【ネタバレ注意】あの日、14歳だった僕。＜庵野秀明監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』＞

エヴァンゲリオンとは何か。

いくつか答えはあるだろうが、そのうちの一つは「呪い」だろう。

良くも悪くも、僕らは、庵野さんは、エヴァンゲリオンという呪いにかかっていた。

四半世紀の中。

個人としてそれぞれに様々な変化があったろう。その中で自らの力をもって呪いを打ち破った人も大いにいたと思う。

正直、僕もその一人だ。

僕は既に本質的にも概念的にも「14歳」ではなくなっていたし、さまざまなリアルとの関わりの中で個人として変容してきた。一定の答えを持つ「大人」になっていた。

ただ、それは最近の話だし、きっとこれからもずっと「大人」になっていく。

子供向けコンテンツを、今の大人向けに再生産する試みは数多くある。
大体は「あの時のものをありのまま」か「今、大人になった君へ」というものだ。

しかし、シン・エヴァンゲリオンは圧倒的に他の作品と違う。

「大人になった君へ」なんて傲慢なものではない。

シンジ＝庵野さんが大人になる物語をまざまざと見せつけられるのだ。

恥ずかしいほどに自分を曝け出し、自分が伝えたい事を「教える」のではなく「表して」いる。

エゴが出てる？
肯定してはいけないものを肯定してる？
今までを否定してる？

結構。

だってこれは、僕が憧れた彼の物語なのだから。

さようなら、全てのエヴァンゲリオン。