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「インサイド・ヘッド2」は泣けるの?と思った件。

日本公開前から話題だった「インサイド・ヘッド2」。

全米公開後、アカデミー賞を受賞した前作を大きく上回る興行収入14億6276万ドル(約2120億円)を達成。これまで首位だった「アナと雪の女王2」の記録を塗り替えトップとなった。

日本でも8月1日の公開以来、3数連続で週末動員数1位を獲得。2024年公開の洋画作品の中で興行収入30億円を最短で達成した。

私も公開2週目に家族と観に行った。まあ、娘もママさんも楽しんでいたし、私も面白かったのだが、世間ではこの「インサイド・ヘッド2」、泣ける映画として大人が話題にしているという。

私個人的には楽しさはあっても「泣ける」要素を感じなかったので、どういう事だろうと少し調べてみた。そこにはいくつかの理由があるようだ。

まず一つ目として今回の映画は「思春期を描いている」という事だ。

前作ではまだ幼かった主人公が13歳になっている。前作では「ヨロコビ」「カナシミ」「ムカムカ」「ビビリ」「イカリ」の5つの感情が幼い主人公を見守る様子が描かれた。
今作では、思春期からの感情「シンパイ」「イイナー」「ダリィ」「ハズカシ」の4つの感情が生まれる。

今回新たに加わった感情のいくつかは、心理学用語で『自己意識的感情』と呼ばれるものだ。自分と他人を比較することで生まれ、人の目が気になるようになる。誰もが通ってきた感情なので、共感するシーンも多かったのではないだろうか。

ネタバレになるので、具体的なシーンはここでは記さないが、思春期になると多様な集団に属することも多くなり、自分の気持ちの矛盾を疑問に思い戸惑うことも出てくる。
そのような経験は、当然大人になってもあるため、思春期の世代だけではなく、幅広い世代の共感を誘ったのではないかと言われている。

二つ目は「心配」の感情が、先行きの見えない不透明な現代にマッチしたのではないかと言う点だ。

本作では新しく生まれた「大人の感情」の中のリーダー的存在として「シンパイ」は描かれている。シンパイの役目は主人公の「将来を心配する」ことだ。嫌なことや失敗することを避けるために奔走している。

そうして主人公は、不安や心配な感情に振り回され、次第に笑顔を忘れていく。他人と比べて落ち込んだり、不安で眠れない夜を過ごしたり。

自分でも処理しきれない感情を抱え、不安に押しつぶされそうな主人公の姿に、いつの日かの自分を重ねてしまう人も多かったのではないかとみられている。

3つ目は「感情の細やかな表現」である。
本作における感情の表現は、実は膨大なアカデミックの知見に支えられている。カリフォルニア大学の心理学教授が監修をしている。

例えば「嫉妬と妬みはどう違うのか」といった細やかな感情の違いや、口角の角度で相手の感情を読み取ろうとするシーンなどは、作品がこだわりを持って作られていることを表している。

そして、この作品を通して語られているメインテーマとでもいうべきもの、それは『自分らしさ』に他ならない。この点は私自身も感じられたことである。

主人公は大人の感情に振り回されながらも「自分らしさとは何か」という問いに向き合っていく。物語が進むにつれ自分らしさを取り戻していく主人公に、勇気づけられる人も多かったのではないだろうか。

そして「感情だけで人は決まらない」という事もこの映画が発するメッセージの一つだ。感情は人を作る大きな要素ではあるが、人を支配したりコントロールするものではない。

感情だけではなく、いいことも悪いことも含め、その人がそれまでに行ってきたことや、周りの環境すべてが、自分らしさを作っている。

そんなメッセージとともに、感情の付き合い方が学べる映画として人気が出ているのではないかと言われているようだ。

どんな感情が強いか、は人それぞれである。また思春期ではなくても大人の感情はある。私の娘は小学2年生だが、最近「写真撮るの恥ずかしい」だの、アイビスペイントで書いたイラストを「めちゃ上手じゃん」と誉めても「プロ絵師より下手だし」と他人と比較して落ち込んだり恥ずかしがっている。

そんな様々な感情をしみじみと感じながら、かつて自分が通ってきたシーンを思い出して、大人は泣けてしまうのだろう。今まで頑張ってきた自分へのご褒美として、涙を浮かべるんだろうな、と思った。

私のようにある程度の年齢になると「思い出したくもないこと」が増えてくるので、この映画を観ても泣けなかったのかなあ…なんて思ったりした。

「インサイド・ヘッド2」観られた方、感想なんかコメントいただけると嬉しいです。

今日はここまで。

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