インターネット的言論と『陰謀論』
「テレビや新聞では報じられない世界の真実」的な言論がインターネット上にはある。
大手マスコミが報じる内容が、たいていは真実とは真逆であり、彼らは日本国民を洗脳しようとしているらしい。
そもそも、学校教育の段階からその洗脳は始まっていて、われわれ日本人は大人になっていく過程において、自然な形でテレビ・新聞で言われる言説に染まっていく。
しかしながら、このことに気付けるかどうかのハードルはかなり低いように思う。
テレビよりもインターネットのほうがよく見られる昨今の情勢もそうだが、すでに多くの日本国民の内にこのことが知られていて、人づてにもこれらインターネット上で見られるような言論はよく耳にするからだ。
私たちはすでに、そう意識せずとも「インターネット的」である。
さて、それらインターネット的言論のなかには、「陰謀論」なる一連の話題がある。
アメリカ前大統領のトランプ氏が選挙期間中に言っていた「DS(ディープステート)」などがその典型的な例だ。
ディープステートはともかく、ロスチャイルド家が国家に金を貸せるほどの超大金持ちなのは事実であろう。
石油業界を牛耳るロックフェラーが同様なのもおそらく疑いようがない。
彼らのような超大金持ちの存在自体は決してトンデモナイ話ではない。
しかし、ビル・クリントンやヒラリー・クリントンらが悪魔崇拝者で、子供たちの生き血を飲んでいる、というような話の真偽はどうなのだろうか?
国際的な児童買春がおこなわれていたとされるエプスタイン島の存在も当然事実だろう。
しかしこの島で悪魔崇拝の儀式さえ行われていたというのは本当だろうか?
社会学者の宮台真司は日本を「対米ケツ舐め国家」と呼ぶが、アメリカによる対日工作は実際のところどこまで行われているのか?
元内閣参与の高橋洋一は「アメリカからの年次改革要望書を読んだことない」と言っているが、日本政府はいったいどれほどの圧力をアメリカ、あるいはディープステートから受けているのだろうか。
こうした陰謀論に対するなかで私たちが常に頭に置いておかなければいけないのは、いずれの勢力も一枚岩でないということだ。
今度の自民党総裁選や衆議院選挙のように、予定調和なんてそうそう存在しない。
新型コロナウイルスの一連の出来事についても、ディープステートにこじつけることは翻って容易なことであり、「自然派ママ」による「反ワクチン」サイトの熱心な読者になってしまわないような危機管理と努力がわれわれには必要なのである。
きっと世界はそれほど単純ではないし、逆にそれほど複雑でもないのかもしれない。
久々のエントリーでした。