「30分の延長スタート」で何か変わるの?って件。
昨日11月5日から、東京証券取引所の株の取引所間が午後3時30分までとなる。従来の3時終了から30分延長された。
東京証券取引所は、元々平日9時から11時30分までの前場と、12時30分から15時までの「後場」で成り立っていた。合計5時間である。昨日からは5時間30分となっている。東証は他国の証券取引所と比べて取引時間の短かった市場を、時間延長でより多くの取引機会を提供したい意向だ。
各国の主要取引所の取引時間
・ロンドン 8時間30分
・パリ 8時間30分
・シンガポール 7時間
・ニューヨーク 6時間
・ナスダック 6時間
・香港 5時間30分
・東京 5時間30分
また、延長に伴い「終値」の決め方も変更になっている。
終値は、その日の株式パフォーマンスを示し、翌日の取引の「始値」の目安となるなど「株式市場」では重要な数字である。例えば投資信託の基準価格は、その日の終値が基準となり計算される。市場外での株取引なども終値が目安となることが多く、投資家にとって終値はより重要な株価だ。
そのため、取引終了の直前のタイミングで大きな注文を入れて終値をつり上げたり下げたりすると、相場操縦が疑われてしまう。機関投資家はこうした疑いを持たれないために、終値に関係する注文を避ける必要があった。
昨日5日からは、こういった問題を避けるべく「プレ・クロージング」がスタートしている。取引終了前5分間、つまり3時25分から30分までは、取引が終了せず、注文だけが受け付けられる。その後、プレ・クロージング中に累積した売り・買いの注文を最後に突き合わせ、終値を決めるのだ。
これは「クロージング・オークション」とも呼ばれ、香港やロンドンの市場で採用されている。透明性を高め、投資家が大引け時にも注文を出しやすくした形だ。
東証は、時間延長やクロージングの制度変更で、より大きな取引を呼び込み市場活性化を図っている。
この「東証の変化」を受け、企業側もまた対応を変えている。
上場企業は、取引が終了する午後3時以降に決算発表をすることが多かった。東証によると、2024年3月期に約8割の上場企業が取引終了後の午後3時以降に決算を発表していた。これは、投資家に決算の内容を十分吟味する時間を供給したいからだ。
一方で東証は、場中でも早いタイミングで決算を開示することを求めてきた。固まった数値を開示しない時間が長くなるほど、インサイダー取引の機会が増えるからだ。今回の時間延長に対し、東証は企業側に「決算発表の後ろ倒し」をしないように呼び掛けている。
そのため、一部の上場企業は、決算の発表を前倒しする予定だ。午後3時に発表しても、投資家に十分な吟味の時間を与えたことにはならないだろうという判断である。
富士フィルムホールディングス、ヤマダホールディングス、ホンダ、TDKなどは、2024年7月から9月期の決算から発表時間を前倒しする。
場中で決算が発表されることにより、機関投資家もポジションをいったん解消して決算発表をまたがないようにしたり、空売りでリスクヘッジするなど取引体制を変えてくるだろうと専門家はみている。
取引時間延長は、東京証券取引所だけではなく、企業や、投資家の行動も変えてくるようである。結果、より国際競争力を持った市場になることができるのだろうか。
実際の昨日の売買高はあまり冴えなかったようだが、私自身は、この変化により、今よりも東証に投入されるお金は増えるだろうと考えているのだけど、皆さんはいかがだろうか?
今日はここまで。
現在フォロワー1000人目指し毎日投稿中。記事を読んだら「スキ」してもらえると嬉しい。「フォロー」してもらえるとさらに嬉しいです。
引き続き、どうぞよろしく!