本当の私になる
※この記事には自傷に関する描写が含まれます。苦手な方はご注意ください。
2015年頃、某日私は自分の足を切った。
筋肉層に達する傷だった。
あまり知ってる人は多くないと思うが、筋肉層の傷は信じられないくらい傷口がぱっくりと開く。
正直に言って足がちぎれるかと思った。
私は「これはすぐに病院に行かなければならない。」と思い、幸い近くに病院があったので足を引きずって、自転車に乗って病院に向かった。
病院はいつも通りそれなりに混んでいた。
お年寄りが多かった。
私は「怪我をしました。」と言って受付を済ませ、待合室に座った。
すると、不思議なことに気づいた。
世界が「正常」に見えるのだ。
どういうことかというと、私はふだん精神病(双極性障害)で、世界はなんだかいつも怖くて、不安だし苦しかった。
でも今は違う。
他の人がそこにいるのに怖くなくて、ただ自分がここにいて、ざわざわとした空気感がある。
そのことがただ嬉しかった。
自傷してアドレナリンだかβエンドルフィンだかの脳内麻薬物質が出ていたからかもしれない。
私はやがて診察室に呼ばれて、そこで縫合の手術を行うことになった。
麻酔をして傷を縫ってもらいながら私はいろいろなことを思い出して泣いてしまった。
「痛くないですか?大丈夫ですか?」と聞かれ、「大丈夫です。」と答えた。
自傷をしないと世界が「正しく」見えないのが悲しい。
悲しい。
自傷をして本当の自分になる。
本来の私になる。
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