人材派遣利用マニュアル ~人材派遣料金~ ③通勤手当の取り扱い
人材派遣利用マニュアル ~人材派遣料金~編を解説しています。
人材派遣を利用する際に知っておくと良い派遣料金についてのお話です。
今日は、第三弾!「通勤手当の取り扱い」いってみましょー!
「ひたすら具体的」で「生々しく」人材派遣利用の教科書を作るという狙いなので、僕の独断で、派遣先企業が知っておくべきことについて超実践的に解説していきます。
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なぜ、通勤手当なのか?
今日は、派遣料金について、通勤手当のお話をします。
・・・この流れから、なぜに通勤手当・・・?
と思われる方も多いと思うので、なぜ通勤手当について個別に取り上げるのかを先に説明します。
それは、
「通勤手当のみが、派遣料金と別で請求されることがあるから」
です。
逆に言うと、通勤手当以外が派遣料金と別で請求されることはほとんどありません。
そして、人材派遣営業の仕事をしていると、「通勤手当って、派遣料金に含まれる会社と別請求の会社があるけど、どうしたらいいの?」って聞かれることが、頻繁にあります。
通勤手当に限らず、モロモロコミコミがオススメ
今回も、勇気を出して、ポジションをとっておきます。
僕は、通勤手当は、いや、通勤手当に限らず、全ての派遣サービスの原価は、派遣料金に含むことをオススメします。
40歳以上になったから、介護保険料がかかるのでください・・・!とか、この営業はベテランで凄腕なので、その給与分をください・・・!とか、ちょっと違和感ありませんか?
基本的に、派遣サービスにかかる費用は派遣会社の中でうまく調整をしてもらい、その外側にあるのは、以前お話した、個別スタッフの評価だけにしておくのが良いかなと思うのですが、
そのあたりを今日はお話していきます。
通勤手当を別請求してもらう理由
まずは、通勤手当を別請求する理由です。
①通勤手当自体は残業したか否か等によって費用が変わることはないが1時間当たりいくらという派遣料金に含まれると公正ではない
②2020年4月の派遣法から、派遣先に交通費の規定がないケースを除き、基本的に派遣会社が交通費の支払いが必要になっていることから値上げの相談があり、1時間当たりいくらの派遣料金に通勤手当相当が引き当てられた場合、すでに会社のそばに住んでいることを知っている派遣スタッフなどにおいて過払い状態となる
③通勤手当が実費請求であれば非課税で取り扱うことができる
うむ・・・!納得の理由です。
通勤手当を派遣料金に含んだほうが良い理由
そんな納得の理由があるのにも関わらず、通勤手当を派遣料金に含んだほうが良い(というより、それが当たり前)と僕が考えている理由です。
①派遣会社の言い値で払うことに近い運用になる
→派遣先企業と派遣スタッフは直接の契約などはないため、個人情報である住所が開示できない、当然、電車通勤か車通勤かなどの証明もできない。つまり、派遣会社の言い値になる。(今きているスタッフの住んでいるところはなんとなく知っているかもしれませんが、新たな派遣スタッフになったらわからないですよね)
②通勤手当にかかわる経費はどこかに紛れ込んでいる
別途請求することが一見フェアに見えるが、実費で請求ということが、派遣会社の中にいる僕としては疑問。通勤手当にも社会保険料がかかるので細かいことを言えばその費用は(おそらくひっそりと)マージンのほうに含まれているし、通勤手当が間違ってないかなどを運用するためにも費用がかかるわけで、結局そのあたりは何かで価格転嫁される可能性が高いがそこに触れることはないです。
③近くに住むスタッフを派遣してほしくなる
→特定行為ができない(派遣スタッフとして誰が来るのか指定できない。面接行為も禁止。)にもかかわらずオーダー発注時点で、費用があまりかからないので家が近い人を派遣して!大体の住所を事前に教えて!といった法的にグレーな行為が発生してしまうリスクがあります。
④派遣先が意思決定できない規定により、支払うことになる
→これも言い値で払うに近いことです。給与規定(通勤手当の規定含む)は派遣会社の規定に合わせて支払うこととなるため、新幹線通勤認めることになりました、とか、ガソリン代の計算が1キロ10円から、労使間で話し合ったら1キロ30円になりました。と言われても原則支払う必要があります。
⑤後で引っ越しされるとややこしい
→同じスタッフが派遣契約中に引っ越した場合、どんなに遠くても別途請求でOKを出せますか?こちらも原則支払う必要がありそうですがどうします?
⑥派遣会社のリスクを背負わされている
→そもそも派遣会社にとって、実際に発生する通勤手当の費用の予測は難しいです。(社会保険料や従業員給与や教育費や福利厚生費は読めるが交通費はコントロールできない)ですので、通勤手当を支払うことで遠くからも通勤するとか、仕事が少なくなったために、遠くに通う方が増えたなどが起これば、派遣会社としては原価計算を誤るリスクがあります。通勤手当を実費で派遣先が支払うということは、そのリスクをすべて派遣先が代わりに背負うことを意味します。
細かいこと言うともっとありますが、これだけの理由があります。
一番、オススメできないと考えるポイントは、派遣会社の言い値になりかねないことと、リスクを代わりに背負わされていることです。それによって、余計な交渉が増える可能性が高まるからです。
冒頭でも言いましたが、介護保険料やビルの家賃や僕の給料(高くないけど)などを別途請求することはないですよね。(あるのかな・・・?)
分かりやすさでコミコミに軍配!
派遣会社の中の人として、責任をもって言いますが、通勤手当に該当する部分で儲かっている・・・という会社は存在しないと思ってください。
確かに、残業が発生すれば、その分の費用計算したものにも、125%がかかるように感じると思います。しかし、現実には、それも加味したうえで、派遣先への負担が過剰にならないように、できる限りの経営努力をしている会社がほとんどです。
なぜなら、日本には、派遣会社の事業所が、減ったとはいえ、38000もあるからです。↓人材派遣協会HPより
実は、日本よりもはるかに大きなマーケットであるアメリカでさえ、人材派遣の事業所は20000程度です。
今後も傾向としては国内の派遣事業所は減少していくと予想していますが、派遣先が安心できるくらいに、過剰ともいえる競争にさらされているのが派遣会社の現状です。
何度も紹介してしまう、派遣協会HPの派遣料金の内訳をみても、営業利益は1.2%!
これは大げさではなく、2%くらいしか営業利益が残らない会社も多くあります。
もともと、薄利多売で過剰に競争している業界なのです。
そんな中、他の派遣会社以上の価格設定をできるとしたら、それは通勤手当がどうのこうのという些末な話ではなく、その派遣会社のサービスが、しっかり差別化できているのだと言えるのではないでしょうか。
そういった背景から(最後のポイントは、派遣会社の中の人的に、通勤手当で儲けたりできない!という雑な指摘ですがw)、分かりやすく、余計な懸念点がないということで、
「通勤手当はモロモロコミコミ」
をオススメします。
というか、通勤手当以外も、役務の提供の代金として、一時間当たり○○円の中に含まれる形で契約することをオススメします。
最後に
今日は、派遣料金における「通勤手当の取り扱い」について、お話しました。
分かりやすくポジションをとって、「通勤手当はモロモロコミコミ」がオススメとお伝えしました。
が、説明したように、通勤手当を別請求してもらうことにも、一定の合理性があることも事実です。ですので、どちらが正解という種類のものではないと思います。
ある意味で、通勤手当の取り扱いをどうするかは、派遣会社にとって、一つの営業戦略ともいえます。
今回の解説についても、それぞれのメリットやデメリットを天秤にかけて、派遣会社と調整したり、望ましい仕組みを導入している派遣会社を探すヒントにしていただけると嬉しいです。
では、また!
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