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見える景色は自分で選び取れる 【#36】

ベスト8の壁はやはり高く 12/5(mon.)

Netflixの『First Love』日本はもちろん海外の友達もけっこう観てる。このティザーの編集すごい。行き過ぎたエモはツッコミをも制する。フィクショナルでも、ここまで物語を構築できる想像力がすごい。

コスタリカ国内旅行中に読み始めた『万延元年のフットボール』(大江健三郎)も読み終える。正直、一言、二言で感想を言える類の小説ではない。いくつもの十字架が埋め込まれたような、実は重い重い作品。解説で大江も触れているように、この一作を書き上げるためには高い高い“乗越点”があったことは間違いがなく、読者にも読み進める緊張を強いる。

僕は子供の時分の平衡感覚の思い出に頼って駈け降りた船底型の敷石道を、今度は不安な渋滞感と共に登った。もっとも僕は敷石道をふくめて谷間全体が、僕に無縁に思われることからの漠然たる不安を感じてはいるが、その反面この谷間に戻ってから持ちつづけてきた、自分が子供の時分以来の真の自分へのidentityを喪っているという罪障感からは解放されていた。

僕はなおもくっきりと明確に実在化しつづける啓示に酔ったまま言葉もなく頭をふった。啓示の中軸にある、曾祖父の弟は万延元年の一揆後、仲間たちを背後に見棄てて森を抜け新世界に出発したのではなかったのだという発見は早くも動かしがたい。かれは仲間たちが斬首される悲惨を阻止することはできなかったが、かれ自身もみずからを罰したのだ。かれは潰滅の日から地下倉に閉じこもり、そのように消極的な姿勢によってではあるが、生涯にわたって転向はせず、一揆の指導者としての一貫性を持続したのだ。かれの書きのこした様ざまの手紙は、かれが地下倉で読書にふけりながら、若く冒険的な夢からもっと苦い現実感のある夢にいたるまで、もしここより他の場所での生活がありえたならこのような手紙を発信したであろうと想像しては、まさにそのような手紙を書いて地下倉へ食事を差し入れる者に手渡したのにちがいない。

コスタリカ時間AM9の定刻にきっかり起床して、W杯 日本 VS クロアチア、フルマッチをPK戦まで観戦。

前半で仕留めておくべき日本にとって最も苦手な展開。 先制してからのゲームプランが見えず、寝た子を起こす展開に。 前線で全くボールが収まらず、幾度とない攻め上がりも徒労に終わる。 試合巧者のクロアチア、裏狙いや三笘対策など、短期間でのスカウテ...

Posted by Minoru Imano on Monday, December 5, 2022

毎回、楽しみにしていたGCP今野さんのレビューも辛め。

延長とかPKをこのタイミングから想定していたなら、PK練習しろよ。

PK戦はじゃんけんみたいなものと言いつつ、全員が間合いが早く、助走が短く、スイングが小さく、借りてきた猫のような振る舞いで、あっという間に終戦。

まあ残念は残念だけど、夢は見れたし、次の世代はかなり強そうなので、また期待することしかできない。

試合を見届けてから、旅終わりの溜まった洗濯物をクリーニング店に持ち運ぶ。Uberで5分くらいの距離にあるのだけれど、あえて、歩くことにしている。意識的に少しでも身体を動かす時間を作らないと、ジムにも行ってないので運動不足が祟る。

最近ちょっとハマっているホテルのジェノベーゼソースがかかったカプレーゼをポーカー前にいただく。

ポーカールームへ行くと、いつもの面々が「日本PK戦残念だったな」と口々の声をかけてくれる。そりゃ、新しい景色は見たかった。ブラジルはブラジルで、無慈悲でえげつなかった。

さて、ポーカーはターンでツモったナッツストレートとセットでほぼダブルアップ。AQ >> JJ。コスタリカに来てから、どでかい勝ちはないものの、コンスタントに勝ちを積み上げられている。

贅沢さえしなければホテル暮らしでも普通に成立しそう。とはいえ、どこまで言っても他国の環境に比べるとレートは低いので、効率は良くないですね。

コスタリカで余生を楽しむアメリカ退役軍人たち 12/6(tue.)

日経テレ東大学での、猪子さんの一人語りが圧巻だった。前半の、行基の功績から紐解く仏教とサウナの日本史。後半の言語と身体の本質から考えるアートの存在意義。この回、ちょっとやばい。

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