[ショートショート]名もなき花
一見綺麗に見えるこの世界にも欠点は存在している。いつもと違う世界だからついつい勘違いしてしまい、綺麗な表面だけが強く写ってしまう。
よーく見るとそんな不都合な真実にも気がつくことができるがほとんどの人はそんなことをしない。目に見える表面だけを都合よく汲み取って満足して帰っていく。
そんな世界でも表面の綺麗さで満足しようとたくさんの人が訪れて帰っていく。訪れてくれる人たちの中には欠点に気がついてくれる人たちもいる。
その人たちは欠点を美しさと表現する。表面上の目に見える範囲ではなく、目に見えない自分で感じ取る心の美しさだ。
視覚からの情報だけではなく知識と感性も交えてさまざまな思考を楽しんでいる。そんな中に感じる美しさのために私たちは存在している。
かつてその他大勢と同じように表面上で満足させてきた存在はその後も、たくさんの人々を内側から満足させている。
この儚さもまた一興であろう。
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