ作りの中で、単なる技術優位だけではなく、参入障壁の高いビジネスモデルを打ち立てることができるかが、企業の栄枯盛衰を分ける指標となる、新たな時代が到来しているのです。
が、それさえも、もっと平たく言えば、
同じやり方で上手く行くと思っていたけど、ダメでした。
というだけで、別に短期的にも長期的にも、考えたことことが上手く行かなかった(もしくは、考えてなかった)だけだと思うんですよね。
ただ、さすがにこれだけの分析がなされた歴史上の出来事やビジネス上インパクトの大きい話は、短期的に上手く行ったことと戦略の因果関係は分析されていて、正しいのではないかと想像します。
しかし、実際のビジネス現場では、その因果関係は分析されていないことが多いです。
これは、思い込みで、今まで通りやることを、短期的戦略と呼び、それっぽい表現をして、混乱させているだけです。そして、短期的な戦略を捨てられない人とは、単純にその方法で上手く行って出世して、それしか方法の知らない人です。まさに、ポジショントークであり、成功体験を捨てられていないというよりは、会社やチームの未来よりも、短期的に自分がドヤれることを優先しているだけです。
実際に、今までの方法が今までの成果にどれだけインパクトしたか、そして、これから先にも通用しそうかという話をしたら、結構よく分からない理屈ですごんでくる人がとっても多いです。
なんかもう、こちらが申し訳ない気持ちになるので、論破しようとしないで、優しくしてあげましょう。(もちろん、自分たちの未来がより良くなる戦略を取る必要はあります)
最後に
何だか、同じ話を繰り返してしまいましたが、今日は、
✅短期的戦略というのは今までやってきた戦略というだけで、成果との因果関係が認められているわけではないことも多い
✅しかし、実際にチームが存続できていることで、生存者バイアスがかかり、1つの正しい選択肢として認識される
✅中長期的戦略があるなら、もうそれを実行することが上手くいく手段に違いないが、自分のポジションを優先して、成功体験を捨てないようなそぶりをする人がいる
というお話をしました。
短期的戦略を実行するときは、中長期的な視座で戦略を立てることに、短期的な戦略が勝ることはないということを理解しておくと、今と未来を犠牲にしすぎないで済むのではないでしょうか。
では、また明日!
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