お酒は「百害あって一利なし」なの?という件。
俳優の吉沢亮さんがお酒でやらかしてしまった件は皆さんニュースなどで知っているのではないだろうか。個人的には「それくらいであまり責めないで・・・」と思うのだが、健康面を考えれば「飲み過ぎには注意してくださいね」と思う。
古くから「酒は百薬の長」なんて言われ、多量の飲酒でなければ健康にいいと思われてきたが、最近の研究では「どうもそうではないらしい」という結果だ。
米公衆衛生局のヴィヴェク・マーシー医務総監は1月3日に報告書「アルコールと癌のリスク」を発表し、少量~中量であってもアルコールの摂取はがんの発症のリスクを高めると警告した。
報告書では、飲酒は少なくとも口腔、喉頭、咽頭、食道、乳房、肝臓、結腸、直腸の7種のがんに直接的な関連があると述べた。
個人的にはアルコールの通り道の口や食道、腸については発症リスクが高まるのは理解できるが、乳がんにも影響があるのは知らなかった。
2020年には、世界で74万1300件の症例が飲酒に起因していたという。
過去、酒量が多ければ多いほど、特に長年にわたり頻繁に多量の酒を飲んだ場合にリスクが上昇することを研究は示してきた。
だが、私たちの考える「少量」「中量」と考える、1日1杯までの飲酒でさえも、口腔がんや咽頭がん、乳がんのリスクは高まるという。
また、「発症リスクに対して、ここまでなら安全だという飲酒量はありません」と、テキサス大学MDアンダーソン癌センターでがん予防及び人口化学部門を統括するアーネスト・ホーク氏も言い切っている。
今回の報告書のような、微量の飲酒とがんの関連性を調べた研究は限られている。報告書は今回、さまざまな飲酒量における特定のがんの「絶対リスク」(一定の期間内にある結果が生じる可能性)にフォーカスした。
分析に使用したのは約25万人の成人を対象とし、2020年に発表されたオーストラリアの研究データだ。
結果、飲酒量が週に1杯未満の女性100人の内、約17人(16.5%)が一生のうちにアルコール関連のがんを発症することが分かった。アルコール関連とされる乳がんを患った女性は、100人中およそ11人だった。アルコールは乳がんの発症に関与する女性ホルモン、エストロゲンを増加させることが分かっている。
飲酒量が週に1杯未満の男性が、一生のうちにアルコール関連のがんを発症するリスクは10%だった。
研究チームはこの「週に1杯未満」のグループを基準として、アルコール摂取量が多いグループと比較している。
1日1杯(週7杯)の酒を飲む女性が一生のうちにアルコール関連のがんになる確率は19%に上がる。(1日1杯未満の女性は16.5%)また、乳がんのリスクも11%から13%へ上がるとしている。
同様に男性の場合も「1日1杯未満」が10%に対して、「1日1杯以上」は11%に上がっている。
数字上では絶対リスクの増加は小さく見えるかもしれない。しかし、酒量の少ない人に比べて、相対的な発がんリスクは大きく上昇している。
さらに1日2杯(週14杯)の場合、生涯にアルコール関連のがんになる女性の割合は「週に1杯未満」グループの16.5%から22%近くまで増加した。乳がんのリスクは15.3%まで増えた。
男性の場合、アルコール関連のがんの発症リスクは13%まで上昇した。
一般に「1日4杯以上」と定義される「多量飲酒」は口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、乳がん、大腸がんに加え、肝臓がん、胃がん、胆のうがん、膀胱がんの要因になるという。
少量、中量、多量の飲酒者をお酒を飲まない人と比較した大規模なメタ分析では、多量飲酒者はお酒を飲まない人に比べ、肝臓がんと胆のうがんを発症するリスクが2倍を超えた。胃がん、肺がん、膀胱がんのリスクも15%から20%高かった。
女性の場合は2時間で4杯以上、男性の場合は5杯以上が「ビンジ飲酒(短時間で多量の飲酒をすること)」に定義される。ビンジ飲酒には多くの害があることが知られている。
他にもアルコールの研究では、女性は男性よりも少ない量のアルコールで健康障害を被ることが分かっている。これは女性の方がアルコールの代謝に時間がかかり、アルコールが長時間体内に留まるからだと考えられている。
また食生活の乱れや、運動不足に飲酒が重なれば、体重増加や肥満のリスクが高まり、病的な肥満は癌の要因になる。
要は、様々なアルコールに関する癌の研究が行われているが、結論としては『酒量は少なければ少ないほどいい』という事だ。
そもそも「酒は百薬の長」という言葉は、中国の古代王朝「新」の皇帝である王莽が政府の専売事業に関する命令で発した言葉で、その由来は『漢書』の「食貨志」にある一文がもとになっている。命令の目的は「税金を多く集めるため」のキャンペーンだったという。
つまり、何の根拠もないのである。
科学的に考えれば「酒は毒」ということだ。
国際癌研究機関の作業部会は最近、長期の断酒や減酒が口腔がんと食道がんのリスク軽減につながることを突き止めている。
「最近飲み過ぎなんだよな」なんて思う人は、今からでもお酒を少なくしても遅くはないという事だ。
お酒って、ホント色々、怖いですよね。
今日はここまで。
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