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誰も知らない名言集/リリー・フランキー
本当に言葉のセンスがある人は、
下ネタを、面白く品よく話せる人だと常々思っている。
この作品ではたくさんの際どい内容の
お話が出てくるのだけれど、
リリー・フランキーさんの繰り出す言葉選びや、無駄にロマンティックな比喩は、
何度読んでも大笑いしてしまう。
大義を成した人の名言は、多くの人の心を動かし、前向きな自分になれるように背中を押しをしてくれたりする。
しかし、この作品の中に出てくる名言たちは、窮地に追いやられたごく普通(?)の人たちから、振り絞るように出た魂の叫びのようなものがほとんど。
絶望的な状況と、その時漏れ出るネガティブな(ある意味ポジティブ)言葉が
マイナス同士の掛け算となり、絶妙なおかしさというプラスになる。
なのに誰の共感も得られない。
言った本人すら救われていない。
しかし不思議なことに、
この本を読んだ後は笑いすぎて、
お腹痛くて、さっきまでちょっとモヤモヤしてたことなんて、
どーでも良くなるくらいには元気になっていたりする。
昨今流行りの、ポジティブキャンペーンに疲れた人たちにおすすめしたい。
ちなみに私は学生の頃、
この本を授業中に読んでいて、
声に出して笑ってしまい、
先生に取り上げられた経験がある。