「ホライズン」と言うと英語の教科書を想像する件。
先週日本の株式市場で久しぶりの大型IPO銘柄「東京メトロ」が上場した。公募価格よりも高値上場しているが、個人的にはまだ全然上がると思っている。
今回は東京メトロの上場の話ではない。時をほぼ同じくして(24日)お隣の市場である香港取引所に新規上場した会社の話である。
会社名を「地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)」と言う。ホライズンと聞くと英語の教科書や小説ハゲタカを想像してしまうのだが、ホライズン・ロボティクスは中国のAI半導体企業である。ライバル企業はAI半導体でトップをひた走る「エヌビディア」だ。香港取引所に新規上場し54億香港ドル(約1000億円)を調達した。香港で今年最大の新規上場となり、24日の上場初値は公募価格を28%上回り、時価総額は一時1兆4000億円まで拡大、終値では1兆円強となった。
ホライズン創業者でCEOの余凱氏は米マイクロソフトなどを経て2012年に百度(バイドゥ)の米国の研究開発拠点に入って自動運転技術の研究プロジェクトを立ち上げた。ホライズンの設立時に「ロボット時代のウィンテル(ウインドウズとインテルを指す)になる」と宣言して注目された。
ホライズンの強みはAI先進国の米国で培った自動運転技術に関する半導体をベースとしてハードからソフトまで一貫したシステムを手がけることだ。マイコンなどを手掛ける海外半導体大手、国内外の自動車大手と連携している。
車載半導体大手のインフィニオンやオランダのNXPセミコンダクターズ、ソニーとも連携するほかデンソー、独ボッシュやコンチネンタルとも取引する。
自動車大手とも手を組んでおり、フォルクスワーゲンとホライズンは2023年に自動運転技術を開発する合弁会社を中国に設立。韓国ヒュンダイと中国上海汽車、GMとの中国合弁会社に加え、大半の中国自動車大手が顧客となっており27社の285車種に車載半導体の納入実績を持っている。
中国調査会社によると、中国で製造販売する自動運転技術を搭載した乗用車について同社の半導体を採用した自動運転システムの1~6月の国内シェアは15%で、先行する米エヌビディア、イスラエルのモービルアイを追いかけている。
急成長の背景には、中国政府による国産半導体の推進がある。中国は2025年を目途に車載半導体の現地調達率を20~25%に高めるよう指導している。中国の自動車メーカー関係者は「エヌビディアよりもホライズンを使うように努力している」と述べている。
今後の拡大も大きく期待できそうなホライズンだが、経営リスクとして「米中対立」をあげており、米インテルの支援を受けて設立された同社は海外の半導体大手などとも連携しており、先進技術の開発の行方に影響しかねないと懸念されている。その証拠に、投資家の目も厳しく、公募価格比の上げ幅は取引終了時点で3%に縮小し、時価総額も初値の時より減っている。
自動車の開発競争の軸はEVから自動運転技術にシフトし、中国政府も注力している。ホライズンの成長の結果は、中国が目指す「自動車強国」の行方も左右している。
同じ大型IPO(新規上場)、時価総額も同じく1兆円程度と企業規模は東京メトロとホライズン・ロボティクスは同等だ。
しかしながら一方は昔からある日本最強私鉄。一方は米インテルのDNAを受け継いだAI半導体企業。
「最強ではあるが、鉄道事業以外伸びしろがない」と言われている東京メトロ、世界最強AI半導体企業(エヌビディア)に追いつけと先進技術を開発するホライズン。今の日本と中国の経済基盤を象徴しているような気がするのは私だけだろうか?
今日はここまで。
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