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MBAを取得して年収200万アップさせたぼくが、もう一度大学院に行こうとした理由

この投稿は以下のまとめ投稿に紐づく、小投稿になっています。まだご覧になっていない方は、全体感を掴むためにこちらからご覧ください。

ざっくりまとめ

  • 新規事業開発やイノベーション推進のためにビジネススクールで学び、年収を200万アップできたため満足していた。

  • 次のステージを探し始めたときに、新しいテーマが見え始めた。

  • MBAのスキルは確かに新規事業の推進に役立ったがAI時代にはスキルの不足を感じ始めた。

まえがき的なやつ

この投稿に没入感を持ってもらうためにできるだけリアルな情報を手短にお伝えしておきます。

転職前のぼく(当時32歳)のスペック

当時はIPO企業の新規事業担当として戦略子会社所属でAI関連の製品企画を行い、年収400万ほど(賞与なし、福利厚生での手当類なし)。加えてグループDXの副責任者の立場(開発実務あり)、通信キャリアの中でマーケティング施策立ち上げ実務を兼任し、月間20時間程度の残業でした。ご覧の通り職務内容に対して年収は見合っていなかったのですが、コロナショックで先行き不透明だったことや大学院在籍をしていたこともあり、それまでは転職をあまり考えていませんでした。

MBA取得後の気持ち

正直なところ「やっと終わった・・・」という気持ちであり、「奇跡的に卒業できた・・・」という状態でした。14人入った同期のうち2年で卒業できたのが5名だったのですが、年齢問わず優秀な方ばかりだったので、自分でもびっくりでした。しかしこのような経験があり自分に自信がついたというのも事実です。

仕事に自信がついて会社の見方が変わる

その結果、良くも悪くも会社の見え方が変わりました。私は営業現場でも管理部門でも仕事をしていましたが、企業がどういう状態か、どこに問題があり、解消見込みがどのくらいあるか、ボトルネックが何かが見えはじめてしまいます。大学院で様々な企業のケーススタディを扱うため、事象がどのような経営の意図に基づくものかまで想像できるようになり、会社に対する期待が薄れていく結果に繋がりました。グループ全体で100人程度の中規模企業で経営層との距離が近かったことも要因のひとつでしょう。その結果、卒業後の転職意識の芽生えにつながりました。

転職の選択肢は年収500~1000万ほど

転職サイトで調べると自分の業務経験での対応年収がかなり高いことが伺えました。事業会社の事業部門では年収500~700万円、コンサルタントなど上流工程では年収800~1000万円ほどのレンジに当てはまることもあり、会社の選び方についてはよく考えました。これまで比較的激務で融通の効かない企業にいたこともあり、年収よりリモートワークなど働き方、これまで居た規模ではなく大きめの企業規模の経験をもとめ最終的に年収600万オファーで産業DXに取り組む事業会社(SIer系)に転職しました。

事業会社でMBAスキルが活きるとき

このような転職により大きな企業へ在籍して業務を進めていましたが、「MBAを持っているから頑張れていたな」と思うことがいくつかあります。

組織の中で未開拓の取り組み推進

当時在籍していた企業では、産業DXの側面で企業内の新規事業のような取り組みを進めており、社内に事例がない取り組みを行っていました。したがって慣例やお作法がなく、やり方を含めて自ら切り開く必要がありました。
このような場面でビジネススクールで学んだことや、知り合った人脈から得た情報が生きてきました。私はイノベーション創出の観点でのMBA取得でしたので、0から何かを作っていく取り組みが得意です。企業の慣習ややり方に囚われずに、これはどうかあれはどうかと積極的に活動提案ができたのは、これらの経験があったからだと思っています。(前職の新規事業系の経験よりもかなり生きていました)

「多様な人との議論」による、新しい観点の発見

ビジネススクールにはとても多様な方が在籍していました。そこでは若手で新規事業担当に抜擢された方、事業会社に所属し独立を考えている方、企業の代表取締役・・・など、バックグラウンドの違う様々な人と意見を交わし合います。
このような場面の経験は「どのように意見を引き出し、議論を盛り上げるか」という点で特にスキルを活かすことができました。当時は役職者10名と事業開発の議論をしていましたが、多くの方は新しい取り組みで意見を出すことに慣れていませんでした。投げかけや問いかけ方、意見のまとめ方や次のアクションへの展開など、新参者ながら取り組みをリードできたのは、紛れもなくビジネススクールでの経験だったと思います。

生成AIの時代に自分がどのような仕事をするか

本題からは少し外れてしまうのですが、これらの取組みをしている中で登場したのが「ChatGPT」でした。御存知の通り昨今のAIブームの火付け役ですが、当初は上限に引っかかる毎日ほど使い込んで技術の理解を深めていました。多くのスタートアップが取組みを即座に始めていたのですが、当時の企業では年度が変わるまで取組みはほぼ進まず、このような速度の遅さに危機感を覚えることとなりました。

データサイエンスやAIへの興味関心

実は転職後、東京理科大学のデータサイエンス系のカリキュラムコースを受講できる機会があり半年ほどデータの処理方法などを学んでいました。またその結果としてG検定の取得もしており、生成AIがどのようなものかをわかっていただけあって、ビジネスや経営への活用などに興味が膨れました。
また支援しているスタートアップでも生成AIを組織経営の取り組みや事業開発への活用できないかという観点でプロトタイプを作るなど、あらゆる分野での活用が期待されることはすぐにわかり、すぐにでもこの分野を仕事にしたいと思うようになっていました。そこで転職の意識が芽生えたのは言うまでもありません。

生成AI時代のキャリアパスを考え直す

自分自身のキャリアとして、ビジネス側面・技術側面・デザイン側面のオールラウンダーでありたいと思っていたところに生成AIが登場し、それぞれのプロフェッショナルスキルにも影響が出ることがわかりはじめました。そこで自分が身につけたいスキルやキャリアパスを考え直し、取捨選択をすることにしました。
まずセールスについてはこれまでの経験で十分応用ができることがわかっていたので、これを仕事の軸にすることは除外。反対にR&D領域の仕事経験は比較的薄かったので、アカデミア領域から企業の研究開発領域の間での経験が増やせるような企業を狙うことにしました。またAIやデータサイエンスの領域の実務経験が欲しかったので、これも必須です。そして自分がこれまでやったことがないSaaSサービスの運営はAI時代も形は変われど続くだろうと予測し、重視することにしました。
まとめると、アカデミア領域を含めた研究開発に取り組んでいる企業で、AIやデータサイエンスなどの先端技術を扱っており、SaaSビジネスに取り組めるという条件で企業探しを進めました。

MBAスキルの不足を感じた瞬間

上記の取組みを進めた後、私は昨年4月に転職をし現在は「AI技術ベンチャー」で製品開発や事業推進を担っています。しかし、これまでの活動とは裏腹に、技術を中心として企業を成長させるうえではMBAのスキルでは足りないことに気づきました。

知財戦略

まず営業会社やトレンド技術の活用をしているうちは聞き慣れなかった、知的財産という言葉に出会います。AIに限らず技術を中心として企業が成立している場合、その権利が重要であり、特許をどう取っていくかが重要な戦略となります。申請にも膨大な時間がかかるため、とにかく特許を出せばいいわけではありませんしそれらをどのように取得していくかを考えるうえでは他社技術との比較や先行特許の調査など周辺業務も求められることになります。

技術ロードマッピング

こちらも技術の話です。わかりやすいもので言えばプログラミング言語のようなもの、深い話をすればクラウドやライブラリなどで使われている技術につながるのですが、これは製品づくりに繋がります。なぜかといえば、今日マニュアルを見れば明日からできるような話ではなく、エンジニアの学習が必要であり、会社としてどのような技術のナレッジを貯めていくかの戦略に基づくものだからです。営業系ベンチャーでも、産業DXの事業会社でも世の中で普及してきた技術を使う側でしたので、それらを読み解いて方針を考えるということは経験のないことでした。

倫理上の問題

これはサービスデザインにつながることもありますが、技術を生み出すことや活用することには一定の責任が伴い、その中には倫理上の問題に発展する事例もあります。すべての技術において発生するわけではなく、またあらゆる技術で発生する可能性があるものですから、リスク把握の観点からも考えを及ばせられる状態が必要です。

私はプロダクトマネージャーのような立場と事業推進としてプロダクト戦略を考える立場がありますので、今後はこれらの知見が多く求められるだろうという見通しがあり、学び直しを考えるようになりました。加えて、私自身が文系大学出身で理系の大学院での学びに憧れがあったことと合わさり、東京科学大学(旧:東京工業大学)の技術経営課程への受験を志すようになったという背景があります。

もう一度大学院に行こうと思ったのは

ズバリ、もう一度大学院に行こうと思ったのは、自分の興味関心のできるだけ多くを消化し、これまでできなかった新しい刺激を受けられるようにするためです。多くの方はこのようなときに自ら本を読み学習し、有識者の知恵を借りて取り組みに活かすのだと思います。しかし私はそのような学習スタイルが不得意であり、実務上でのケーススタディと集団での知識習得、課題解決の実践の中で学ぶほうが得意です。MBAでの成功体験もあり、国公立大学院であればなんとか進学ができることもあってチャレンジを決め、合格にたどり着くことができました。

正直なところ先のことはわかりませんが、MBAと技術経営修士(MOT)
を持っている状態であれば、これまでとは異なる観点でアウトプットができるでしょうし、もしかすると社会人博士の道もあるのかもしれません。あまり長い未来を想像するのは難しいのですが、何も考えずにがむしゃらに働いた20代を対比させるのであれば、40代のための準備期間としての30代をできるだけ必死に生きたいという気持ちだけは大事にしたいと思っています。

ここまで4000文字を超える文章をお読みいただきありがとうございました。受験の苦労話などは別の投稿でまとめますので、ぜひ楽しみにしていてください。応援のリアクション、SNSでのシェアおよびフォローは今後の投稿の励みになりますので、ぜひよろしくおねがいします。

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