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- IPOでの内部統制の大切さ - Part.01_内部統制の意味から読み解く -

企業がIPO準備をするにあたって、内部統制をどのように考えるか?
ここでは特にIPO時の内部統制の大切さについてお話しいたします。
(*約3分程度でお読みいただけます。)

内部統制は「形だけ」?

 IPO準備にあたって、次のようなことを耳にします。

  • 内部統制は、上場審査の審査項目だから準備するんでしょ?

  • 3年間の猶予(*注1)があるから、ゆっくりと・・・

  • 内部統制で心が折れる・・・

注1:上場会社は、新規上場後最初に到来する事業年度末から内部統制報告書の提出が求められますが、資本金額その他経営の規模が内閣府令で定める基準に達しない上場会社は、上場後の3年間は公認会計士又は監査法人による監査の免除を選択することが可能となります(金融商品取引法第193条の2第2項第4号に基づく)。

内部統制の構築には、時間と労力がかかります。一般的には、まずは整備に6か月〜1年。運用状況を確認しつつ、各種チェックリストに基づく内部統制評価監査(整備・運用)を一通り実施することに1年。・・・ざっと約2年間を要することになります。
よく、この期間を「長い/短い」でお話しされることがあるかもしれませんが、事業計画(年間、中期)でも「時間をかけて準備し、実施し、目標を達成する」ものですので、それと内部統制の構築にかかる時間と労力に、差は無いと思います。費用面でも然りです。企業の事業内容や規模、事業計画・中期計画の内容など様々な要素によって、内部統制構築にかかる費用は変わってきます。

 それではなぜ、IPOするにあたって、この内部統制の構築を、時間、労力、費用をかけて構築し実施しなければならないのでしょうか?
ここには大きな意味があるからです。

内部統制の意味

いまさらですが、内部統制の意味をご説明します。

内部統制は、企業の事業・経営目標に対し、それを達成するためのルール等を整備し、これを適切に運用することです。なお「ルール等」にはその企業が事業の推進、経営目標の達成する際に適用される法令の遵守(これに伴う規程類の整備も)。業務の効率や有効性、資産の保全などを実施するための組織の構築も含まれます。
 また日本の場合、企業の内部統制の状況は、事業年度ごとに「内部統制報告書」を作成して、有価証券報告書とあわせて内閣総理大臣に提出(EDINETで金融庁に提出)します。なお、提出された内部統制報告書は、EDINETですぐに、誰でも閲覧可能となります。

 このように意味を知ると、企業にとっては決して ” 手を抜けない ” ことがご理解いただけかと思います。

内部統制構築はしっかりと!

 もうひとつ覚えていただきたい点は、上場後3年間のいわゆる「猶予期間」と言われているものです。

「猶予期間」といっても、内部統制の評価監査をしなくて良いと言っているわけではありません。この3年間は、企業が提出する「内部統制報告書」の公認会計士又は監査法人による監査証明を受けることを免除するというもので、もちろん内部統制報告書は提出の義務はありますし、財務諸表監査・会計監査が楽になるわけではありません。また、提出する内部統制報告書には「当社の財務報告に係る内部統制は有効であると判断しました」と結論付けますので、この「有効である」とする根拠を記録・保管しなければなりません。やはり内部統制をしっかりと構築し、評価監査の実施をしないといけないのです‼︎

 ちなみに、アメリカでのIPOでは、さらに精度の高い内部統制の内容が求められます!(*後日、改めて説明します。)


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