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適切な交差点で、転がる縁ーーポーカーと執筆のはざまで 【#56】
縁のループとデスパレード・マネジメント
「全てがどうでもいい」と思えるから、「全てに頑張れる」ってのはあるかもしれない。アフリカにぶっ飛んで日本で生まれ育ち、身についた価値観をアンストールできた。社会規範のパラダイムの外側へ。
精神的に一度死ぬと、生きていることがボーナスタイムに思える。今は金が欲しいとかモテたいとか一切なく、ただいい仕事をしたい気持ちがある。作品がモノとして残る、本づくりは素直にやりがいを感じる。
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日本に帰国後、ありがたいことにたくさんの方々が声をかけてくれ、目まぐるしい日々を駆け抜けている。日中は原稿を整理、夜は旧友やビジネスパートナーと美味しいご飯を食べる。本を書いて、ポーカーをやって。
請負ってる本はじゃっかん渋滞の様相を呈し始めた。デスパレードに陥らぬマネジメントの見せどころ。ほぼほぼ完成してて発射間近のやつから粛々と、種まき水やりも並行で。コミットメントという有限リソースの最適アロケーション、永遠のテーマである。本を書くのは時間の投下というより、良くも悪くも精神をすり減らしながら、それを貼り付け、組み立てていく感じに近い。
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書いている本のうち三冊がゲラ段階になってきて、どれもまったく違うテーマでありながら手応えがある内容になってる。読書はいつの時代も新しい世界を知るきっかけとしてやはり最強のメディアだと思う。
舌と胃に脳で嘘をつかない。家系ラーメンの旅
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学生時代、散々お世話になった渋谷の侍が、ケニアにいる間に移転していた。無骨でこじんまりとしていた店内の雰囲気に面影はなく、オペレーショナルに洗練されていた印象。そそくさと家系ラーメンを胃におさめ、100年ぶりに日テレへGO。
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長らく制作に携わり、最終盤は編集長を勤めていた『SENSORS』が復活したので、収録へ遊びに。友人の龍崎翔子ちゃんも出演しており、トークが相変わらずキレキレであり、言語化力に磨きがかかっていた。
なによりも稀少で、なによりも尊い社会の資源は、起業家を突き動かす「想い」であり「エネルギー」だと思ったの101回目。
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目の前に料理を提供された瞬間。第一印象のフォルムとして心躍るのは、自分の場合、どこまでいっても高級フレンチじゃなくて家系ラーメンだ。ぶっちゃけ死ぬまで変わらないと思う。実際、値段に対して味だって何十倍も美味いか?というと、味だけでも俺は家系を選ぶ。脳より舌と胃に忠実でありたい。
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GO三浦さんが打ち合わせがてら、今いちばん推してるラーメン屋「富喜製麺研究所」へ連れて行ってくれた。日本に帰ってきてから家系しか食べてなかったので、さっぱりの昆布水つけ麺が沁みた。食べ物としてラーメン奥行き広すぎる。
goみうら、明石ガクトが激賞してる六本木新ラーメン屋。優しさにうまさにパンチに店員の覇気に。完敗しながら1人乾杯した。ラーメンは日本一が世界一。だからこそ頑張り甲斐あるよ。箕輪家もやるしかない。 pic.twitter.com/1G9r9iqsjt
— 箕輪厚介 (@minowanowa) August 16, 2023
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ちょうどオフィス難民で困っていたところ、三浦さんが「GOをいつでも使っていいよ」と入館カードを授けてくれた。ありがたすぎる。兄貴だ。
「欲望・記号・偏見」の外側への憧憬
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NewsPicks Publishingで新米編集者として奮闘するMと飲む。人とサシで飲んでいると、言語化がスイスイ進む。
縁は必ず転がっていく。適切な交差点を迎えたときに。
”ノリよく善良に生きること”がむずい。器用に生きることは、受験勉強の延長で誰にでもできるかもしれない。定型に自分なりのプリシプルを区切り、規範に応じた生き方を希求するのはできる。常に世界への扉を開きながら、オープンエンドに自己存在を晒しつつ、変身を厭わぬこと。むずい。あまりにも。
「欲望・記号・偏見」を拝した外側ってあり得るんだろうか。人間は一秒後ごとに汚れる。純粋培養の自我や感情は原理的にあり得ないからこそ求めてしまう。ここではないどこか、への憧憬。
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ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。